#Z  再 見











運 命


それは”命”を運ぶもの



























 花咲き乱れ、鳥が鳴き、蝶が舞う。
 常春の世界。
 
 そこに「死」は無く、「悲しみ」は存在しない。
 


「けれど・・・真実の喜びというものも存在しないのかもしれませんねぇ」
 埋もれた本の山から顔をあげた天蓬は窓から外を眺めながら誰にともなくそう呟いた。

「まぁ、でも・・・」
 窓からひょいっとのぞく茶色の物体に破顔した。
「最近はそうでも無いですけどね」


「天ちゃ〜んっ!!」
 ほら、自分をよぶ大切な者の声がするから。

















「さて、今日はどうしたんですか、悟空?」
「んっとね!前から約束してたお花のかんむり作りに来たの!」
「ああ、そういえばそうでしたね」
 最近、悟空は花に夢中である。
 理由は簡単。
「えっとね・・・金蝉にあげたら喜んでくれたから♪」

(・・あの金蝉がねぇ・・・・)
 親友のその時の顔を想像して意外におもう。
 花などただの置物としか思っていなかっただろうに・・・・。

 それとも「悟空」の持ってきたものだから?

「それじゃあ凄いやつを作って金蝉を驚かしてあげましょう」
「うんっ!!」
 そして、天蓬は悟空の小さな手を握ると近くの花畑に出かけていった。

(・・・・仕事なんていつでも出来ますからね)
 そんなことを思っている天蓬は自分が金蝉とそう変わらないことに苦笑するのだった。






「ん〜と・・・こう?」
「ああ・・・ここは、こうして・・・ね」
 差し出された製作途中のかんむりの飛び跳ねたところを修正してやる。
「ああ、そっか・・・・えっと・・・」
「ああ、そうですよ。巧くできましたね」
「へへへっ」
「あともう少しで完成ですから頑張りましょうね」
「うんっ!!これが出来たら次は天ちゃんのな!」
「おや、僕のも作ってくれるんですか?」
「うんっ!」
 天蓬は顔を綻ばせた。
「それじゃあ僕は悟空のを作りましょう」
「ホント!?やったっ!!」
 手放しで喜んだ悟空はますますかんむり作りに熱中するのだった。
「天ちゃんっ、あそこの花も使っていい?」
「ええ、いいですよ」
  天蓬の許しを得て悟空は駆け出した。



「あ・・っ!あれも使おうっ!!」
 黄色い花。
 金蝉にきっとよく似合う。
 早速その花を摘もうと近づき・・・目をあげた悟空は息をのんだ。

「うわぁぁ・・・・・ぁ」
 一面に広がる黄色の花々。
「すごぃ・・・・っ」
 太陽の光を浴び、きらきらと輝く・・・・黄金の絨毯。
 悟空はしばし言葉もなく見惚れた。











「誰だ」











 その時、悟空の背後からかかった低く抑揚のない声。
 天蓬ではない。
 では・・・?

「・・・・?」
 悟空はその声にゆっくりと振り向いた。


「・・・・・・・・・・っっ!!!」
 重なる声なき驚愕。










 運命・・・・・・・・・・・それをもたらしたのは誰だったのか?











「・・・・・・・・っ」
「・・・・?おじさん誰?」
 悟空の見上げる先には・・・・・・・黄金の瞳と碧の瞳。
 肩で無造作に切られた黒髪を持つ端整な顔をした男がいた。

「・・・・・・・・・・ご・・・・・・」
「オレ、悟空って言うんだ!」
 名乗り終わると悟空は再び花摘みへ意識を戻した。

 男の手が悟空へのばされる。
 だが、あと少しで届くところで何かに妨げられるように宙でとどまり、ふるえた。


「・・・・・・ご、く・・ぅ・・・・?」
 擦れた声は風に消えた。


「悟空ーっ!!どこに行ったんですかぁぁ!」
「あっ、天ちゃんだ!ここだよぉっ〜〜!!」
 悟空が花畑から立ち上がり、天蓬に手を振った。
「悟空っ!・・・・まったくどこに行ったかと思って探しましたよ」
 駆け寄ってきた天蓬が安心した顔で悟空の頭を撫でた。
「ごめんなさい・・・ここの花すっげー綺麗だったから!」
「確かに・・・・」
 そうですね、と悟空に相槌を打とうとした天蓬は近くにある第三者の影に、おや?と首を
傾げた。



「あなたは確か・・・・・焔太子?」


「・・・・・天蓬元帥」
 焔の手がひかれ、じゃらりと鎖の音がした。
「天ちゃん、知ってるの??」
 くいくいっと悟空が天蓬の服の裾をひいた。
「あ・・・ああ、ええ・・・・」
 知っているのは知っていた。
 彼は闘神太子だったから。
 しかし、何故こんなところに・・・・・・・・・天蓬は焔をはじめて見たとき、醸し出される冷気に
恐怖にも似た寒気を感じたのを覚えている。
 とてもこんな場所でなごやかに過ごしている人柄ではない・・・・・・はず。
 
 焔は混乱する天蓬をしりめに身を翻した。





「あ・・・・・」
 悟空の手からぱさりと未完成のかんむりが落ち、ぱさりと音をたてた。

 悟空の手は立ち去る焔にのばされる・・・・・・。





「・・・悟空?」
「え・・・・・・・あれ、天ちゃん?」
 天蓬の呼びかけに悟空はぱちくりと大きな目を瞬かせるとのばしていた自分の手を不思議そう
に眺めた。
「悟空は焔太子と知り合いだったんですか?」
「え?ほむら太子?あいつのこと??ううん。知らないよ。今さっきはじめて会った」
 そっか・・・”ほむら”て言うのか。
 悟空は口の中でほむら、ほむらと繰り返した。



「焔・・・・」
 そう呟いたまま悟空は動きを止めた。



「悟空?どうしたんですか?」
 

(”焔”・・・・・何だろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・???)


「・・っ!?悟空・・??」
 天蓬の驚く声が耳に響いた。
「どうしたんです、悟空!何か・・・どこか痛いところでもあるんですかっ!?」
「え・・・・・」
 何を言っているの?と首を傾げた悟空の頬に天蓬の指が触れた。

「あなたは泣いてるんですよ、悟空」
「・・・・泣いて、る・・・??」
 天蓬の言葉とおり、悟空の金色の瞳からは透明な涙が”流れて”いた。

「何も・・・・・痛く、ない・・・・よ・・・・・・?」
 悟空の体がふらふらと揺れる。
「何、も・・・・・・いた、く・・・・」



「悟空っ!!」
 唐突に意識を失い倒れこんだ悟空を天蓬が抱きかかえる。
「悟空っ・・・・・いったい何が・・・・・・?」
 何が起こったのか全くわからない天蓬は悟空を抱きかかえると急ぎ、金蝉の居る宮へ急いだ。




 





『大好き!・・・・・・大好きだよっ!』

 それは・・・・・誰に言った言葉だっただろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


















 「運命」
 
 それは自らが・・・・・・・・・・・招くもの。







 










† あとがき †

ほっ。どうやら予定通りUPできそう・・・・(^^ゞ
さて、いよいよ悟空と焔の再会ですっ!(>_<)!
今回は専ら天蓬よりで話を進めましたので焔の心情はわかりません(ニヤリ☆)
・・・ふふふ、まだまだシリアスは続きますよ〜vvv
悟空の記憶はまだ戻りませんので♪

さて、次回はいよいよ宿敵(?)焔VS金蝉となるか!?
・・・それは御華門にわからないのでした(ノT∧T)ノ┻━┻

では、ご拝読ありがとうございました!







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