その想いは・・・
ナルト達第7班はカカシが任務で不在ということで、一週間の休みが与えられていた。 もちろんカカシからは宿題が出されているが、そんなものナルトにとっては問題にも ならない。とっとと片付けて鬱陶しいストーカーが居ない日々を満喫しているのだった。 そんなところへ現れた、サスケと名乗る、未来のサスケ。 どうしたことか、ナルトを守ると言い張って・・・今も周囲に潜伏中。 「・・・・鬱陶しい」 せっかく元祖ストーカーが居なくなったと思ったら二代目が・・・。 巻こうにもこの狭い里の中。 ・・・・・はぁ。 ナルトは何度目になるかのため息をついた。 「ナールト」 窓に熊、発見。 そこは入り口じゃないのだが、所詮動物には何を言っても無駄らしい。 「・・・お、何か機嫌悪そうだな・・・」 「そう思うんならどっか行け」 取り付くしまもないナルトに熊・・でなく、アスマは気にすることなくどかどかと部屋の中へ 上がりこむ。 「今日ばっかりはそうはいかないんだ」 「・・・ふん、火影のじっちゃんに何か言われたか?」 図星らしいアスマは苦笑いを浮かべる。 「お前の周りに妙な気配があるらしい。水晶で見ようとしても濁ってはっきりとした姿が 捕らえられないと言っていたが・・心当たりあるか?」 「・・・・・・」 ある、が・・それを素直に言うつもりはナルトには無い。 別にサスケ(仮)をかばってやっているわけでは、もちろん無い。 「・・俺の周りに妙な気配があるのは、いつものことだろ」 「・・お前が言いたく無いのなら無理に聞くことが出来るとは思わねーけどな」 ナルトが何か隠しているのだろうことは、アスマにはバレている。 「・・・まったく、鬱陶しい奴が居なくなって静かに過ごせると思えば、次から次へと・・・」 「ははは、カカシの奴半泣きで任務に行ったぜ」 「ふん」 最近のカカシはナルトの傍を離れるのが嫌だからと遠隔地任務を悉く断っていた。 基本的に与えられた任務の拒否権は忍には無い。 それを押し通してしまうカカシもどうかと思うが、それだけ里にとってカカシは重要な 忍だということなのだろうが・・・ナルトにとってはいい迷惑だ。 今回の任務も断ろうとしたカカシだったが、いい加減キレ気味だったナルトが裏から 手をまわして断れないようにしてやったのだ。 ・・・・ざまぁみろ。 「・・・それなのに、お前はなんでそんなにイライラしてんだ?」 「・・・別に。熊には関係ないだろ」 「熊、言うな。・・・だけどな、一応俺、監視役代理だしな。・・・しゃべらねぇ?」 「知らないな」 アスマは頑固だな、と苦笑した。 「・・・ちっ、いちいち人が現れるたびに緊張するな。バレて困るのはお前だろうが・・・」 誰にも居ない空間に語りかけているようなナルトだったが、答えはきちんと返ってきた。 「・・・アスマ上忍。あいつもお前のこと知ってたんだな」 「当然だろ。中忍以上の奴で俺のことを知らないやつはこの里には居ない」 「そうじゃなくて・・・」 「俺が猫かぶってるって?」 くくく、とナルトが笑う。 すっと音もなく黒い影が部屋に現れる。 「ナルト・・・」 「カカシが居なくて幸いだったってば。あいつ鼻だけは恐ろしいほどよくきくからな。お前の ことバレてたかもよ?・・・それも面白かったかもな」 「・・・・・・」 将来のナルトがどうなっているのか、ナルトにわかるわけも無い。 サスケの反応からすれば・・・・今のナルトとは少々違うらしい。 「サスケ(仮)、お前が何を期待してんのか知らないけどな。俺にお前が知ってる”ナルト”を 重ねあわせんなよ。・・・イライラする」 「・・・・すまない」 シュッ! パシッ。 ナルトの手から放たれたクナイをサスケが受け止める。 「出ていけってば」 何の抑揚も無いナルトの声。 「・・・・」 サスケの気配が消える。 どうしてこうも『サスケ』という存在はナルトを苛立たせるのか。 今も・・・そして、未来の存在も。 ・・・きりきりと胃が痛む。 もし、ずっとこのままあいつ・・・サスケ(仮)がナルトの周りをうろつくとすると・・・・ 「・・・・マジに、うざい・・・」 想像して、ナルトは眩暈がした。 |