それは運命などでは無く・・・



















「・・・どういう、こと・・だ?」
「ん?お前頭悪い?言葉のまんまだろ。使ったら俺が死ぬってこと」
「それは・・・禁術だということか?」
「その通り、だってば♪だから”俺”は知識としてその術を知ってるだけで実際に使って
 みたことは無いけどな」
「ナルト・・・それは、本当に・・・絶対に確実なことなのか?」
「俺を信用するもしないもそっちの勝手だろ」
 ナルトのセリフにサスケは地に手を叩きつけた。



「・・・で・・・何でそんなことを・・・・・っ!!」
 今ここにサスケが居るということはその禁術をナルトは使ったということなのだ。
 ・・・・そう、自分を助けるために。

「俺が助かったって・・お前が・・・お前が生きてないと意味が無いだろうが・・・っ」
 怒りと悔しさと・・・絶望的な喪失感。
 もう・・・もう二度とナルトの・・・生きた姿を見ることは出来ないのだろうか。
 サスケはあまりのことに目の前が暗くなる。

 ナルトを守るためならば、何でもする覚悟だった。
 人に冷血漢だと、悪党だと呼ばれようとナルトさえ笑ってくれていればそれでよかった。
 それが己のせいで・・・・命を奪うなどと・・・・・・・っ!!

「ウスラ・・トンカチ・・・っ!!」
 


 そうして必死に己を責めているサスケをナルトは褪めた視線でじっと見ていた。
 何をそこまで絶望感にひたる必要があるのだろうか?
 自分が居なくなったほうが里にとっては好都合だろうに。



「・・・・・・・ナルト、すまない」
 だが、サスケは違うらしい。
 ナルトでは無いナルトに謝罪の言葉を口にすると取り出したクナイで己の胸を突き刺した。


























「・・・やめろよ」
「・・・ナルト」
 だが、サスケの胸を衝くはずだったクナイはナルトの手によって寸前で止められた。
「止めるな」
「別に止めたくて止めたわけじゃない。あんたが死ぬのは勝手だけどさ、ここで死ぬのは
 やめてくれない?ここは血で穢すことを許される場所じゃない」
「・・・・・?」
「とにかく、死ぬならどっか別の場所で死んでよ。あとその写輪眼もちゃんと始末しておいて
 くれよな。後々俺たちが苦労するんだから」
「ナルト・・」
「何だよ?」
「お前はナルトなんだよな」
「何を今更・・」
 わかりきったことを聞いてくるサスケにナルトは心底あきれる。
 だが、サスケはぶつぶつと独り言を言いながら何やら頷いている。

 ・・・おかしくなったかな?
 ま、俺には関係ないけどな。


「じゃ、俺は帰る。明日も任務あるし」
「待て!」
「・・・だから何?」
 ナルトは迷惑そうな表情を露骨に浮かべる。
「俺がこの時代に来たのも何かの巡り合わせ。お前を守れということかもしれない」
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ!!??」
 とんでもないことを言い出した。
「ナルト・・・俺がこの時代に来たのも何かの縁だろう。元の時代に戻れるのかもわからない」
「それで俺を守るってわけ?冗談はやめろ。俺はお前のような奴に守ってもらわなくても
 生きてきた。必要ない」
「ああ、わかっているさ。お前が強いってことは。だからお前を守りたいというのは全て
 俺の勝手だ。だからお前は俺のことなど気にすることなく生活してくれればいい」
「・・・・・。・・・・・」
 つまり、サスケはサスケで勝手にナルトを守るから、ナルトも勝手に生活しろと?
 ・・・・・こいつ、いい性格になったよ・・・

 あの自分の兄に復讐するだの何だのと甘いことを言っていたサスケが・・・少しは
 成長したということか・・・。


「・・・じゃ、勝手にすれば」
 そう言ったナルトの声は僅かに厳しさが緩んでいた。











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