「ナルト、おめでとう!ついにあんたも上忍ねっ!」 「漸く来たか、火影になると大口を叩いていたわりに遅かったな」 「まったく、同期ん中じゃお前が最期だぜ?」 「ナ・・ナルト君、お、おめでとう・・・」 上忍詰所『人生色々』に姿を現したナルトに、スリーマンセルを組んでいた頃の仲間たちが一斉に 集まり、口々に祝いの言葉やら嫌味やらを贈った。 いずれにしろ、仲間の誰もが待ちかねていたナルト”上忍”の誕生だった。 ナルトもきっと『オレってば火影になる男だってば!』と喜んで、いつものセリフを吐くと・・・ そう思っていた仲間たちは、ふと憂いを帯びたナルトの薄い笑みに意表をつかれた。 それは、自分たちがよく知っていたナルトが決して持ちうる表情ではなく、まるで”上忍昇任”など 大したことでは無いと言うかのように。 そして、その態度を裏付けるようにナルトは新人上忍とは思えぬほどに、この場所に馴染んでいた。 「・・・・ナルト?」 サクラの眉が不審げにしかめられる。 「・・・うずまき?」 「ナルト君・・・・?」 ネジ、ヒナタ、キバも揃って動きを止める。 そんな四人に向かい、ナルトは妖しささえ感じる笑みを浮かべた。 恐ろしく整った美貌に浮ぶその笑みに呆然とする。 こんなナルトは知らない。 『うずまきナルト』はこんな笑い方はしない。 デハ・・・コノ目の前ノ・・・モノは・・・美シイ、生キモノは・・・ナニ? 「・・・お前たちにとっては”初めまして”だな。俺が、『うずまきナルト』だ」 「え・・・・・」 サクラとヒナタ、キバが言葉を失う中、いちはやく何かを察したらしいネジが白眼でナルトを睨んだ。 「・・・なるほど、噂は本当だったというわけか」 「え・・?え?え?」 「あの・・ネジ兄、さん・・・?」 「その美貌と技で、中忍どもを骨抜きにしている忍びが居る、と聞いていた」 「・・・骨抜き?・・・ふ、勘違いするな。あいつらは自分たちで俺に従うことを選んだまでだ」 あのクセのあるしゃべり方ではない。威圧感さえ感じさせるその口調。 ネジの言葉は否定、されなかった。 「う・・・そ・・・・」 「何がだ?サクラ・・・ちゃん」 今までのナルト像が崩れ去っていく。 あの、元気で、何事も前向きな、馬鹿なほどひたむきな・・・不器用だけど、どこか憎めない。 ・・・・『ナルト』という存在が。 「・・・俺たちは、まんまと騙されていたというわけか?」 「気づかないほうが間抜けなんだろう?シノもシカマルも気づいたぜ?」 ネジに対して、言下にあの二人よりも下だと馬鹿にする。 「くっ・・」 「ナ〜ルト〜、そこまでにしてあげなよv」 突然に割り込んだ声に、視線が向いた。 「カカシせん・・上忍」 「何の用だ、カカシ。お前には任務が与えられていただろうが」 「だってナルトがここに顔出すって聞いたから、もう速攻で終わらせてきちゃったよ♪」 「いつもそうだといいんだがな」 カカシ相手に対等・・・いや、それ以上の口を叩くナルトに、目を丸くする。 「ッカカシ先生っ!!いったいどういうことっ!?ちゃんと説明して下さいっ!!」 予想外の事態に、サクラがカカシへ詰め寄る。 「いや〜ん、サクラって美人だからそんなに迫られたらイケナイ気分になるじゃないかv」 「先生っ!!」 怒髪天を衝くとはこのことだろう。 「どういうことも何も、ナルトはナルト、でしょ?」 「それは・・・っ・・・そう、だけど・・・」 ちらり、とナルトに視線をやると、二人のやりとりを気にした風もなく飄々と立っている。 「・・・でも!・・・どうしてそんな・・・っ」 そんなことをする必要が・・。 「九尾さ」 ナルトの一言にはっと息を呑む音がした。 「お前たちも上忍だ、俺の身に九尾が封印されていることはすでに知っているだろう。九尾に対する 畏れは、俺自身への畏れに転化していた。畏れは容易く排除の感情へ傾く」 「それを防ぐために道化を装っていたと・・?」 「余計な面倒を抱えるのは嫌だったからな。表面化での迫害などたかが知れている・・・」 「・・・それで、こうして正体を明かしているというのは、その必要が無くなったから、というわけか?」 ネジの言葉にナルトはにやりと笑ってみせる。 「俺は察しのいい奴は嫌いじゃない。・・・ネジ。長じればこいつのように」 カカシを顎で示す。 「ヘタれる奴も居るが、お前は実務面だけでなく事務面でも優秀なようだ」 「・・・何で知っている」 噂で、というには確信した口調だった。 「暗部の関係で、上忍の報告書にも目を通す」 「暗部!?」 再び目をむく一同。 「ナルト、そこまで言っちゃっていいの?」 ヘタレ、と言われいじけていたカカシが復活した。 「ああ。俺に敵対するというのなら、さっさと潰しておきたいからな」 「敵対、だと・・・?」 「ナ、ナルト君・・・・??」 「日向ネジ、ヒナタ。お前たちは里の有力な名家にして、実力においても問題ない。犬塚キバ、忍犬の養成 扱いのおいて比類ない。春野サクラ、里でも五本の指に入ろうかという頭脳と情報解析力を持つ。いずれ 里の未来を背負うにふさわしいと言えるだろう」 「何が言いたいの?」 「俺は六代目、火影となる」 |
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これも一種のカミングアウト?(笑)