どこまでも続く
このままでは俺がストレスでどうにかなる。 サスケに好きにすればと言ってしまったナルトだったが予想外の鬱陶しさにいい加減、 対抗策を講じなければと考え始めた。 対抗策その壱。 『サスケ(仮)を殺す。』 金はかからなそうだが、あのサスケは簡単にナルトに殺されてくれそうに無い。 余計な手間をかけるのは時間の無駄だ。 対抗策その弐。 『サスケ(仮)のことを火影にバラす』 忍とはすなわち道具。火影ならば優秀な忍が出来たと喜びそうだ。 が、しかし。ナルトの傍からサスケ(仮)を消すという根本的な解決にはなっていない。 下手をすると安住の地を見つけてやってしまうことになるかもしれない・・・それは甚だしく嫌だ。 対抗策その参。 『暗部にサスケ(仮)抹殺を依頼する』 壱の案と似たりよったりだが、ナルトが直接手をくださず、暗部にまかせるところが金はかかるが 手間はかからないのでお手ごろである。 だが、そのへんの暗部ではサスケに返り討ちという可能性大。 嫌ってはいても、感じるチャクラからその強さは測ることができる。 対抗策その四。 『サスケ(仮)を元の時代に戻す』 「・・・やっぱこれしかないな」 一瞬のうちに取捨選択された選択肢の最後の一つにナルトは頷く。 誰かを消すというのは殺すのが簡単だが、それが出来ないとあらば元の時代に帰っていただく しかない。 聞けば、サスケがこちらの・・過去の世界にやってきたのは未来のナルトが何かの術をかけた せいらしい。その術に心当たりが無いでは無いが、今までそれほど価値を見出せず興味も無く 放っておいたのだが、詳しく調べてみる必要があるだろう。 うまくいけばこの煩わしさから解放され、自由が手に入る。 ナルトはにやり、と笑うと禁術が収められている書庫へと消えた。 時を操る術というのは、その異質さゆえに禁術にされている。 地水火風、召還にしても今現在という同じ時間に別の場所からその力を取り出す。 術の長短に違いはあるが、その論理的構成にはさしたる違いは無い。 だが時に関係する術はその構成からしてかなりの矛盾の上に成り立っており・・・いや成り立つ というのがそもそもおかしいのだが、その矛盾のせいで術として発動しないものがほとんど。 だが、中には偶然その矛盾が整合することになり発動してしまったものがある。 ただし、発動は確認されたものの、発動させた当人が綺麗さっぱり消えてしまったため、どんな 危険を伴うか判断できないということで封印されている。 そんな数少ない一つが、未来のナルトがサスケ(仮)に使ったものなのだろう。 ほとんどの禁術に目を通していたナルトだが実践向きでは無い上に術者の生死が不明という 記録から、サスケには命を引き換えにする、と脅したまでなのだったが・・・。 ナルトは記憶にあるその巻物をこっそりと忍び込んだ書庫から持ち出し、禁足の森へ運んだ。 ここに来るまでにサスケ(仮)は何とか巻いてやったので、周囲には誰の気配も感じられない。 ナルトは巻物の紐を解くと、ばさっと勢いよく広げた。 「ん〜と・・・?」 筆で書かれた文字を追っていく。 何とか解き明かしてやろうというナルトの鋭い視線が巻物につきささる。 さっさとしないとサスケがナルトの居場所を見つけ出す。 あのサスケは妙に鼻がきいて困る。カカシ以上だ。 「ナルトっ!避けろっ!!」 叫ぶ声に何がと問う前にナルトの体が動く。 反射的に木の枝に跳躍したナルトは、一瞬前まで自分が居た場所が抉れるのを見た。 ナルトは神経を集中した。 先ほどの声はサスケ(仮)のもの。 しかし、ナルトが攻撃されてそれに気づかないというのも奇妙だった。 まるで突然にふってわいたような攻撃だった。 (・・・何者だ・・・?) 全く気配が感じ取れない。 忍というのは気配を殺すことを得意とするが、敵に攻撃をすればそんなことは不可能だ。 どんなに抑えても殺気というのは漏れるし、術の発動の余波もナルトには感じることができる。 ナルトの額に汗が滲む。 正体不明の敵。 しかもかなりの強敵らしい。 |