SeneY










 (何でだろう・・・・なつかしい・・・)

 悟空は焔と三蔵を交互に見ながらぼんやりとしていた。
 
「おい、行くぞ」
「・・・え?」
 腕を三蔵に引っ張られた悟空は、咄嗟のことでバランスが取れずそのまま三蔵の
 胸元へ倒れこんだ。
 
 三蔵の目の前で茶色の髪がゆれる。
 妙な感慨が三蔵の胸に去来した。


「ちょっと待て。悟空をどこへ連れて行くつもりだ」
 焔がさせじと離れた悟空の腕を再び掴む。
「お前には関係ない」
「そうはいきません。悟空に関しては私たちは責任がありますから」
 紫鴛がやんわりとしながらも、否定の言葉をつづる。
「そうだぜ〜、後から来たくせに横取りってぇのはいけねぇなぁ?」
 是音がガチャリと機関銃を腕にする。


「おい、どうでもいいが・・・てめーらここがどこだかわかってやってんだろうな?」
 金蝉が不機嫌な顔で割り込んだ。
「俺の知ったことではない」
「・・・・ふん」
「では、場所を変えましょうか?」
「なぁ、あんた誰?」
 悟空はとことことエキサイトする一同を放っておいて金蝉に視線を向けて尋ねた。

「・・・・・・・・」
「なぁ!」
「・・・・金蝉だ」
「こんぜん・・・・こんぜん・・・・・・・・・・」
 悟空がにこぉと笑う。
 その笑顔の無防備さに金蝉は眉をしかめる。
「・・・・馬鹿サル」
「俺、サルじゃねーもんっ!悟空だもんっ!!」

「そうですか、あなたは悟空というんですね?」
「うん・・・えーと、あんた誰?」
「僕は天蓬と言います。天ちゃんて呼んでくださいね♪」
「天ちゃん?うんっ!わかった!」
 はーいっ!と手をあげて返事をかえす。
 まるで幼稚園児もかくや・・・。
「ところで、こいつの名前は何て言うんだ?」
 悟空の肩に未だ乗ったままのジープを指差す。
「ピーッ!」
 鳴いたジープは悟空の頭を一周して八戒の肩に戻った。
「この子はジープといいます。僕の使い魔なんですよ」
 何故コックが使い魔を・・・と突っ込んではいけない。
「よろしくなぁ、ジープ!」
 そんな和気藹々と盛り上がる一同とは別にさらに暗雲垂れ込める一角があった。


「・・・悟空は俺が拾ったものだ。後から横取りするとはそれでも王族か?」
「うるせぇ、そんなに所有権が主張したかったら大きく名前でも書いておけ」
「ふっ、幼子でもあるまいし・・・それとも桃源王国の三蔵王子は名前でも書かんとそれが
 誰のものかもわからないのか?」
「誰のものでもないものを自分のもののように言い張る奴よりはマシだろうよ」


「「・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・悟空っ!!」」

「ぅわっ!?」
 ジープと遊び、八戒持参のおやつでお茶に興じていた悟空は突如かけられた大声に
 飛び上がって驚いた。



「悟空、俺と共に来る約束だったな?」
「てめーに選ぶ権利は無い、さっさとついて来い」
 双方のあまりに横暴な言い様に周りはさすがに呆れていたが・・・・・・


「だったら二人と一緒に行く♪」
 悟空はあっさりとそう言い放った。
 しかもにっこりと無邪気な笑顔を浮かべて。










 






 一方、独角児を失った紅孩児は一人、花果山を目指していた。
 
「必ず花果山に眠るものは俺が手に入れる!」
 強く、そう決意して。
 そんな紅孩児に影が落ちた。


「・・なに?」
 紅孩児は空を見上げた。


 そこには。
 一際大きな・・・・・・・・・・・・翼竜。
 


「紅孩児さまーーぅ!!」
「おっ兄ちゃぁーんっ!!!」
 小さな影が手を振っている。


「李厘っ!?ハ百鼡っ!?」
 紅孩児が驚きに声をあげる中、翼竜はゆっくりと降下した。

 

「お兄ちゃんっ!!」
「紅孩児さま!」
 李厘が紅孩児に駆けより、ハ百鼡が佇む。
「お前達・・・いったいどうしてここに・・・?」
 飛びついてきた李厘を受け止めながら、紅孩児はハ百鼡に眼差しを向けた。

「お伝えしたいことがございまして・・・」
「・・・ああ、俺も伝えたいことがある」
 紅孩児とハ百鼡は互いに目を伏せた。


「独角が・・・・殺された」
「うそっ!!」
「本当だ。・・・・”神”と名乗るふざけた奴に・・・」
 ぎりぎりと握りしめられる紅孩児の手が、怒り、慟哭、悔しさ・・・全てを伝えていた。
「そう・・・ですか・・・・・」
「ハ百鼡、お前のほうは何だ?」
「それが、こちらも・・・ニィ博士が何ものかに殺害されました」
「ニィもかっ!?」
「はい」

「・・くそっ!」
 ダンッと紅孩児が木を叩いた。
「・・お兄ちゃん・・・」
「紅孩児さま・・・」







 「あ、その犯人もボクだよ♪」







「「「・・・・っ!!???」」」
 いつからそこに居たのか・・・・3人が振り向いた方には笑みを浮かべた”カミサマ”が
 数珠を弄びながら立っていた。
 顔には人を馬鹿にしたような笑みが浮かんでいる。

「なぁんだ。君たちお仲間だったんだ♪くすくす・・・」

「貴様っ!!」
 紅孩児が口早に呪文を唱える。
「行けっ!召還獣!!」
 空中にブラックホールが現れ、そこから召還獣が現れる。

「へぇ・・そんなこともできるんだ♪」
 だが、”カミサマ”は余裕の笑みを浮かべると、召還獣の放った光線を右手で
 受け止めた。
「くそっ!」
「なかなかだね♪・・・・それじゃぁ、返すよ♪」

 にっこり笑った”カミサマ”の手から先ほどに数倍にもなる光が紅孩児に向けて返された。


「な・・っ」

「紅孩児さまっ!!」
「お兄ちゃんっ!!」







(さてと、これでまた一人リストから消えるわけだ♪)
 
 くすくす。
 くすくすくす。






 笑い声と光が収まった頃、”カミサマ”の姿は消え、紅孩児の骸が冷たく転がっていた。



















† あとがき †

ひっじょ〜に、お待たせいたしましたっm(__)mm(__)m
Yをお届けいたしますv
書き始めは良かったんですが・・・長編はつまるとハマる・・(涙)
投票のほうもその間、下位は激しく入れ替わっておりました(笑)
そして、ついに・・あの方お亡くなりです。
仕方なく余分な二人(笑)が登場。
さすがに最遊帝国側に誰も居なくなるのはマズイということで(笑)

あと一人くらい落ちたところで・・・敗者復活投票なるものを
計画しておりますのでお楽しみに☆
さぁ、次落ちるのは誰でしょうねぇ・・・(ニヤリ)






  Sene X   Sene Z


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