〜第二幕〜
紫鴛と是音を従えた悟空が到着したのは”ここは日本にして日本にあらずっっ!!”と 叫ばんばかりの馬鹿でかい洋館だった。 「ただいまーっ!!」 そして悟空はその館中に響けとばかりの大音声で帰宅の挨拶をした。 「相変わらずバカでけー家」 と館を見上げて是音。 「住んでいる人数も多いから良いのではありませんか」 「まーな」 「帰ったのか、悟空」 そんな一同に階上から声がかかった。 同時に見上げたそこには、艶やかな黒髪に左右異色、青と金の瞳を持った青年が 手すりに手を置き、こちらを眺めていた。 「あっ、焔っ!!」 悟空の顔が嬉しげにぱぁぁと輝く。 そして、タタタッと駆け寄ると青年の首に抱きついた。 抱きつかれた青年は驚きもせずにそんな悟空を受け止める。 「焔、お帰りーっ♪」 「ああ、元気そうだな」 悟空の従兄である焔は仕事の関係から海外に出張することも多い。 「今回の土産は悟空の要望通りゴディバのチョコレートをダンボール10箱だ」 「やったーっ!!!焔サンキューッ!!」 悟空は感謝の印、とばかりに焔の頬へちゅっvとキス一つ。 「おーい、俺らのこと忘れてねーかー?」 周りのことなんかそっちのけの二人に是音が声をかける。 「・・・紫鴛に是音。何故ここに居る?」 「あっ、そうだった!今度オレの学校に二人とも先生で来るんだってさ」 「ほぅ・・紫鴛はともかく是音、お前にも人に教えられるものがあったんだな」 「ったく、久しぶりに会ったてのにそれかよ」 「まぁまぁ、是音。これからお世話になる家主の一人ですからここは我慢ですよ」 「・・・・家主?」 焔が紫鴛の言葉に訝しげな顔をする。 「ええ、どうせこちらは部屋も余っていることでしょうから下宿させていただこうと思い まして。宜しいですよね?」 「・・・・勝手にしろ。だが天蓬には言っておけよ。あれがこの家の家事全般を取り仕切って いるからな」 「なるほど、それでこの家広いくせにきれーなわけね」 几帳面な天蓬らしい。 「紫鴛と是音もここに住むのか!?」 「はい、お世話になります」 「世話になるな」 「オレこそよろしくなーっ!!・・・・でさ、焔。金蝉たちはまだ帰ってないのか?」 いつもなら皆して出迎えてくれるのに今日は焔一人だけ。 悟空が不思議に思うのも仕方ないところだった。 「・・・・ま、いっか♪」 細かいところにこだわらないのが悟空の良いところでもあり、困ったところでもあった。 「な、なっ焔♪今度のとこはどんなだった?」 わくわくっと好奇心に目を輝かせて悟空が焔に問い掛ける。 「こんなところでは落ち着いて話も出来ん。居間に行こう。是音に紫鴛、お前たちは適当に 余っている部屋から自分の部屋を決めろ」 「「わかりました」」 二人はせっかくの悟空と焔の再会に水を差しても・・・て半ば殊勝に半ば面白がりながら 素直に焔の言葉に肯いた。 昔から焔が従弟の悟空に密かに(堂々と?)想いを寄せていることは明白だった。 「お前のチョコレートを買うのが一番大変だったぞ」 「え、何で?」 焔は有り余るほどの金を持っていて、支払いに困ることはない。 言語も英、仏、独、伊、露・・・と多彩に操ることができる。 「何しろ本店だけでは数が足りなくて近くの支店からも総取り寄せになったからな」 「へぇーっ!!今から食べるのがすっげー楽しみっ♪」 ゴンッ! 「いっ・・・・てぇ〜〜〜っ!!!!!」 突如、頭の上に落ちてきた拳骨に悟空が飛び上がる。 涙まじりの眼差しで振り向けば・・・・・ 「あれ・・?金蝉?」 「”金蝉?”じゃないだろうがっ!!お前、俺があれほど今日は職員会議があると朝食の 時に言っておいたのにさぼりやがって!!」 「あっ!!そういえば・・・言ってたような・・・あはははっ忘れてた♪」 まるで反省した様子もなく照れたように笑う悟空に金蝉はずきずきと痛む頭を手で 抱えた。 「罰として今日の夕食は抜きだっ!!」 「えぇ〜〜〜っ!!!そんなの酷いよっ金蝉っ!!横暴だっ!!オレ、メシ食えないと 死んじゃうよぉ〜〜っ!!!」 「うるさい。焔の買って来たチョコレートでも食ってろ!!」 実は、金蝉、二人きりで仲良く話している悟空と焔を見てかなり腹が立っていたのだ。 「残念だが、チョコレートが届くのは早くても明日だ」 「えぇぇっ〜〜〜〜っっ!!!!」 この世の終わりのような叫び声をあげて悟空が半泣きになる。 コンコンッ。 「どうしたんですか、騒がしいですね?」 入り口の扉のところに佇む天蓬がにこにことこちらを見ていた。 「あ・・天ちゃん、お帰りなさい・・・」 という言葉も元気がない。 「どうしたんですか、悟空。元気がありませんね」 「悟空は職員会議をさぼった罰で今日の夕飯は抜きだ」 「さぼったんじゃなくて、忘れてたんだっ!!」 どっちもどっちだろう。 「それでは仕方ありませんね」 「天ちゃんまで・・・・」 じわわわ〜と悟空の目に涙が浮かび上げる。 「・・・ぃいもんっ!!オレ、三蔵のところで食わしてもらうからっ!!」 ぐいっと涙を拭うと止める暇もあらばこそ、悟空は家を飛び出した。 「・・・で、どうして悟空センセイが俺の家に居るわけだ?」 学校から帰宅した三蔵は、扉を開けた玄関に悟空がちょこんっと座っているのを発見 して不機嫌な声で尋ねた。 「だから〜」 悟空はこれまでの経緯を説明した。 「自業自得だな」 あっさりと切り捨てる三蔵。 「三蔵までーっ」 ぷぅぅぅっと悟空が頬をふくらませた。 そんな悟空を見る三蔵の頭にはいつもの疑問が浮かぶ。 つまり・・・”何故、こんなのが教師になれたのか?”である。 理事のクソババァのコネかとは思わないでもないがそれならばどうやって大学に入り、 卒業できたのか? まさに天竺高校、七不思議である。 「・・・まぁ、いい。どうせ今日の夕食は光明の当番だからな。食いたいならあいつに言え」 光明は天竺高校の校長であり、三蔵の養父でもあった。 「本当っ?やったーっ!!三蔵大好きっvv」 悟空は三蔵に抱きついた。 まったく怒ったりすねたり、喜んだりと感情の移り変わりの激しい悟空である。 ・・・・が、そんなところも可愛いと思ってしまう三蔵はすでに末期だった(笑)。 |
† あとがき † はやばやと第二幕です♪ 投票して下さった皆様、ありがとうございましたっ!!(>_<)/ やはり焔、三蔵、金蝉・・・強し!!です(笑) ということで出番も多い♪ でも、この3人結構キャラかぶるんでなかなか書き分けが難しいことに 今更気づいた御華門・・・(爆) そして意外だったのは清一色です(笑) 結構イイところマークしてます(笑) 今回3人の次にいい位置にいる八戒を登場させられなくて残念!! でもきっと次回はその分出張ってくれるものと思います。 でも投票結果しだいですけどね(笑) |
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