◆悟浄編◆
三日 たった 三日 それがこんなに長く感じたのは 初めてだった。 |
「悟空・・・・・・何でお前だけがっ!!あんなに元気だっただろうがっ!!」 誰にもぶつけることの出来ない憤りが悟浄の中で荒れ狂う。 悟空の病気。 それは成人する前の人間がかかるもの。 医者はそう言った。 悟空は”人間”ではない。 ”妖怪”でもない。 だが、目の前に横たわる悟空は胸を上下させ、次々と浮かび上がる汗を額から、 首筋から全身から流している。 熱で上気していたはずの顔色は青ざめ、目元は落ち窪んでいる。 ほんの一時間ほど前にはいつもと変わらず元気な姿を見せていたというのに。 「三蔵!どこへ・・・っ!」 「・・・・煙草を吸ってくる」 悟空を見つめていた悟浄の耳へ二人のやりとりが届く。 ああ・・・・三蔵もこいつの・・・・悟空のこんな姿は見たくないってか・・・? いつもならからかいの言葉のいくつも浮かぶところが何一つ言葉に出来ない。 出来るわけがない。 「悟浄」 「あ?」 「お水とお薬を貰ってきますから悟空をお願いします」 「・・・・ついでに寝て来いよ。どうぜお前今夜こいつについてるつもりだろ?」 「ええ、まぁ・・・では、そうさせていただきます」 笑って頷いた八戒だったが、おそらく寝ることが出来ないだろうことはわかっている。 それでも横になれば多少は違う。 ぱたん、と静かに閉じられた扉。 「悟空・・・」 額に置かれたタオルを新しいものに変えてやる。 ・・・・・熱い。 「熱い、な・・・・悟空」 掴んだ手に力は無く、放せばだらりと垂れてしまうだろう。 「悟空・・・」 お前の手はこんなに小さかっただろうか。 『悟浄っ!』 表情をころころと変え、俺の言葉の一つ一つに素直に反応をかえす悟空。 そんなお前に俺はどれほど救われていただろう。 果てなく落ち込みそうなときもお前が隣に居て、笑っていた。 だから俺も笑う。 笑って笑って・・・・・・気づけば”明日”。 「悟空・・・・目を覚ましてくれ」 あの太陽のように・・・いや、それ以上に輝く金色の瞳が酷くなつかしい。 あの生気に溢れたお前の瞳で俺を・・・・・・・ 「俺を見てくれ・・・・・悟空・・・・・・っ」 ポタ・・・・・ポタ・・・・・・・・・っ 悟空の手に雫が落ちる。 「何、だ・・・よ・・・これは・・・っ・・・・はっ・・・・・・・」 泣いて、るのか・・・・・・・・? 俺は・・・・・・・・・・・・ 「泣いて・・・・・っ・・・・・・馬鹿・・・・かよ・・・・っ」 だが、次々と涙は浮かびあがる。 自分の意志ではどうにもならない涙。 心が流す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・血。 溜まらず掴んでいた悟空の手を自分の額に押しあてた。 せめて。 わずかなりとも。 ぬくもりを。 「・・・・・・ご、じょ・・・・・・・・・・・・・」 「・・っ!悟空っ!?」 悟空の閉じられていた瞼が開き、金色がのぞく。 「・・・・だい、じょ・・・・・ぅぶ・・・・・」 そして悟空の瞳は閉じた。 「・・・・・・・・・バカ猿・・っ!こんなときまで人のこと気にするなっ!!」 本当に・・・・・お前は、バカだ。 だが。 信じてやるよ。 その言葉。 だから、きっとまた。 俺の隣で笑ってろ。 |
† あとがき †
おうっ!なんだか悟浄は純愛系(笑)
何故だか泣かしてしまいました・・・(おいっ)
さて、次は八戒ですvv
八戒は何をしでかしてくれるのか・・・(笑)
乞うご期待!!(嘘)