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#] 記 憶
『・・・・ここどこ?』 『天界、霊霄殿だ』 『・・・れ、れい・・??』 『別に言えなくてもいい、どうせお前はこれから全て忘れるんだからな』 『・・・・??焔は??どこ??』 『それがお前の大切な者の名か?』 『うんっ!大好きな人!』 『・・・・・すまん、な』 『何が?』 『お前はそいつのことも忘れるだろう』 『忘れないよっ!』 『忘れるんだ』 『・・・・・・・』 『・・・・忘れないもんっ!!』 『・・・・・・・・・・・・すまない』 |
「よおっ!元気にやってるか?」 相変わらず露出度の高い衣服を纏い、傲岸不遜に現れた観世音菩薩に金蝉は不機嫌な 顔を向けた。 「・・・何の用だ?」 「甥のことを心配してきた俺の優しい心遣いがわからんのか?」 「・・・・ちっ」 「少なくとも退屈では無さそうだな」 「余計な世話だ」 苦々しく呟いた金蝉は、手元の作業に意識を戻した。 ・・・・・・悟空が紙飛行機にした書類を元に戻すという作業に。 「くっくっくっ・・・・・・で、悟空はどこへ行ったんだ?」 「そのあたりに居るだろう。宮の外には出るなと言ってあるからな」 「ほう?一人じゃ危なくて出歩かせない、か?」 「・・・・・余計な騒動の後始末が面倒だからだ」 だが、今までそんなことを悟空に言いつけたことは無かった。 そう、あの男と会ってから・・・・・・・。 「あまり独占欲が過ぎると身を滅ぼすぞ」 「・・・・・・何のことだ?」 「わからねーんならいいがな」 「・・・・・・・・」 「こんぜーんっ!!」 沈黙が降りた部屋にばたんっと扉が勢いよく開け放たれた。 「・・・あれ?観世音のお姉ちゃん!」 珍しい客に悟空がことりと首を傾げた。 「よぉ、元気か?」 「うんっ!」 「金蝉はよくしてくれるか?」 「うんっ!ときどきすっげー怒って怖いけど、優しいからっ!!」 「そうか、良かったな」 観世音はある意味”珍しく”慈愛の笑みを浮かべて天真爛漫に笑う悟空の頭をなでてやる。 「えへへっ!あっそうだ!忘れるところだった!!」 悟空が金蝉へ駆け寄る。 「これ!」 「・・・何だ?」 差し出した悟空の小さな手の上には朱色の玉が乗っていた。 「きれいだろ!」 金蝉はそれを見る・・・・・・どこかで・・・・・・最近・・・・・・・・・・・。 「・・・・っ!」 金蝉は悟空の手首を掴んだ。 その拍子にカツン・・・ッと玉が床に転がっていく。 「あ・・・」 「悟空っ!これをどうした!?」 「っ・・・いたいよっ・・・こんぜ・・・・っ」 「おいおい、ガキに無茶してんじゃねぇよ」 観世音が悟空の手を掴む金蝉の手に触れた。 「いいから、答えろっ!」 「え・・・・もらったの・・・」 「誰に、だ?」 「・・・・ほむら、だけど・・・・・きれいだって言ったらくれたんだ♪」 「この宮から出るなと言っただろうが!」 観世音が居ることも忘れて金蝉は怒鳴る。 「出てないよっ!!」 「なら、どうして焔からこんなものを貰っている!?」 「だって焔が来たんだもんっ!」 「なに・・・っ!?」 悟空の言葉に金蝉は目を見開くと悟空の肩を抱き、ゆする。 「いつだ!いつ来たっ!?」 「さっき、だけど・・・っ」 「ちっ!」 「おい、何を苛立ってんのか知らんが・・・チビが怖がってるだろうが」 観世音が金蝉から悟空を引き離しながら嗜める。 「どうやらお前は落ち着く必要がある。しばらく悟空は俺が預かる。いいな」 「・・・・・・」 「こん、ぜん・・・・」 悟空が観世音の服の裾を掴みながら、不安と悲しみの色を乗せた瞳で金蝉を見上げる。 「・・・・・・・悟空」 そんな悟空を静かに見つめた金蝉は観世音に目をあげた。 「・・・・・頼む」 「おい、チビ」 「チビじゃない、悟空っ!」 自分の宮へ悟空を連れかえった観世音は意気消沈し、部屋の片隅でうずくまったまま 動かない悟空に声をかけた。 呼び方が気に入らないらしい悟空を手招きすると膝の上に乗せる。 「・・・・・オレ、金蝉にきらわれたのかな・・・・・・・」 「何故だ?」 「だって・・・・・金蝉、怒ってた・・・・・」 「ぷっ・・・・」 観世音はつい吹き出してしまった。 「あれは怒ってるって言わねーんだよ」 「・・・??」 「”妬いてる”って言うのさ」 「”やいてる”・・・?」 (他人になんかさらさら興味がないあいつがなっ!!) 金蝉の先ほどの様子を思い出し、沸きあがる笑いを観世音は押さえられない。 「お前は凄い奴だよ、悟空」 「???」 「心配するな、あいつはすぐに迎えに来るさ」 「・・・・ホントに?」 「ああ」 それでも不安げな悟空の髪をなでると、観世音は気になっていたことを聞き始めた。 「悟空・・・・焔と会ったのか?」 「うんっ!この間。・・・・・でも名前教えてくれただけでどっかに行っちゃったけど・・・・」 「それで今日も会ったのか?」 「うんっ!庭で遊んでたら焔が居たんだ♪焔ねー、遊ぶ人が居なくてひまなんだって! それでオレに色々教えてくれたんだ♪それでこれもくれたの〜vv」 金蝉にも差し出した紅玉を悟空は取り出して眼前にかかげる。 「きらきらしててきれ〜vv」 『これは俺とお前の約束だ。いつか・・・・そう遠くない日にあの花畑で会おう』 『うんっ!』 「焔は好きか?」 「うんっ好き!」 「金蝉よりも?」 「金蝉も好きっ!」 「一番好きなのは?」 「いちばん好きなのは・・・・・・・・っ」 観世音菩薩の問いに悟空の体が硬直する。 「いちばん・・・好き、なのは・・・・・・」 ゆっくりと悟空の体が観世音に倒れかかる。 それを抱きとめながら観世音は呪を紡いだ。 解けかかる封印を強固にする呪文。 「・・・・・・すまない、悟空」 観世音に顔に浮かぶのは悲しみ。 ・・・・・憤り。 「それでも俺は・・・・・・幸せになって欲しいんだよ、お前らにな・・・・・・」 |
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† あとがき † うーむ・・・”嵐の前の静けさ”編て感じでしょうか・・・。 さぁ、ついに比翼連理も2桁に突入! 悟空は気を失ってばかりですね(笑) まぁ、それだけ失われた記憶と植え付けられた記憶が拮抗しているというか・・・ ・・・・と言い訳してみる御華門(爆) 次回はばんばん焔さまに活躍(?)していただく予定♪ いよいよ動き出す黒幕!(違う/笑) では、]Tでお会いしましょう(^^)/~~~ |