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#]Z 制 御
悟空の気を感じた、その扉を開け放った金蝉の目の前に居たのは・・・・・・・ 悟空にして悟空に非ず。 天界の施した封印を全て解き放ち、大地の精霊の姿を顕現させた”孫悟空”。 「・・・・・いったい何が・・」 「金蝉童子」 呆然とする金蝉に横から声がかかった。 「焔!」 「いいタイミングで現れたな」 いつもと同じような口調で言い放った焔の羽織には血が飛び散っていた。 「・・・っ!?」 目を見開いた金蝉が、あたりを見回せば・・・部屋の中も無茶苦茶で、あと一歩で 瓦礫と化すかのざま。 そして、誰がそれらを破壊したのかと考えれば・・・・。 「油断していると・・・・やられるぞ?」 その焔の声と同時に金蝉の横を何かがかすめ、背後の扉の破壊された。 「・・・・っ!何?」 振り向けば、悟空が素早く体勢を立て直して金蝉を振り向く。 「・・・悟空!」 「無駄だ、金蝉童子。今の悟空には誰の声も聞こえない」 「ちっ!」 舌打ちした金蝉はその場から飛び退り、焔へと近づいた。 「いったい・・・何があった!」 ”悟空に何をしやがった!”と口調には責めがまじる。 「・・・・元に戻そうとしただけだ。自由気侭だったころにな。俺のほうが言いたいくらいだ。 お前達は悟空に何をしたのか、とな。悟空は金錮などなくとも普通に暮らしていた。 あんな姿を見せたことは無かった・・・・・それなのに」 焔の口調は静かだったが、そこには察することのできない感情が篭もっているよう だった。 「・・・・・・・・・・俺には、わからない」 金蝉の言葉に焔が眉をあげる。 「俺はただ、天帝にあいつを預けられただけ。他には何も・・・・・聞いてはいない」 それは己の不甲斐なさを責めるようでもあった。 「天帝、か」 焔は手に青龍刀を出現させた。 「焔!」 「俺は絶対に天帝を許しはしない。悟空をあんな姿にさせた天帝をな。悟空は・・・ 一瞬だけ正気を取り戻し、自らを傷つけ・・・・俺を思い出した」 「・・・・・」 焔がゆっくりと悟空に近づき、今までとは様子の違う焔に悟空のほうも警戒する。 「・・・・・泣いていた」 「・・・・・」 「悟空が謝る必要など、どこにもありはしないのに。全ては天界の身勝手な奴らの せいであるのに・・・・・なぁ、わかるか金蝉童子」 「・・・・・」 「悟空は己を忘れながらも・・・・まだ、泣いている」 「つらい思いなど二度とさせないと・・・・幸せにすると誓ったのに・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・俺は!!」 青龍刀が瓦礫をなぎ払う。 「金蝉童子・・・・俺が悟空を抑える。その隙に悟空にもう一度金錮を枷せ」 そして再び、焔のことを忘れるとしても。 悟空を泣かせはしない。 「・・・わかった」 「長くはもたんぞ」 それほど今の悟空の力は桁外れに凄まじい。 『破っ!!!!!』 気合をこめた焔の一刀を、悟空は素手で受け止めた。 「・・今だ!早くしろ、金蝉童子!!」 そう叫ぶ間にも悟空は笑みを浮かべてじりじりと焔を圧している。 「・・・くっ・・・・・悟空!」 金蝉の口から呪が流れる。 だが、それが完成する前に。 青龍刀が真っ二つにへし折られた。 「・・・っ!!?」 さすがの焔も驚きを隠せない。 まさか青龍刀が・・・天界でも1,2を争う名刀が折れるとは。 「・・・・悟空!!」 金蝉の呪は未だ完成してない。 そのとき。 『手助けしよう』 しゃがれた声が割って入った。 「「・・・・っ!?」」 突然の乱入者・・・・・・・・・・・・・・・たち。 一人は白虎・・・悟空のつれていたシロとは大きさも優美さも全く違う・・・を連れた 白髪の小柄な老人。 