第二幕
*4*

- 妨 害 -







「ここですよ」
 悟空と金蝉は天界一の知識を誇る天蓬に案内を乞い、獄界の門の前に立っていた。

「・・・・こんなところにあったとはな」
「あはは、そうですねぇ」
 門は・・・・・・天帝の座所たる金闕雲宮のすぐ裏にあった。
「灯台下暗し・・・意表を衝く場所だからこそ普通には知られていないのでしょう」
「・・だったら何故、お前が知っている?」
「僕は何にでも興味がありますから♪」
 

「・・・この奥に焔が居るの?」
「それは、わかりません。この門をくぐり、還ってきた者は誰も居ないと言われていますから」
 天蓬の言葉を受けて悟空がぎゅっと拳を握り締めてそびえ立つ門を見上げた。


「・・・・行ってくる、金蝉。天ちゃん」
 くるりと向きを変えた悟空が、にっこりと笑った。
 絶対に焔を助ける!・・・そう決意して。

「・・・・必ず、帰って来い」
 金蝉が悟空の髪をくしゃりとかきまぜた。
「おやつを用意して待っていますからね♪」
 いつもの天蓬の笑顔。

「・・・うん、ありがとうっ!」
 いつもと変わりない二人に見送られて悟空は門へと一歩踏み出す。










「お待ちくださいっ!!」








 その歩みを止めたのは、何時の間に集まったのか。
 焔をこの奥へと追いやった元凶、天界上層部の歴々だった。

「我々をお見捨てになるおつもですかっ!?」
「この世界がどうなってもよろしいのですか!」
「全てが失われてしまうのですよっ!」
「御身を大切になさって下さいっ!」
 悟空の身を心配するふりをしながら、その実。一番わが身の大切さを考えている。

「てめぇら・・・・っ」
 あまりに身勝手な物言いに金蝉がキレる。
「全く何て自分本位な方々でしょうね」
 天蓬が眼鏡に触れる。


 一触即発。
 ぴりぴりと震える空気。


「もし・・・」
 悟空がそんな皆をみながら口を開いた。
「もし、オレがここをくぐらず、こちらに残ったとしても・・・・・・・」















「オレがここを滅ぼすよ」














「「「「「「・・・・・・・・・っ!?」」」」」」」」」
 静かな悟空の言葉だった。
 けれど戯言では無い。
 どこまでも本気だった。

 それを感じとったのか、煩くわめいていた一同が押し黙る。



「オレにはね、大事なものがたくさんある。金蝉も天ちゃんも、倦兄ちゃんも大事だし、・・・・こうして生きてる
 皆が大事だと思ってる。だけどね・・・」
 悟空はもう一度、門を見上げて語る。




「一番大切なものは一つだけ。一人だけ。・・・・・・・・・・・・・・・焔だけなんだ」

 悟空の偽りなき真実の声。
 それが一同の心に響き渡り、反論を許さなかった。
 

「焔が居なくちゃオレが存在する意味なんか無い。焔がオレより先に死ぬとか、一緒に逝くとか・・・そんなの
 まだまだ先のことだろ。オレにとって大切なのは今なんだから」








「絶対に帰ってくるって約束する」
 







「だから・・・・・・・・・・・・・・・・行ってきます!」
 悟空は巨大な扉に手をかけた。










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† あとがき †

一ヶ月ぶりだというのにちょっと短めですみません。
10月は真面目に週一で更新に励みますっ!


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