-美しきもの-
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基地上層部があまり公にしたがっていないため、脱走兵については何も触れず視察を終えたセフィロスはゴールドソーサーで社長と合流すると偽って、レノとクラウドのみを連れて探索に繰り出した。 「いやいや、英雄さんが居るなら千人力なんだぞ、と」 セフィロスに対する場合は、それはお世辞ではなく真実となる。まさに兵士千人どころか万人分でも一人で受け持って余裕を見せそうだ。 「で、何を隠している?」 軽薄なレノの様子を受け流してセフィロスは零下の眼差しを注いだ。 「何のことだぞ、と」 「このまま俺たちは帰っても構わんが」 踵を返す。このまま本気で帰ってしまいかねない。 「まままま、待つんだなって。ほらほらクラウドも」 クラウドに振っても仕方ないだろうに。 「通常脱走兵ならば、最寄の街、家族の居る場所、故郷…探索の手は伸びているはずだ。それを許すようでは軍として成り立たない。お前が出張ってくるのならば、科研あたりの後始末か?」 「英雄さんはお見通しなんだぞ、と」 二人にはわかっているらしいが、クラウドには何のことだかわからない。脱走兵の騒ぎに何故科研が関わってくるのか。 「クラウド。神羅には闇がある。その最も濃い部分を受け持っているのが科研だ。あの部署には出来るだけ近づくな。特に宝条には」 「アイ・サー」 そんな二人のやりとりをレノが興味深そうに見ている。 「英雄さんのお気に入りって噂は満更噂だけでも無いんだぞ、と」 セフィロスとクラウドはおどけるレノに、二人揃って似たように冷えた眼差しを突き刺した。 (…何だか、似たもの同士なんだぞ、と) 背筋にひやりとしたものを感じて、レノは口を噤んだ。口は災いの元、だ。 「で、脱走兵とやらは何人だ」 「五人だぞ、と」 それらがどうやら森林地帯に潜伏しているらしい。レベルもそこそこのモンスターが出没する森林地帯に一般兵が『潜伏』するというのが考えられない。ニブルヘイムで育ったクラウドも狩猟のためにニブル山に入ることはあってもそこで過ごすなんてことは無かった。 「捕獲するように、て使令がきてるんだぞ、と」 レノの言葉にセフィロスは鼻で笑い、相手次第だなと答えた。 その森に足を踏み入れたクラウドの感想は、何だかやけに気配の多い森だなということだった。通常、獣もモンスターも気配を殺して行動している。特に警戒対象の人間などが来たときには息遣いさえ殺している。食うか食われるかの真剣勝負なのだ。…しかし、これでは気配がありすぎて的が絞りにくい。 レノ、クラウド、セフィロスと誰が言い出したのでも無い自然の隊列はもっともレベルが低いクラウドを守る形になっているのだろう。クラウドはサブマシンガンを携帯して、いつでも発射できるように準備している。 対等に戦えるとは思っていない。ただ、守られるだけの身に甘んじるつもりも無い。 ふ、とレノの足が止まった。 先ほどまで周囲に満ちていた気配が消えている。 ザザッと草を走る音がして、黒い影が前方に飛び上がった。 「散れ!」 「!?」 クラウドは合図と共に茂みに入り、サブマシンガンを構える。 改めて標的を見ると、獣のように背中を曲げ腕をぶら下げて構えている。獣では無いと判断したのはボロボロになりながらも体に纏いついてる神羅の青い制服があったからだ。 獣なのか人間なのかわからない異様な風体が振り返る。 「!!」 クラウドを貫いたその目は、人の目では無かった。獣のように細長い、獣の…ソルジャーと同じ目。 「クラウド!」 硬直していた体がセフィロスの叱声に震えた。 照準を絞り、サブマシンガンの引き金を引くが相手の動きが早く当たらない。 銃の弱みが発射した瞬間に居場所が割れることだ。クラウドは素早く脇に退く。 「中々の反射神経だぞ、と」 ロッドを構えたレノがクラウドを庇うように前へ出る。 セフィロスは…と見るとすでに正宗を抜いて、他にも現れた奴を相手にしていた。 「サンダー」 セフィロスの詠唱と共に青白い光が男を貫く。初級レベルだというのにその効果は覿面で、男は体を震わせ地に落ち動かなくなった。 ドスっ! 「!」 鈍い音に振り返るとレノが男の胴を打ち据えていた。 「こっちも頑張るんだぞ、と」 その一撃では致命傷にはならなかったのか、敵意を満たした視線でレノに襲いかかる。 「サンダー」 「うぉっ!」 レノの目の前でサンダーの輝きが落ちた。 もちろんセフィロスの魔法だ。 「おいっ英雄さんっ!」 「時間の短縮だ」 悪びれない、というよりどう考えてもわざと、嫌がらせからだろう。 時折クラウドが呆れるほどに子供っぽい顔を見せるセフィロスである。 「あと三人だな」 「こらこらこらっ、少しは手伝うんだぞっと!」 脱走兵(らしき)二人を拘束しているレノを余所にクラウドとセフィロスは奥へと歩き出していた。 |
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んーザックスが居無いから、本来ならザックスが担当する
お笑い担当をレノがしてる(笑)