行き着く先は・・・
風が森を抜け、さやさやと木の葉を鳴らした。 ナルトも、木の上に居るらしいサスケも神経をはりつめ相手の出方を待つ。 だが、いくら経っても相手が仕掛けてくる様子は無い。 しかも、これほど神経をはりつめているというのに全く気配を感じられない。 「・・・・ちっ、逃がしたか」 ナルトが呟くと、サスケも木から下りてきて歩み寄る。 「・・・いったい何者だった?」 「いや、俺は見ていない。ただ、ナルトに走っていく光を見たから声をかけた」 ナルトは抉られた地面に近寄ると、手を触れる。 「・・・熱はないな」 焦げ痕も無い。・・・武器がえぐったような痕でも無い。 ・・・・・何だ、何の武器・・いや、術だ・・・? 木の葉にあるほとんどの禁書に目を通していたナルトだったが、攻撃された術に心当たりが無い。 ナルトに全く気配を感じさせずこれだけの攻撃を仕掛けたからには相当な手練れに違いない。 三忍か・・・火影並・・・・ 「・・・じっちゃんに聞いてみるか・・」 「ナルト。一人で行動するのは危険だ。またこんなことが無いとも限らない」 あくまでもサスケはナルトを守ることにこだわる。 「・・・自分のことは、自分でけりをつける。お前に守ってもらう必要は無い」 「確かに必要ないかもしれない。だが、ナルトが俺に勝手にしろと言ったんだ。忘れたとは言わせない」 「・・・したいのか?」 「何?」 「そんなに・・・・・・・・・俺の邪魔がしたいのかっ!」 本気で怒ったときのナルトは九尾の影響で、瞳孔がすっと細くなる。 その瞳に睨まれただけで、大概の者は硬直して動けなくだろうほど凄まじいプレッシャーがサスケを つらぬいた。 「ナルト・・・っちが・・」 「俺はお前の知っている”ナルト”とは違う!俺に同じものを重ねるな・・・俺の仕事の邪魔をするな。 もし、これ以上邪魔になるようなことをすれば・・・・・・コロス」 それだけ言うと呆然とするサスケを置いて、ナルトは姿を消した。 ナルトが向かったのは火影の執務室だった。 しかし、生憎火影は不在で慣れた気配だけが任務受付所にあることが知れた。 「・・・イルカせんせーっ!」 「ぅわっ!ナルト・・・お前っ!いったいどこから出てきたんだっ!?」 いきなり頭上から降ってきたナルトにイルカは慌てつつも、落とさないようにナルトを床におろした。 「イルカ先生ってば何してんの?」 「見ればわかるだろう?テストの採点だ」 そういえば、アカデミーの筆記試験の頃だ。 「へー・・・・うわ、これ真っ赤か!」 ちらり、とイルカの脇から覗きこんだナルトがある一枚を指差して叫ぶ。 「・・・お前に人のことが言えると思ってるのか・・・・・?」 アカデミー在学中のナルトの絶望的なまでの成績を思い出し、イルカが半眼になる。 「あ、あれはっ!わ、わざとだってば!俺ってば火影になる男だしっ!」 「ほぉ・・・わざとなぁ」 「そ、そうだってば!」 (マジにな・・だいたいこんなアカデミーの子供じみた試験なんぞ馬鹿らしくてやってられるか・・) 「・・よしっ、それじゃあナルト!」 がしっとイルカに肩をつかまれた。 何だか、凄まじく嫌な予感が・・・ナルトはした。 「お前に模範解答を作ってもらおう!」 「え゛」 「ん、どうした。こんなもの簡単なんだろう?」 「お・・・おうっ!簡単だってばよ!」 「じゃ、頼んだぞ」 力強く微笑んだイルカに問題用紙を手渡される。 「出来たらラーメン奢ってやるからな?」 「やった!一楽だってば!」 「・・・出来たら、だぞ?」 「う・・・・わ、判ってるってば!」 (・・・マジ、うぜーー・・ていうか、何で俺、じっちゃんに用があってきただけなのに、余計な仕事 増やしてんだ・・・サイアク) 心の中で悪態をつきため息を落としたナルトは、元気なイルカに見送られて帰途についたのだった。 |