*13*
- 侭 -
| 還っていく あるべき場所へ あるべきものが それこそが 在るがまま |
闇の中は静かだった。 絶望に染まりかける男と、それを固唾を飲んで見守る男たち。 一人の子供に縋り付く男の姿は哀れだった。 いっそ滑稽だった。 けれども、その慟哭は何よりも深く、何よりも激しく胸を抉り言葉を奪った。 果たして自分たちにはそこまで大切な何かがあっただろうか? 己の命よりも。 己の存在よりも。 自分全てを賭けられるものが。 ・・・・・・・・・あった、かもしれない。 けれど、この闇の牢獄に繋がれて諦めることに慣れきった心はそれを思いだせない。 もしかすると、それが自分たちの『罪』であり、『罰』なのかもしれない。 「・・・・羨ましい・・・」 誰かの声が闇にぽつり、と落ちる。 それが、皆の心を代弁した全ての言葉だった。 だが、焔に近しい紫鴛と是音は皆と同じように呆然としていることは出来ない。 狂っていく焔を放っていくわけにはいかない。 「・・・・焔」 気配を頼りに二人に近づき、膝を折る。 「・・・・・・」 何も言わぬ焔と・・・・紫鴛はその腕の中に倒れる悟空の気配を探る。 鼓動は弱いが、確かにある。 吐息も感じる。 ぬくもりが、悟空の生を伝えていた。 「焔、悟空を放して下さい。診てみますから」 「嫌だ」 「・・・・・・・・・・。・・・・・・・」 焔は頭を振り、自分以外の誰かが悟空に触れることを拒絶する。 「大将!このまんまじゃこいつは本当に死んじまうぞ!」 「是音!」 是音の言葉に焔はますます悟空をきつく腕の中に閉じ込める。 「焔・・・お願いです。孫悟空を、救いたいなら・・・・診せてください」 紫鴛は懇願する。 この男がここまで下手に出るのも珍しい。 それほどに、二人は失えないものなのだ。 悟空と焔が互いにそうであるように、紫鴛にとって二人が。 紫鴛は悟空に手を伸ばし、触れてみる。 焔からの拒絶は無い。 「床に・・・下ろしてくれますか」 焔の腕から悟空が離れていく。 そのとき。 ぴくり、と指先が動いた。 ・・・・・・・・・・悟空の。 「・・・・・っ悟空!?」 それまで静かだった焔がその名を叫んだ。 その叫びにこたえるように。 ゆっくりと・・・。 闇の中に開いていく黄金の瞳。 いや、それだけではない。 悟空の体中から光が・・・金色の眩い光が溢れて、周りに広がっていく。 その光が闇を切り裂き、侵食し、あまりの眩しさにたまらず目を覆った。 「何が・・・・」 いったい何が起こっているのか。 その場に居た全員の疑問だった。 だが、それに答えられるべき者は・・・・・・・存在しない。 「悟空・・・」 黄金の光に包まれる悟空の体を焔は再び抱きしめた。 「悟空・・・悟空・・・っ」 どんどん強まる光。 どんどん。どんどん。 闇が、消えていく。 全てが金色の光に包まれ、その中に消えた。 |
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■あとがき■
テーマは『駄々っ子、焔』(笑)
いや、嘘です。でも紫鴛に嫌だ、て返すあたりはそんな感じ(笑)
そろそろラストが近いかもしれないですね〜。
他人事のように言ってますが(苦笑)
もう少しですのでよろしくお付き合い下さいませv