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第二部
*5*
― 偽者 ―
扉を開けた先。 そこには花が咲き乱れていた。 「・・・・え」 思わず、悟空はそんな声を漏らしてしまう。 何しろ、観世音菩薩は『光の一条とて差さぬ場所』と言ったのだ。 違う場所に来てしまったんだろうか・・・? きょろきょろと周囲を見渡し、首を傾げる悟空は・・・気がついた。 今、入ってきたはずの・・・背後にあるはずの扉の影も形もなくなっていることに。 「・・・・う」 なるほど。 これならばここに入れられた者が二度ともどって来れないわけも納得できる。 戻るべき扉が無ければ戻れるわけが無い。 「ま、いいか」 だが、悟空は軽くそう言ってのける。 戻るべき扉が無ければ作ればいい。それだけの話。 今は一刻も早く、焔を探し出すことが重要。 悟空は花畑へと一歩踏み出した。 美しい場所だった。 いつだったか、焔と一緒に花冠を作りに出かけたときを思い出す。 楽しかった思い出。 何よりも大切な焔と過ごした時。 「・・・ほむらっ!!どこに居るんだよっ!!!」 我慢できなくなって悟空は叫んだ。 叫ばなければ・・・・泣きそうだった。 けれど、当然そんなに簡単には焔は答えてくれない。 しゃくっしゃくっと花畑の中を歩きながら悟空はあてどもなく彷徨うしかない。 あの漆黒の髪の一筋。 羽織の布の切れ端。 焔に繋がるものならどんなものだって見逃さないように悟空は大地に視線を釘付けにして探す。 「ほむらっ!ほむらってば!!」 暗闇に居るよりも、それ以上にここは悟空の精神を追い詰める。 まるで・・・・・・ずっとここに居ればいいよ、と囁くように、花々は揺れて惑わせる。 「焔・・・」 ついに足を止めた悟空は・・・・・・・・・眼前に。 焔の姿を見つけた。 「焔っ!?」 目を丸くし、駆け寄る悟空に焔は笑う。 「焔っ!焔っ!!」 「悟空、そんなに呼ばなくとも俺は逃げたりなぞしないぞ?」 「逃げないかもしれないけど・・・居なくなるかもしれないもんっ!!」 「居なくもならない、約束しただろう?」 「・・・・・・・・・」 「ずっとお前と・・・悟空と一緒に居ると」 「・・・・・・うん」 あの春の日の誓い。 けれど・・・・そのすぐ後に誓いは破られた。 「今度こそ一緒に居よう。悟空、いつまでも」 「・・・うん」 柔らかく抱きしめられ、髪を梳かれる。 うっとりと目をつむり、焔を見上げた悟空は・・・・・・・・・・・・空を見た。 真っ黒に染まった・・・闇色の空を。 異常だ。 ここはこんなにも光が溢れているのに、空は闇。 大好きな太陽の影も形もない。 「どうした、悟空?」 「・・・・・焔、空が・・・・・・」 「ああ、気にすることはない。ここはいつもああなんだ。だが別に支障は無いだろう?」 悟空はゆっくりと焔の身体から手を解く。 「悟空?」 わからない。 目の前の焔は・・・・・・・『焔』に見える。 だけど。 自分の勘が”嘘”だと告げていた。 そうして見れば全てが違う。 漆黒の髪はくすんでいるような気がするし。 金の瞳も青の瞳も・・・濁っている。 笑顔が・・・・・虚ろだった。 「・・だれ、だよ・・・・お前・・・」 じりじりと後ずさる。 「何を言う、俺は『焔』だぞ」 「違う・・・違うっ!!お前なんか焔じゃないっ!!」 「どうしたんだ、悟空?何も怖がることなんか無い」 「やめろ・・・やめろよっ!!焔の真似なんかするなっ!!」 凄く腹が立った。 何かが汚された気がした。 「悟空」 「気安く呼ぶなっ!」 「悟空・・・・」 「うるさいっ!」 「愛している」 「・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・やめろっっ!!!!!!!!!」 悟空の内で渦巻いていた怒りが外に向かう。 それを止める気は・・・悟空には無かった。 (許さない・・許さない・・・許さない・・・・・・・・・許さないっっ!!!) 悟空の周囲に嵐が起こり、全ての幻は無に帰す。 我に帰った悟空が立っていた場所は『闇』だった。 |
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◆あとがき◆
さて、その頃焔様は・・・みたいな(笑)
久々に一部を読み返していたら・・・色々とミスを発見(笑)
・・・言いませんけどね、どことは(笑)
直しようが無い部分なので気がついた方は知らないふりしてて下さい(涙)