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その一団は目立ちに目立っていた。 目にも眩い、金髪。 法衣を纏いながらも煙草片手の破戒僧。 オッドアイの秀麗な美貌。 コック帽を頭にかぶり、使い魔を肩に載せたにこやかな青年。 物騒極まりない、大物の剣と銃を携えた男たち。 白いローブを着ていながらも、黒魔法も仕える徴である肩掛けをつけた二人。 そして、何より先頭を元気よく飛び跳ねる・・・愛らしい子供。 『いったいこいつらは何なんだ?』と街の者たちが思っても仕方が無いところだろう。 悟空の『二人と一緒に行くっ!』発言により、旅のパーティは一気に10人に膨れ上がった。 金蝉たちまで一緒に行く必要は無いのだが・・・・帰ろうとしたところを悟空に掴まれ・・・・ 『・・・金蝉は行かないの?』と・・・涙まじりの顔で見上げられ、拒否できるほど鬼では無かった。 「それにしても僕たちちょっと目立ってますね♪」 真っ白なコック帽を被った八戒が発言した。 「・・・知るか」 「そうか?」 分かっていて不機嫌な三蔵と、気にもとめない焔。 ・・・全く違う性格の二人の気が合うはずもなく・・・・・ 「そうですね、少々目立ちすぎているかもしれません」 再び一触即発の空気を醸し出しはじめた焔と三蔵に紫鴛が水をさす。 「てめぇの態度がでかいからだろうが」 「その言葉はそのまま、お前に返そう」 ぴししっと二人の間に稲妻が走る。 そんな二人を呆れた眼差しで見ている金蝉には悟空が纏わりついていた。 歩くのに邪魔なことこの上ない。 ・・・・けれど、強引に引き離そうとしないのは金蝉も悟空を憎からず思っている証拠だろう。 「では、こうしたらどうでしょう?」 天蓬がにこりと一同に提案した。 「旅芸人の一座、ということにしては」 最後まで反対した者も約2名ほど居たが、結局一同は天蓬の案を採用した。 ・・・・が、皆格好は同じままで。 派手な馬車(特殊な魔法がかけられていて昼間には電飾のように色が変わり、夜は発行するという) を購入し、一座の花形という役割を与えられた悟空の服装だけが変わっていた。 一座の花形の悟空は長い髪を天蓬と八戒に結ってもらい、ピンクや黄色、白と・・色とりどりの花で 飾り、赤地に金の刺繍が入ったチャイナ服を着ていた。 ・・・もう、このまま抱きしめてテイクアウトしてしまいたい・・・と思ったのは一人や二人では無い。 「なぁなぁ、三蔵っ!似合う?」 笑顔で、くるっとひとまわり。 ちょっと首を傾げて見上げる様が・・・・・可愛いすぎる。 「・・・似あ・・」 ついついふらりと本音を吐きそうになった三蔵のセリフは・・・・・ 「とてもよく似合っているぞ、悟空」 焔のセリフに邪魔された。 「ありがとっ!焔っv」 「おいっ、てめぇ勝手に口挟むんじゃねぇ!」 「ふ、この程度のことで怒るとは・・・・王族に在らざる心の狭い奴だ」 二人の舌戦が再開した。 「悟空、明日はこれを着てみて下さいね♪」 いい加減、そんな二人にも慣れた一同は放っておいて、悟空と過ごす。 八戒が悟空に見せた服は白地に透かし模様が入ったチャイナ・・・・・・ドレス。 裾がすっぱり割れて足が見えるようになっている一品だった。 「これはその服より動きやすいですよ♪」 「じゃ、着るっ!」 騙されてる、騙されてるぞっ!・・・と心で呟きつつも悟浄は見てみたい・・・と思う男心。 「では、明後日はこれを着てくださいねv」 天蓬が差し出したのはセパレートタイプの水着にレースで飾りを施された踊り子仕様の一品。 「とっっても可愛いと思うんですよねv」 天蓬の言葉に白熱する二人を除いた一同が、その姿を想像した。 「「「「「「・・・・・・・・・・・。」」」」」」」」」」 (それは犯罪なのでは・・・・・・・・・?) 「うんっ、いいよ♪」 だが、悟空は疑うことなく天蓬の褒め言葉にあっさりと頷く。 (あぁぁっそんなにあっさりとぉぉぉぉっっ!?) ・・・と心の中で思うものの、天蓬を敵にまわすのは御免なので口には出さない。 そんな、なごやな(?)一同の目の前に突然、稲妻が落ちた。 「何だっ!?」 