運命とは
私はついに、矛盾を整合させた。 まとめるのではない 全てを、何の法則もなく崩すのだ。 だが、果たして人の身に耐えられるものだろうか・・・。 わからない。 それでも、私は・・・・・ |
「全てを、何の法則もなく・・・崩す・・・・・か」 これ以降には何も書かれていない。男は迷ったものの、実行し・・・・姿を消したのだ。 ナルトはもう一度薄っぺらな手帳に目を通すと、手の上で焼却した。 再び、禁足地である森の奥へ戻ってきたナルトは、邪魔が入ったために途中やめになっていた 時に関する巻物に目を走らせる。 この術を完成させ、絶対にサスケの奴を未来とやらへ突き返してやる・・・とおよそ熱血とはほど 遠いところにいるナルトが、全ての意識を集中させている。 人の頭というのは不思議なもので、どうしても規則正しいものを好む。どんなものにでも規則性を 見つけて安心したくなる。 「・・・・・・・」 ナルトは巻物を置くと、そっと目を閉じた。 今まで築きあげた術のイメージを一つ一つ壊していく。 「法則なく・・・・崩す・・・・」 呟くナルトの体の周りに黒いチャクラがまとわりはじめる・・・だが、それ以外は風のそよぎもなく これほど木々に囲まれているのに、葉の一枚も落ちてこない。 そこだけ、切り離された空間のように・・・。 ナルトは息を吐き出し、目を開けた。 「・・・感じは掴めたな・・・・後はサスケ(仮)の奴を連れて来ないと」 もしかするとまだ、サスケの格好をして木の葉の里をうろついてるのかもしれない。 ナルトを守ると言った割りに、職務怠慢だ。 「ったく、手間のかかる・・・」 立ち上がったナルトはサスケ捜索に森を出た。 「・・・だいたい本物のサスケの奴は修練場に居やがるから、そこはパスだな」 後行きそうなところといえば・・・・。 「武器屋、あたりか?」 いちいちサスケの行動まで把握していないナルトには修練上以外の検討がつかない。 甘味屋でないことだけは確かだろうが・・・。 「ま、里をうろついてみるか」 そのうちあっちから声を掛けてくるだろう。 「おいっ!ナルト〜っ!!」 「・・・わっ!イルカ先生だってばっ!!」 アカデミーを通り過ぎようとしたナルトはイルカに捕まった。 (・・・また、何かやらせるつもりじゃねぇだろうな・・・・勘弁してくれ) 「この間のやつ、よく出来てたぞっ!」 「当たり前だってばよ!俺が本気になったらこんなもんだってばよっ!」 (・・・確か3分の1は間違えて出したはずだが・・・それで『よくできた』なのか、俺は・・・) 「一楽のラーメン奢ってやろうっ!」 「ホントだってば!イルカ先生大好きっ!!」 (・・・・ホント、何だってあんたはこうタイミングが悪いんだろうな・・・) ナルトは満面の笑みを浮かべてイルカに飛びつきながら、心の中で乾いた笑いを漏らした。 そして、イルカに連れられてきた一楽には先客が居た。 「あー、サスケだってば!一楽のラーメン食うなんて生意気っーっ!!」 (・・・居やがるし・・・) 「こら、ナルト!そんなこと言わない!・・・サスケ、久しぶりだな」 「・・・・・・・」 無愛想に頷く。そういうところは全く成長していない。 「ちゃんと返事しろってば!」 「・・・うるさい、ウスラトンカチ」 「むきーっ!!」 サスケに掴みかかりつつ、ナルトはぼそりと声を飛ばす。 『何やってんだ、てめーは』 『ここに居れば、お前が来ると思って待っていた』 『あー・・・そう』 サスケごときに行動範囲を把握されたナルトは、ほんの少し負けた気がした。 |