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 ナルトの狙いはこれだったのだろうな、とシカマルは各里の忍に囲まれた状態で一人納得していた。









 国主の引き止めの言葉を笑顔でかわして、ナルトたちは宴の翌日には城を出発した。
 何日も滞在する理由など無いし、火影たるものが長く里を離れるわけにもいかないからだ。
 元々、ナルトの本来の目的は宴に出席することでは無かったようであるし・・・。

「鬱陶しい爺だったな」
「爺って・・・」
 まだ国主は49だ。
「あれで賢すぎたり馬鹿すぎたりしたら救え無いところだが、まぁあの程度が丁度いい」
「・・・・・」
「もちろんシカマルは、賢いほうがいいけどな」
 意味ありげに笑いかけられる。
「・・・聞いてねーよ」
「結構便りにしてるぞ、お前のこと」
「・・いーから、俺のことは放っとけ」
 僅かに頬を赤くしたシカマルに、ナルトはくつくつと笑う。
「ところで、シノたちに土産買ったか?」
 あ、とシカマルの顔が歪む。
「・・・・いや」
「恨まれるぞ、俺は買ったからな」
「いつ」
「宴の間、影分身に買いに走らせてた」
「・・・・・」
 便利だよなぁと今さらな感想をもらすナルトに、シカマルの疲労がピークに達する。
 ナルトと二人だけの旅。嬉しくないわけが無い。
 だが、二人だけというのはナルトの注意が他にまわらずシカマルに集中するため疲れるというのも
事実なのだ。他の誰かならばそんな面倒なことに付き合うシカマルではなかったろう。

(――――俺もいい加減、キちまってるよな・・・カカシ上忍ほどではないと思うが・・)

 ナルトフリークの間では、『カカシと同じ』という言葉は史上最悪の悪口と同様。
 言われた本人の衝撃ときたら、一月は立ち直れない。

「ところで、シカマル」
「あ?」
「使えそうなやつ、居たか?」
「あー・・・」
 ぽりぽりと頬をかく。
 宴の中には、巧妙に変化した他国の忍が幾人か混ざっていた。
「よくわからねぇのが一人」
「そいつはダメ。俺の天敵だ」
「!?」
 史上最強を誇るナルトにそんな存在が居たなど初耳である。
「そんじゃ、別に変化なんぞしてなかったが、砂の・・」
「我愛羅ならもう数に入れてる」
「・・・・・」
 それもどうなのだろう・・・本人勝手に数に入れられていると知れば怒りだしそうだが。
「誑す自信はある」
「おい」
「あいつが欲しいものなんて、今も昔も変わらないからな。わかりやすくていい」」
「・・・・・・」
 気の毒に・・・・。
 下手にナルトに関わったために人生を狂わされたものはどれほどか。
 もっとも、本人たちは結局それを悦んでいたりするのだから余計に救われない。
「何のかの言ったところで、忍大国木の葉を越えるだけの人材ってのはなかなかな・・めんどくせー」
「うちは粒揃いか・・・・・・だってさ」
「は?」
 語尾はシカマルに向けられたものでは無い。



―――――― 砂塵が舞い、数人の忍が姿を現した。



「ナルト様」
 当然のようにナルトの名を呼び、忍たちは一斉に膝を折った。



『六代目火影就任、お祝い申し上げます』



 ナルトは緩やかに笑った。








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勘がいい方なら、何が書きたいかそろそろバレるかな・・・
あと1話か2話で終了です。