悟浄、倦簾、是音が叫ぶ。 それ以外は未だ、悟空を囲んで歓談中・・・と口論中。 「お前らなぁ・・・・」 自分たちの身内の性格は嫌になるほど知り抜いてはいるが、呆れずにはおれない三人。 同じく、一番苦労しているのもこの三人である。 「こんにちわ♪」 だが、そんなとりどりの反応をかえす、一同に構わず稲妻と共に現れたこちらもマイペースで 事をすすめるべく、声を発した。 なかなかいい性格をしているらしい・・・と三人は思う。 だいたい、格好が白い僧衣に赤い数珠というところからして妖しい。 「えーと、僕は魔王。呼ぶときは『カミサマ』と呼んで下さいね♪」 (おい・・・何か知り合いにはなりたくないタイプだな・・) (同感だ・・・) (これ以上厄介なのは御免だぜ・・) 「ん〜良かった良かったv」 そんな三人に構わず、カミサマは話を続ける。 「このリストにある全員がいるねv手間が省けたよ」 「・・・・・・リスト?」 「何のリストなんでしょうねぇ?」 「おわっ!?」 突然の横からの声に倦簾が飛び上がる。 ・・・まるで気配を感じさせなかった天蓬。 ・・・それで、将軍が勤まるのか?倦簾。 「んー、これ?抹殺リスト♪」 どこまでも明るく、自称”カミサマ”はのたまった。 「ほぅ、魔王というからにはそれなりに腕に覚えがあるのでしょうね」 紫鴛は冷静に背後から分析している。 「でも、僕たちの敵ではありません♪」 八戒はにこやかにコック帽を正して、手に気を集める。 「大人しく昇天して下さいねv」 ・・・・・訳せば、『よくも悟空との楽しい語らいを邪魔してくれましたね?とっとと地獄に 送らせていただきます♪』・・・となる。 もちろん天蓬や紫鴛も攻撃魔法を唱え始める。 ズキューンッ!! 「「「「・・・・・・・・・・あ」」」」」 銃声と共に、銃弾が一同の目の前をよぎり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”カミサマ”に向かった。 「貴様っ!避けるんじゃねぇっ!!」 「ふっ、自分の腕の悪さを棚にあげるとは、片腹痛い」 銃弾が飛んできた先には、未だ争う三蔵と焔。 ・・・・・どうやら、この銃弾は”カミサマ”を狙ったものでは無く、ただ単に流れ弾・・・だったらしい。 ・・・・・・・・・・・・・・が。 見事命中。 一応、僧侶ということで三蔵の持つ武器は全て聖別されている。 もちろん、・・・・・・・・悪の根源である魔王にも効き目絶大なわけで・・・・・・・・ 「・・・・・・う゛」 うなり声一つ、その場に崩れ落ちた。 そのまま、さらさらと空気に溶けていく。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、あんな簡単に死んでいいのかよ・・・・・」 悟浄は呆然と呟く。 それに頷く、是音と倦簾。 「まぁ、自分の手で片付けられなかったのは心残りですがよしとしましょう♪」 と八戒は馬車で待たせている悟空の元に急ぐ。 「そうですね、余計な手間は少ないほうがいいでしょう」 どこまでも機能主義的な紫鴛も馬車へと戻る。 「・・・・悟空の服をもう少し買っておきましょうかね♪」 カタログ片手に思案に入る天蓬。 改めて、これからの道程の苦労を思いやる悟浄、倦簾、是音だった。 「てめぇっ!逃げるんじゃねっ!!」 「そちらこそ、後から来たくせに悟空にはりつき目障りこの上ないっ!」 ・・・・・・・その間もいつ終わるともしれない諍いは続いていたのだった。 |
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† あとがき † やっと更新できましたv 投票の結果を反映してカミサマご臨終ですv ・・ていうか話はまだ続くのにラスボスをこんなところで抹殺して良かったのだろうか・・・ 次回は敗者復活とともに、上位陣に活躍してもらう予定。 ナタクもそろそろお出ましになってもらわねば・・・(汗) ということで遅くなりましたが ご拝読ありがとうございましたっ(≧▽≦) |
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