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(中編)
「ところで、悟空。学校には慣れましたか?」 「うん。最初はべんきょーばっかするところで全然楽しくないんだろうなーって思って たんだけど・・・すっげー楽しい!」 「ほう・・・・例えば?」 八戒が悟空に巨大プリンの(それはもう大きい。何しろ悟空の顔が隠れるほどに) おかわりを差し出しつつ尋ねる。 「んーとね!朝行ったら、みんながおやつくれる!」 「・・・ほうぅ・・」 八戒の義眼で無いほうの目がぴくり、と動いた。 もちろん悟空は気づいていない。 「んで!」 悟空はその間にプリンをすでに半分たいらげている。 「授業中、ぼうっとしてたら先生が歩いてきて・・・『どうしたんですか?』て聞くから 『授業がつまんない』て言ったら・・・」 おい。 「どんな授業がいいですか?て聞くから食い物食える授業!てオレ、答えたんだ」 「・・・・・それで?」 八戒の笑顔が微妙に崩れはじめる。 「そうしたら調理実習することになって、月餅つくって食べたんだ!」 「・・・ほう、月餅を・・・」 「で、昼休みになって・・八戒が作ってくれた弁当食べただろ。すっげー旨かった! ありがとな!」 「いえいえ、どういたしまして」 「でも少し足りないなーって思ってたら、友達が残りだからってサンドイッチくれた んだ!カツとシーチキンと・・ハムとたまごっ!あとジャムもあったかな」 「・・・・・・」 「で、お昼食べたあとはすっげー眠たくなって・・・うとうとしてたら下校時間に なっててさ!びっくりした」 「・・・・・・・・・。・・・・・・・・・なるほど」 「学校て楽しいな♪行かしてくれて、ありがとう!八戒」 「・・・どういたしまして」 満面に笑みを浮かべて感謝の言葉を告げる悟空に、八戒はポーカーフェイスの 笑顔を見せつつも・・・・内心で決心していた。 『学校はやめさせましょう』 「・・・・とまぁ、悟空の話です」 「悟空の奴・・・すげー美味しい目してんのな。うらやましいぜ・・・」 仕事から帰ってきた悟浄と三蔵に昼間の悟空の話を伝えた八戒。 「八戒・・・お前。きちんと学校は選んだんだろうな」 「心外ですね。きちんとパンフレットも取り寄せましたし、下見もしましたし、周囲で 聞き込みもして決めたんですよ!」 三蔵の言葉に八戒は笑顔で怒る。 ・・・・そこまでやったんかい・・・・ 悟浄の額から一筋の汗が伝った。 「まぁ、僕も一つ見落としていたとしたら悟空の魅力ですね。僕の悟空の 可愛さを少々甘く見ていたようです」 「・・・誰がてめぇのだ?」 「もちろん、悟空ですよ♪」 「・・・・・・・っ(怒)」 「確かに、悟空に頼まれたら嫌だって言えませんよね。僕が教師でもきっと 全授業、調理実習と体育にしてしまいますよ」 ・・・・おい。 「だからといって、そんな学校では悟空の教育によくありません!」 「「・・・・・・・・・・。」」 珍しく、拳を握り締めて熱弁を振るいはじめる八戒に、さすがの三蔵と悟浄も しばし動きを止めた。 「だいたい、人まかせにしようとしたのが間違いでした。悟空のことを一番よく わかっているのは、他の誰でもなく、この僕です。悟空の好きな食べ物も、悟空の 癖も、悟空の髪が毎朝跳ねる場所も悟空の身長、体重、胸囲、あそこのサイズも 手足の指の数だって、誰よりも一番よく知っているんです」 「「おいおい」」 どさくさに紛れて大変なことを言っていたような・・・・。 しかも、手足の指の数って・・・・それぞれ左右5本ずつじゃないんかい・・・? 「とにかく、です!」 八戒はダンッ!とテーブルを叩いた。 ぴきぴきっっ、とヒビが入る。 (・・・これって壊れたらやっぱ、俺が買って来させられるんだろうな・・・・) 容易に予想できる未来に悟浄は心の中でそっと溜息をついた。 「悟空の教育は僕がしますっ!」 八戒は華々しく宣言した。 |
▲前編▲
▼後編▼
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■■■あとがき■■■
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・・今年も八戒さん、暴走中(笑)
彼を止めることは誰にもできません。
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