太上老君だ。 そして。 場違いに穏やかな笑みを浮かべた釈迦如来。 後ろには観世音菩薩が従っていた。 滅多なことでは宮の外にさえ出ない者たちが、今、ここに揃っている。 「観世音菩薩」 「はい」 如来の促しを受けて観世音菩薩が悟空へと手を広げ、動きを封じた。 「それでは・・・これじゃな」 太上老君は床に転がる金錮を無造作に手にとると、牙を剥き出し威嚇する悟空の 額へとあっさり嵌めてしまった。 途端に悟空の体が傾ぐ。 いち早く我にかえった焔が駆けより、その体を支えた。 のぞきこんだ悟空の顔は穏やかで眠っているような姿をさらしている。 ただ、腕の傷が痛々しく赤い血を流していた。 「悟空・・・っ」 焔は抱きしめる。 幼い体は始めて出会った頃からほんの少し成長していた。 (悟空・・・悟空・・・) 「焔太子」 穏やかな如来の声に、焔は悟空を抱きしめる腕を強めた。 「傷を治しましょう」 白い御手が悟空の傷ついた腕に触れる。 瞬間、血も傷も全て跡形もなく消えた。 「では、儂はこちらを直すことにするかの」 太上老君はほいっと妙な声をかけると持っていた杖を振り上げた。 「・・・っ!」 突然起こった風が瓦礫を巻き上げる。 悟空と己の目をかばった焔が風のおさまった部屋に見たのは・・・・・・。 いつもと変わらぬ焔の部屋だった。 ――――悟空に荒らされる前の。 「・・・・・・何故、ここに現れた?」 焔は悟空を腕にかばいつつ、天界の”お偉方”を睨みつける。 たとえ悟空の暴走を止めてくれたとしても、たとえ焔の部屋を元通りにしたとしても ・・・・・元凶はこの者たちにある。 「そう、警戒するでない。焔太子よ」 太上老君が好々爺といった風情で話し掛ける。 「私たちは悟空が大切なのですよ、あなたと同様に」 「では・・・・・何故、枷をかけた?悟空にこんなものは必要無いはずだ」 「必要あるんだよ」 「何?」 「人界と天界は世界が違う。人界で影響が無かったことも天界では違う。 悟空に枷をかけたのもそのためだ」 「ならば悟空を連れて来なければ良かっただろうが!」 「それは謝ろう、焔太子。我らが知らぬところで天帝がなされたこと。天界に良かれと されたことゆえ・・・・」 「ふ・・・天帝か」 その顔を思い出すたびに、焔の内では憎しみが増す。 「・・・いずれにしてもそちらの身勝手な思惑だ。悟空は還してもらう」 「それは無理だぜ、焔。悟空は枷をはめたことで再びお前のことを忘れただろう。 そんな悟空をお前の傍に置いておくわけにはいかない」 観世音菩薩が手を差し出し、焔に悟空を渡すように促す。 「・・・如来が施されたのは応急処置だ。悟空には安静も必要なんだぞ」 「悟空・・・」 焔は悟空を抱きしめ、万感の思いをこめて額に口づけを落とした。 そして・・・・立ち上がり、一人離れたところに佇んでいた金蝉へと近づいた。 「・・・一時、預けるだけだ。すぐに迎えに行く」 僅かに目を見開いた金蝉に焔は悟空を渡した。 「・・・・・・預かっておく」 焔と金蝉。 同じように悟空に囚われた者。 だからこそ、最も邪魔でありながら・・・・・・・・・・唯一信用できる相手だった。 |
† あとがき †
お待たせいたしましたm(__)m
コンテンツの移動が終わりようやくUPできました♪
あとちょっとで終わりそうな感じになってますが
実はまだ終わりません(笑)
まだまだ茨の道を歩んでいただく予定です♪
ただ、一部は次あたりで終了です。
『早く幸せに!』と仰ってくださる皆様・・・
もうしばらくお付き合いいただきますようよろしくお願いいたしますm(__)m
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