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(1)
忍はいかなる状況においても
感情を表に出すべからず
任務受付所に10を越す人数の忍が集まっていた。 しかも上忍と中忍という錚々たる構成メンバーである。 呼び出された当の忍たちでさえ、表には現さないまでもいったいどんな任務が待ち 受けているのか気が気ではない。 そんな中に。 一際目立つ金髪を無造作に腰まで伸ばしたナルトの姿があった。 落ち零れだったはずのナルトは下忍になるや否や才能を開花させた。 下忍、中忍・・・そして上忍。 とんとん拍子に腕をあげ、ナルトは最年少で上忍になった。 いまだナルトのことを良く思わない輩は居たが、見目と何よりその強さに惹かれぬ 者は居なかった。 見目・・・・。 そう、ナルトは才能とともに姿形までも開花させた。 あたかもみにくいアヒルの子が白鳥になったように。 生来の金髪は艶やかさを増し、青い瞳は宝石のように見る者全てを魅了した。 そして何より翳りの無い笑顔はつらい忍の任務を忘れさせた。 「ナルト」 その誰もが近づきたくも遠巻きにしていたナルトにあっさりと声をかけた者が居た。 そして、くるりと振り返り声のほうを向いたナルトも破顔した。 「サスケっ!」 『うちはサスケ』 こちらは血統もさることながら努力と才能でナルトと同じく最年少で上忍になった。 もとよりくノいちクラス人気No.1だったサスケは18になった今、木の葉隠れの里随一の ”美青年”として抱かれたい男No.1になっていた。 「久しぶりだってばよ!」 「ああ」 中忍になったころから任務も別々になり、スリーマンセルを組んでいた頃のように 毎日顔を会わせることなど無くなっていた。 それでも二人はお互いを認め合い、良きライバルだと思っていた。 「サスケも今回の任務に呼ばれたのか?」 「そうだ」 「こんなに大勢で任務するの初めてだってばよ!楽しみだってば!」 「相変わらずお気楽だな、お前は」 「そういうサスケこそ相変わらず暗いってば!」 下忍のころならこのセリフで掴み合いの喧嘩になっていだろう。 だが、お互いの顔に浮かぶのは笑顔。 「サスケに会えて嬉しいってば!」 「・・・・・・・馬鹿」 素直に感情を露にするナルトにサスケはそこまで素直にはなりきれない。 たとえ同じように思っていたとしても。 そこへ。 扉が開き、火影が現れた。 それだけで場に緊張が現れる。 任務を火影から直々に告げられる。 それはAランクの仕事を意味していた。 「あ、じーちゃんっ!」 けれど、ナルトだけは変わらず・・・火影は人知れずナルトを呼んだことをちらりと 後悔していた。 「ごほん、では任務を告げる」 咳払いでナルトに集まっていた視線を己に集まると火影は重々しく口を開いた。 「任務は諜報。依頼人は・・・・・・・」 『火影』 そのセリフに忍たちに動揺が走った。 「え、火影のじーちゃんが依頼人なんだってばよ?」 「そう、儂だ」 「それで何をするんだ?諜報と言ってもこれだけの人数だ。相当大掛かりなのだろう?」 サスケは火影に話の続きを促す。 「左様。任務は一ヶ月間。木の葉の国の大臣たちを密偵してもらう」 「・・・全員を?」 「そうじゃ」 それは確かに大事である。 「うわーっ楽しみだってばよ!」 「ナルトは別行動じゃ」 「えーーーっ!」 火影にすかさず返されてナルトは不満を隠せない。 ・・・隠すつもりは無い。 「俺も密偵やりたいってばよ!」 「「無理だ(じゃ)!」」 「な・・・・サスケもじっちゃんも一斉に言わなくてもいいってばよ・・・・」 「お前は目立ちすぎる」 「顔に出すぎる」 「むぅぅぅ〜〜〜大丈夫だってばよ!」 「ナルトにはお前だけにしか出来ぬ任務を用意してある」 「ホントだってばよ!」 自分だけに・・・という言葉にナルトは途端に機嫌をなおした。 「・・・でどんな任務だってばよ!!」 「それは・・・・」 「それは!?」 「・・・・で、どーしてこうなるんだってばよ・・・・・」 ナルトは納得いかない、と口を尖らせつつ庭掃除に励んでいた。 煌く金髪は高く結い上げられ、掃除のためにタスキがけされている着物はどう見ても 女物である。 「何で男の俺が女中なんてやってるんだってばよ・・・・」 『どうしても中継になる人間が必要なんじゃ』 「・・・あの言葉にうまく騙されたってばよ・・・・」 ぶつぶつ文句を言いつつ箒を動かし、変色した落ち葉をかきあつめる。 心中ひそかに、この集めた落ち葉で後で焼き芋するんだ・・・と決意しているのは 秘密である。 「ナルト〜っ、庭掃除が終わったらお花に水遣りお願いね!」 屋敷から女性の声がかかる。 この木の葉の国の勘定方の大臣隼人の屋敷の女中頭のミズホである。 可愛らしい名前であるが年はとうに四十を越えているとか・・・・確かな年齢は怖くて 聞けないらしい。(By女中たち談) 「は〜〜〜いっ!!」 『ふざけんなってばよ!』と思いつつもナルトは元気に返事する。 元気で明るく働き者。 それが今回のナルトの役目である。 密かにため息をつきつつ箒を置いたナルトは井戸から水を汲み、柄杓で水を撒いて いく・・・・が、半端な広さではない屋敷の中のこと。 いつ終わるのか・・・・・暗澹な気分になるナルトだった。 「ナルト、楽しそうだな」 そんなナルトに小声でかかった言葉。 「サスケっ!」 ナルトは花に水をやる姿を崩さないまましげみに隠れているサスケを呼んだ。 「よく似合ってるぞ?」 「・・・・いつでも代わってやるってばよ・・・・」 「丁重にお断りする」 うんざりした様子のナルトにサスケは湧き上がった笑いを押さえきれず、肩を奮わせる。 「・・・・・・・・・っ(怒)」 パシャンっ! 「おっと・・・・そこには花は無いぜ」 「・・・・むかつくってばよ!」 サスケに向かって放られた水を余裕でかわされてナルトの柄杓を握る手に力が 篭もる。 「まぁ、お前をからかうのはこのくらいにして・・・・」 「・・・何だってばよ!」 「経過報告だ。これを渡してくれ」 「・・・・・了解、だってばよ」 サスケに手渡された巻物をナルトは素早く袂に入れた。 「じゃあな」 「・・・・・・・・気をつけろってばよ・・・」 明後日のほうを向いてナルトは去るサスケに告げる。 言われたサスケは少々目を丸くしたものの笑顔を浮かべて頷いた。 「お前こそ、ヘマして正体がバレないようにな」 「余計なお世話だってばよ!」 今度こそ本気で怒ったナルトにサスケは含み笑いを残して姿を消した。 「・・・・・・・・水遣り終了!焼き芋するってばよ!!!」 一時間後、庭で焼き芋を食べているところを見つかったナルトはミズホに大目玉を くった。 |
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† あとがき †
はじめてのナルト小説で続きもの・・・・(爆)
書いてたら長くなったんですぅぅぅ(T_T)
しかも全然サスナルじゃないし・・・次こそは!!
色々とツッコミどころはあると思いますが心の中に秘めておいてやって下さい・・・。
。。。゛(ノ><)ノ