ゆっくりと・・・
目が開く
美しく危険な
金色の
瞳

〔後編〕
閉じられた瞳がゆっくりと開いた。 闇にさしこむ太陽の光のような輝きが・・・・・・開かれる。 「ん・・・・」 わずかに声が漏れ、身じろいだ。 「目覚めたか、孫悟空」 「・・・・・・ん・・・・な、に・・・・・・?」 何かやわらかい感触が頬を撫でていく。 ひんやりとして・・・・・・・気持ちいい・・・・・・・・・・ 「寝ぼけているのか?」 擦り寄ろうとした悟空にとまどったような、苦笑したような声がかけられる。 「・・・・・っ!?」 その声にまどろむ悟空がはじかれたように身を起こした。 「・・・?・・・・!?・・・・・・!!」 息も触れ合う距離にいた人物に驚き、困惑し・・・・飛び跳ねて距離をとると如意棒を 構えた。 「焔っ!」 「どうした、孫悟空?」 「・・・・いったい・・・・??」 やけに落ち着いた様子の焔に悟空は困惑してあたりを見回す。 けれど、映るのはほのかに部屋を灯す青白い光だけ。 「・・・三蔵は・・・・・三蔵たちはっ!?」 そうだ・・・確かオレたちは焔に・・・・・・!! 「覚えていないのか?」 「・・・・・」 「孫悟空・・・・お前はオレに攫われたのだよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」 攫う・・・て? 何で・・・・何が・・・・どうして・・・・・・オレが??? 悟空がぐるぐると疑問の渦に巻き込まれる中、焔は悟空との距離を縮めてくる。 そして気づけば腕の中。 「・・・・!?」 「どうしてか・・・・・聞きたいか?」 真摯な眼差しで問われ、悟空はこくりと素直に肯いた。 「容易いことだ」 焔は悟空の頤をつかみ、上向かせた。 「お前が欲しかったからだ」 「・・・・・・・」 「ずっと手に入れたいと思っていた」 「・・・・・ぁ」 焔の指が悟空の唇をたどる。 「その力・・・思い・・・・心・・・・・・・・俺はお前の全てが欲しい。 だから、この手で攫った」 金色の瞳が交じり合う。 「・・・・・・・」 焔は悟空を拘束しているわけではない。 ただ、腕をまわしているだけ。 ほんの少し抵抗すれば・・・・・・それはあっさりと解かれるだろう。 それなのに。 何故、自分はこの腕の中から逃げようとしないのか。 「孫悟空」 耳元で囁かれて、ぞくりと背筋があわ立った。 でも・・・・・・不快ではない。 「何故、逃げない?」 「・・・どうし、て・・・・オレは・・・・・・逃げない?・・・・・・・逃げる・・・・・・?」 焔の言葉が悟空の頭の中でくるくるとまわる。 『何故、逃げない?』 ・・・・・・なぜ、だろう・・・・・? 疑問が渦巻き、己を見つめる焔に目をやる。 悟空と同じ黄金の左目。 深海を思わせる深い青の右目。 その瞳に宿るのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飢え。 「逃げて・・・・いいの、か?」 意外な悟空の言葉に焔が目を見開いた。 まさかそう返されるとは思ってもいなかったのだろう。 「焔・・・」 ふっと焔が微笑んだ。 「その通りだな、俺の問いは愚問だった」 「・・・・・?」 「何故、逃げない?・・・などと問う必要などないのにな・・・・・・・・俺はお前を逃がすつもり など欠片もないのだから・・・・・・・・なぁ、孫悟空?」 「・・・・・っ」 捕まれた肩がきしんだ音をたてた。 「お前はもう俺のものなんだから」 「・・・っちが・・・・っ?!」 否定しようとした口を・・・・・・・・・・・・冷たい唇が封じた。 「否定は許さない、俺がそう決めたのだから・・・・・・俺がお前を半身と決めたのだからな」 冷たい瞳には熱い想いが宿る。 その熱に悟空は溶けてしまいそうだった。 熱くて・・・重くて・・・・苦しくて・・・・・・・・・・・・・・嬉しい・・・・・・・・・・ 存在全てを求められる・・・・・・・喜び。 体中が歓喜に震えていた。 「悟空・・・」 名前を呼ばれて酩酊感が悟空を襲った。 ・・・・・・・・・くらくらする。 カランッ・・・・・ッ・・・・・ 悟空の手から如意棒がはなれ、床へと転がった。 ずるずると壁伝いに体が落ちていく。 そんな悟空の体を焔の腕がしっかりと抱きとめた。 「お前は俺、俺はお前だ」 「お前を理解できるのは俺だけだ」 暗示のごとく悟空の耳元で繰り返される言葉。 「孫悟空・・・・・」 「ほむ、ら・・・・」 「『愛している』」 触れた唇から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・罪の匂いがした。 |
触れる唇は 永久への誓い あなただけを 見つめつづける 誓約 |
† あとがき †
・・・・・・(-_-;)
如何でしたでしょう?
セオリーとしては悟空が三蔵のことを思って
焔を拒否する・・・ていう展開が妥当なんですが
今回はあえて、それをしませんでした。
それがなかなか難しかった!!
何しろ悟空は三蔵命!(笑)な小猿。
これは焔空なんだ〜焔空なんだ〜と念じつつ書きました(笑)
もっと甘い焔空にするつもりだったんですが(^^ゞ
これ以上書くと裏ゆきになりそうで(笑)
ということで
御華門はここで逃げますっ!!