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(前編)
「ただいまーっ!!」 バタンッ! 盛大に扉を開け放つ音と底抜けに元気のいい声が家中に響いた。 「悟空、お帰りなさい」 その声に反応して台所の奥から出てきたのは、愛用のエプロンを身に付け にこにこ笑顔を浮かべた八戒だった。 「今日は早かったんですね」 「うんっ!先生が休みで授業が無くなった」 「そうですか、もうすぐ三時のおやつの用意ができますから待っていて下さいね」 「やったーっ!今日は何っ?」 「悟空の好きな肉まんに、プリンとホットケーキです」 「わーいっ!!」 素早く手を洗い、テーブルにつく悟空。 しつけが行き届いている(笑)。 「三蔵と悟浄はまだだよなぁ?」 「そうですね・・三蔵はいつもと同じ頃だと思いますが・・・悟浄はどうでしょう? 遅くなるとは聞いてないので夕食までには帰ってくると思いますよ」 「そっかぁ・・・」 悟空は少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。 三仏神の命令で、西域に向かい牛魔王蘇生阻止を果たした三蔵、悟空、八戒 悟浄の4人は長安に再び戻ってきた。 一旦、報告のために寺院に顔を出した三蔵だったが、それが済むと悟空を 連れてあっさりと、そこを飛び出した。 もちろん、さんざん僧たちは引きとめたが、ならば三蔵なんてやめてやる、と 脅されれば黙るしかない。だが、三蔵も寺院を出たものの行く宛てなどあるはずなく ・・・見るにみかねた(もちろん三蔵でなく、悟空を)八戒が家に迎えたのだ。 ・・・・本来の家主である悟浄の意見など二の次だ。 まぁ、例え事前に相談したとしても八戒の意見に頷きをかえすだけになっていた であろうが・・・。 さて、4人で住むには少々手狭になった悟浄宅は家主の意見など何のその 速攻で増築された。4人それぞれの部屋にバスとトイレ。ダイニングとキッチン。 そしてリビング。かつてのみすぼらしさよ、さようなら・・・である。 「・・・何か、自分の家じゃねーみてぇ・・」 完成した家を見上げながら呆然と悟浄が感想を述べた横で八戒が・・・ 「『自分の家じゃねーみてぇ』じゃなくて、すでに悟浄の家じゃないんですよ♪ 僕と悟空とその他の人たちの家ですv」 「・・・・・・・・・・」 増築費用のほとんどを出した人間に文句は言えなかった。 と、まぁこのようにして4人は一つの家で暮らすようになったのだが・・・生きていく ためには働かなければならない。 八戒はその器用さと人当たりの良さで料理教室を開いた。 ・・・かなり繁盛しているといっていいだろう。 三蔵は・・・三蔵法師をやめたわけではないので寺院を出た後も仕事をするために 寺へ通っている・・・・・・サラリーマンのようだ。 悟浄は、これが一番意外だったのだが・・・ギャンブラーにでもなるのだろうという 大方の予想を裏切って、大工の親方の下に弟子入りした。 ・・・結構性に合ったらしく、今では簡単な仕事はまかせられるまでになっている。 最後に悟空は、といえば。 「悟空は一度もきちんと学校に通ったことがありませんでしたよね」 自分も何か働くと言い出した悟空に八戒はそう尋ねた。 「?うん」 何故、働くことと学校に通う通わないが繋がるのか? 「それがどうした。学校なんぞ通おうと通うまいと何も変わらん」 「そうでしょうか。僕は一応学校の教師をしていたことがありますし、三蔵は学校に 行かなくても寺院でちゃんとした教育を受けたでしょう?」 「・・・・・・『一応』な」 「だったら悟空にもその機会を与えてあげるべきじゃないですか?」 「必要ない」 「えー、オレ学校なんて行きたくな・・」 「考えてもみて下さい」 反対する三蔵と嫌がる悟空に八戒はたたみかける。 「悟浄みたいになったらどうするんですか?」 「おいっ!」 それまで傍観していた悟浄はいきなり自分が例に出され・・・しかも悪い例だ。 とりあえず抗議の声をあげた。 だが・・・・・ 「・・・・・・」 三蔵が八戒の言葉に、眉間の皺を深くして・・・考え込むように悟浄の顔を見た後 悟空に視線を移し・・・・・・さらに眉間の皺を深くした。そして・・・ 「・・悟空。明日からでいいな、学校は」 「おいっ!」 「えぇぇっっ!!!」 盛大に不平を盛らした悟浄と悟空であったが、最強の保護者二人に逆らえよう はずもなく・・・・悟空は学生の身の上となったのである。 |
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■■■あとがき■■■
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つ・・・続きます(汗)
親子で、恋人で、仲間。
考えられる全ての関係を満たすことのできる仲。
それが4人だと御華門は思っていますv
長編のほうが暗いので・・ちょっと明るく♪