*14*




-光 在-






眩しい。眩しい。
 闇に慣れきった目には毒なほどに光溢れる世界。

 鳥のさえずりが耳に届き、葉ずれの音が・・・草の匂いが鼻に届く。
 

「外だ・・・」
 誰かが、呆然と声を落とした。















 




















 ゆっくりと目を開けた焔の腕の中には、ゆったりと穏やかに呼吸する悟空の姿が
 あり、その大地色の髪を風が祝福するように凪いでいく。
 闇の牢獄を抜け出したことよりも、焔にとっては悟空が腕にあることこそが奇跡に
 等しく思われた。
「悟空・・・」
 長く、目にしていなかったように思われる悟空の顔。
 その顔の輪郭を指でたどり、幻となって消えてしまわないことを確かめる。
「悟空・・・愛している」
 もう何度、その言葉を告げただろう。
 それでも、言い足りない。
 感じ足りない。
 もっと。
 もっとと心は求め続けていた。



「焔」
「大将」
 そんな焔に二人からの声がかかった。
「何だ?」
「いや、何だって・・・」
 紫鴛と是音はこれからどうするつもりなのか、とか色々と聞きたいことはあったのだが
 焔のあまりに・・そう、あまりに幸せそうな表情に二の句が告げなくなった。
 辛く、苦しい、そんな表情しか見たことのない二人にとって焔のその顔は衝撃的で
 あり、また焔にとっての悟空の存在がいかに重たいものであったのかと知らしめる。


 天界へと牙をむいていた。
 その牙は愛しい者を奪われたことで現れた。
 では、その者が腕の中に戻ったならば?

 牙は牙である必要はない。
 それは愛しい者を優しく包みこむ腕(かいな)と変わる。

 そういうことだ。


「まったく・・・困りましたね」
「まったくだ」
 色々とやらねばならぬことは山積みで、異変に気づいた天界の人間がすぐにでも
 駆けつけてくるだろうに・・・。

 あてられたというか、何というか。
 邪魔をしたくない、なんて思ってしまう。

「ま、とりあえず大将は放っておいてあっちを何とかしねーとな」
「・・・・そうですね」
 是音が指差し、紫鴛がまなざしを向けた先には牢獄から解き放たれて喜びに
 大騒ぎしている者たちの姿があった。
 その喜びのままに自由に動かれては余計な苦労が増える。
 自分たちは許されて牢獄から解き放たれたわけではない。
 言ってしまえば怪我の功名。
 いったい何がどうして、こうなったのか・・・はっきりしたことは全くわからないまま
 自分たちは外の世界に放り出されてしまった。

「仕方ねぇ、雑用をこなしにいくか」
「そうしましょう」
 そして、紫鴛と是音は二人から離れて歩き出した。













「悟空・・・・」
 呼吸を確かめて、ほっと安心する。
 健やかな寝息。

「悟空・・・」
 それ以上の言葉が出てこない。
 胸の奥から熱いものがこみあげて・・・・ただ、愛しい者の名を繰り返し、呼ぶばかり。


「悟空・・・・悟空・・・・・・・・っ悟空っっ」


























「・・・・な、いて・・・んの?」








「・・っ悟空!?」
 焔の頬に暖かい手が触れる。
「・・・涙」
 焔の視線の先には指先をぬらして、微笑む悟空が居た。
 金色の瞳は変わらず美しく輝き、心地よく響く声。

「ああ・・・焔だぁ・・・」
 悟空の両腕が伸びる。
「悟空っ!!」
 その腕ごと焔は悟空を胸に抱きしめて。
 ひび割れた大地に水が染み込んでいくように、心が満たされていくのを感じた。
「悟空っ!悟空っ!!」
「焔・・・」
 互いに抱きしめあって、そのかけがえの無い存在を確かめる。

 もう、それだけで十分だった。
















 瞬間。空に雷鳴が轟いた。









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ああ、久しぶりの焔空らぶらぶ(笑)
・・・でしょう?(だから聞くなって/笑)
何やら本気でラストが近くなってきているようですが・・・
果たしてどうなることやら。
このまま御華門が素直にラストを書く気になればあとは
ハッピーエンドを書くだけなんですが・・・・
何しろ天邪鬼な性格ですから(苦笑)
・・・もう一波乱くらいあってもいいかなぁ・・・と(笑)
・・いかがでしょう?