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ひとまず、騒動になりそうだった里人を静めたナルトが執務室に帰ってくると客人が居た。 気配を察していたナルトは、にっと笑うとやぁと手を挙げる。 「久しぶり、我愛羅」 「・・・いったい何のつもりだ?」 精悍さを増した姿は、隙一つ無い。 「不法侵入に無愛想。挨拶ぐらいかえしたらどうだ?」 我愛羅は無視する。 ナルトも無視されることはわかっていたのか、それ以上言及することなく椅子に腰掛けた。 「何のつもり、とは?」 「お前のところの忍が運んできたブツだ」 「宣戦布告?」 「それ以外に何がある」 ナルトは唇を微笑の形にとどめたまま、トントンと机を叩く。 「我愛羅、宣戦布告にいつから別の意味がついたんだ?」 「つまり、お前はうちに戦を仕掛けるのか」 「そう書いてあっただろう?もっとも、全面降伏すれば仕掛けるまでも無いけれど?」 「馬鹿な」 話にならんと、我愛羅が眼光鋭く睨みつけるがそんなものがナルトにきくわけも無い。 「何?わざわざそんなことを聞きに来たのか?・・・風は暇なんだってばね?」 「貴様は・・っ」 挑発に乗りそうになるのを、ぎりっと唇をかむことで抑えた我愛羅はナルトに何かを投げて 寄越した。 「風影からの書状だ」 「ご苦労様」 受け取った書状に目を通すことなく火を放ち、消し炭にする。 書いてあることは読まずともわかる。どうせナルトが気が触れただの、九尾に支配されたのだのと埒も無いことが書かれているだけだ。読むだけ時間の無駄だ。 「我愛羅、今の風影が死ねば・・・次はお前だよな」 「・・・・さぁな」 「絶対になれ」 「お前に指図されるいわれは無い」 「ある。我愛羅には、俺の計画に力を貸して貰いたい」 ガンッとナルトの顔の横の壁に我愛羅の拳がめりこんだ。 「ふざけるな、うずまきナルト。いったい何を企んでいる?」 「まぁ、確かに色々と考えてはいるけど・・・まずは今の風影は殺す」 「・・・・・・・」 「その次も、お前じゃない奴が影になるなら殺す」 「・・・・何がしたい?」 「なぁ、我愛羅」 至近距離にあった我愛羅の顔に、ナルトの手が触れた。 我愛羅の体は常に砂の鎧で覆われているが、その感覚はダイレクトに皮膚へと伝わってくる。 冷たいかと思われたナルトの手は、温かかった。 その予想外に、我愛羅の胸の奥が震えた。 「風とか、木の葉とか・・そういう面倒なこと一切無くした場所で生きたいと思わないか?」 「・・・・・・」 「忍の里同士、表面では互いに戦を仕掛けることもなく平和を装っているが、その実互いの動向を探っていつでも隙をつけるように狙っている。任務中の殺し合いなんて日常茶飯事だ」 「・・・お前が殺し合いを嫌っているようには見えん」 ナルトの笑みが深くなった。 「それは否定しない。だが、境界を鬱陶しく思っているのは本当だ」 だから、壊してやりたいのだとナルトは訴える。 「・・・まるで子供の我侭のようだな」 「我愛羅」 何がそれほど嬉しいのか、ナルトは満面の笑みを浮かべ我愛羅に抱きついた。 「俺はな、我愛羅・・・成長してない子供なんだ・・・・ってばよ」 我愛羅の耳元で、くすくすと笑う。 「子供は我侭なんだ。・・・欲しいものは我慢できない。どんな手を使っても俺は手に入れてやる」 だからさ。 我愛羅も、そろそろ腹を括れ? |
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我愛羅さん、最後のあがきです(笑)