第二部
*6*

― 闇 ―














 闇。







 
 己が目を開いているのか、閉じているのか・・それさえもわからない。
 目の前にさらしているはずの、自分の手。
 気配は感じられても「見る」ことは出来ない。


 ここには一欠けらの光も存在しない。
 見えるものは




 何も無い。






 感じられるのは。
 
 己の息遣いと、気配。
 
 それ以外の、異質な・・・存在。
 
 この闇には何かが潜む。
 それが何かはわからない。何しろ見えないのだ。
 ただ、気配から・・・・・自分にとってはそう大した物ではないと知れるだけ。

 相手もこちらの気配を伺っているらしく、そっと息を殺している。


 








 
 気の弱い者なら、1時間ともたずに狂ってしまうだろう。
 闇とはそれほど、恐ろしいものだ・・・。
 そして、光に慣れきった天界人にとっては、なおさらに絶えられるものでは無いだろう。
 それを知り、この牢獄を作ったものは・・・・いったいどんな性格をしていたものか。
 会ってみたい気がする。
 
 
 ふっと空気がゆらいだ。
 笑ったのだ。




 そう。
 自分にとって、こんな闇など畏れるものではない。
 むしろ、心地よい。
 ずっと浸っていたいほどだ。


 己の心には闇が巣食う。
 いわば、同属、だ。
 昔の自分なら満足したかもしれない・・・・・・・・この闇だけの世界に。
 自分を拒絶しないこの世界に。


 


 だが。






 自分は知ってしまったのだ。
 目を焼くほどに強烈な光を。
 己を暖かく包む、柔和な光を。









「・・・・・悟空・・・」
 俺の光。
 俺の全て。


 お前という光を知ってしまった俺は・・・・安穏にこの闇に身をまかせることなど到底できはしない。
 

 身体がお前に触れられないことで、涙を流す。
 心が、お前に会えなくて叫び出す。













 だから。

















 壊してしまおう。
 この闇を。






 この世界を。









 お前に会うために。


















「紫鴛」
「はい」
 呼びかければ間近から応えがかえる。

「是音」
「おう」
 その反対側からも。









「はじめようか」























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◆あとがき◆

焔さま、独白。
・・・というかうちの焔様、悟空と会えないとなるとどこまでも
暗く鬱っぽくなりますね・・・(苦笑)
しかも破壊衝動にかられるし、困ったものです(何が/笑)



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