≫7 過去







『いいですか、これからあなたは深い眠りに入っていきます。
 とてもとても深い眠り。
 心地よく、温かく・・・深い眠りに落ちていきます。
 ゆっくり身を任せて・・・だんだん力が抜けていきます・・・。 』









「ひとつ、ふたつ。
 みっつ。
 数えるごとにあなたは過去へさかのぼる。
 ひとーーつ。
 あなたは何歳ですか?」
 薄暗い室内に静かな音楽と落ち着いた声が響く。

「・・・じゅう・・・よん・・・」
 それに答えるのはソファに横たわった少年。
 瞼を閉じ、口だけが動いている。
 
「ふたーつ、どんどんあなたは過去に戻っていく・・みっつ、よっつ、いつつ・・・・・
 さぁ、あなたは何歳ですか?」

「ご、しゃい・・・おれ、ごしゃい」
 たどたどしい口調で少年が答える。
 
「5歳・・お名前は?」

「おれ、ごくう・・・」

「そばには誰か居るかな?」












「―――――――っ!!」


「っな・・・っ!?」
 催眠療法で悟空の歪められた記憶を遡って修正しようとしていた八戒はいきなり
 叫び、暴れだした悟空に驚愕した。
 
「どうした、八戒!?」
 隣室で待機していた三蔵と悟浄も飛び込んでくる。
「わかりませんっ!急に悟空が暴れだして・・・すみませんっ、今催眠を解きますから二人で
 悟空を拘束してください」
 椅子の上でがむしゃらに暴れ続ける悟空の両端にまわった三蔵と悟浄はしっかりと
 抑えるつけるが、とても子供だとは思えないほどの力に気を抜くと吹き飛ばされそうに
 なる。
「八戒、早くしろっ!」
「はいっ・・・悟空、あなたは時を戻る・・・ずっと・・・ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」
 八戒の言葉とともに、悟空の体から徐々に力が抜けていく。

「悟空、あなたは戻ってきた・・・でも今は夜。朝まで・・・おやすみなさい」
 八戒の言葉に悟空の手がぱたり、と落ち静かに息を吐き始めた。













「失敗か?」
 隣室に悟空を残し、ソファに疲れたように座った八戒に三蔵が話しかけた。
「・・・いえ、わかりません。途中まではうまくいっていたんですが・・・。悟空の記憶が
 どこまで操作されているかわからなかったのである程度幼い頃まで記憶を遡って
 正しい記憶を再生しようと思ったんですが・・・一筋縄でいきそうにありませんね」
「すっげー暴れようだったけどさ・・・」
「5歳です。そこまで意識を後退させてみたんですが・・・その頃の悟空に何かあったの
 かもしれませんね・・・それが焔とのことに関係しているかはわかりませんが」
「ちっ、面倒だな」
「この際、ガキはこっちに戻ってきたんだからよ。さっさと日本に連れて帰ればいいんじゃ
 ねぇの?記憶戻すのなんかあっちに任せとけばいいだろ?」
「悟浄・・・それが出来れば苦労していません。だいたい焔が簡単に出国させてくれると
 思っているんですか?賭けてもいいですよ。すでに全ての交通機関に対して焔は手を
 打っているでしょうね。・・・僕ももう表には顔を出せないでしょうし・・」
「裏切り者には死を、てか?」
「それで済めばいいがな」
「どちらにしろ、ここにも長居は出来ないでしょうね。組織の力をもってすればここが
 割りだされるのも時間の問題です」
「ちっ」
 三蔵は吸っていた煙草をぐしゃりとテーブルの上にひねりつぶすと立ちあがった。

「・・・行くぞ」
「は?」
「どこかあてでもあるんですか?」
 突然の三蔵の行動に疑問を浮かべる二人を残し、三蔵は隣室に行き悟空を抱えて
 くると悟浄に手渡した。
「力仕事はお前の係りだ」
「おいっ」
「八戒、車を出せ」
「・・・・わかりました」
 行き先は三蔵が指示するのだろう。
 普段動かない人間だが、依頼を受けた仕事を放棄したことは無い。
 ・・・まぁ、依頼事態受けることが珍しくもあるのだが・・・・


(・・・そういえば三蔵にしては珍しく動いてますよね・・・)
 八戒はそんな疑問を抱きながら潜ませていたジープを引っ張り出すと二人・・・正確には
 三人を拾い、三蔵の支持するままジープを走らせた。





















戦いなさい
あなたの信じるもののために
何ものにもとらわれることなく

ただあるがままに

生きなさい










  


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伏線はりまくりで
きちんと全部収集できのか・・・不安です(おい)