(2)











「・・・・・・・・・・・は?」
 目の前の女中頭、ミズホの言葉の意味が瞬時に理解できなかったナルトは
 呆けた声を出してしまった。


「あなたは隼人様に見初められたのです。光栄に思いなさい」



 ・・・・・見初められる?
 見初め・・・・・・・て、どういうことだったてばよ・・・・・?
 確か、それってば・・・・・・・・・・

「隼人様を満足させるのも侍女の仕事。ナルト、今日は奥のことはいいから湯につかり
 しっかりと支度なさい」

 支度って支度って・・・・・・・・・・・・・!!!!
 ここの主人と”寝ろ”っていうことかってばよ〜〜っ!!!
 そんなの嫌だってばよ!!
 ・・・・そ、そりゃぁ任務とかでそういうの無かったとは言わないけど・・・・・
 そんなときってば薬使って相手に思い込ませてたってばよ!!
 オレってば今、何も持ってないってば!!


 ナルトは混乱していた。
 けれど、その間にも時は刻む。

 
「まぁ、あなたがナルトさん!」
 気づけば、目の前に知らない女性が立っていた。
「息子のことをよろしく頼みますね!ホントにあの子ったらいつまでたっても俺は
 女なんかに興味ないと言って・・・心配していましたの!!それが・・・」
 袖で目頭を押さえる。
 ・・・・・息子?
「本当によろしゅうございました、奥方さま」
「ええ、ええ!よろしく頼みますよ、ミズホ」
「おまかせ下さい、奥方さま」
 二人は呆けるナルトなどお構いなく盛り上がる。


「さ、どんどん支度してしまいましょう!」
 ミズホがパンパンっと手を叩くとどこからともなく侍女たちが現れる。
 その手にもっているのは色とりどりの着物や簪、化粧道具。

「あ、あの・・・・」
「まさか否やとは言わないですね」
 ミズホの目が据わっている。
 
 ・・・・・・・・・・忍より怖いってばよ!!


 怯えるナルトはあれよあれよと着物を脱がされ、新しいものに変えられる。
 結っていた金髪は解かれ、丹念に櫛で撫で付けられる。
 そして一層艶を増した髪を器用により美しく見せるように結い上げる。
 ところどころにアクセントでさされた銀製の簪がよく映えた。




「まぁ、本当にどこかの姫君のよう・・・」
「・・・・・・・・」
 出来上がった成果に侍女たちがうっとりと見惚れる中、ナルトは”全然嬉しくないって
 ばよ・・・・”と涙するのだった。






























 そしてナルトは屋敷でも奥に位置する部屋に通された。
 見るからに他とは違い高価そうな置物がある。

(ちょっとサスケん家にある壷に似てるってばよ・・・)
 現実逃避にナルトはそんなことを思い出していた。


(う〜〜・・・嫌だってばよ〜〜・・・)
 なかなかやってこない主にナルトはそわそわしだした。
 足もしびれてきた。
 

「おなりです」
 そんなころ、ようやく外から案内の侍女の涼やかな声が部屋に響いた。

 
 ごくん。

 ナルトは唾をのみこむ。

 障子の開けられる音がして・・・畳を擦り歩く音・・・・そして上座に座る。
 頭を伏せているナルトには顔はわからなかった。



「そのように畏まらなくても良い。面をあげよ」
 ナルトが思ったよりもずっと若々しい声だ。
 しかも丁寧ではあるが偉そうな口ぶりではない。

 ほんの少しだけ興味が湧いたナルトは、言葉に従いゆっくりと頭をあげる。




 そして。
 眼前にある顔にナルトは目を丸くして驚いた。









「・・・・サスケっ!?」








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■ あとがき ■

すみません・・・もう少し続きます(T×T)





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