飛竜が立ち去った現場(=カフェテリア)では、慌しい出来事にも関わらず一部を除いて まるで何事も無かったかのような時間が流れ始めていた。 つまり八戒は悟空へのデザートを給仕し、天蓬はそんな悟空を甲斐甲斐しく世話をする。 三蔵たちは再び三鼎になって睨み合いを開始する。 「・・俺、もうついていけねーかも」 「・・・はははは・・・」 精神的に限界を迎え始めている悟浄と倦簾が乾いた笑いを落とした。 ■■■■■■■■■ 「悟空!俺と一緒に来てくれないか。国の危機なのだ」 一瞬の隙をついて、焔が悟空の手を握り締めた。 「・・・んぐ?」 悟空は口にスプーンを含んだまま、よくわからない返事をかえす。 「すぐに国に戻らなければ、多くの民が苦しむことになる。それを救えるのは、悟空。お前だけなのだ」 いきなり、何故そうなる? 途中を一気にすっ飛ばした焔の訴えに疑問を抱く者はあいにく、ここでは無視される。 「勝手なこと言ってんじゃねぇ。帰りたければさっさと帰れ。邪魔だ」 「ふ、他国のことに口を出さないでもらいたい、金蝉」 「俺は三蔵だ(怒)」 「ああ、そうだったな。金蝉」 「・・・っ(激怒)」 三蔵と金蝉、似ているが決して同一人物では無い。 れっきとした兄弟だ(・・・顔見れば一目瞭然だが・・・)。 だが、幼い頃より間違えられ続けたトラウマはそう簡単に消えるものではない。 三蔵は懐に手を入れた。 「この・・・耄碌じじぃが!」 ガウンッガウンッ!! 立て続けに銃が乱射される。 それを焔は余裕の笑顔で避けつつ、嫌味を言うのを忘れない。 「そんなへなちょこ弾が俺に当たるはずが無かろう」 「・・・・・っ(怒)」 いちいちピンポイントをついてくる焔のセリフは、ストッパーの役目を果たしていた紫鴛が消えたことで 留まる気配もなく、容赦なく放たれる。 「・・・悟空。あんな奴らを気にすることは無い。いいか、間違ってもあんな風になるな」 しみじみと諭す金蝉に悟空は?マークを浮かべつつこくりと頷いた。 「「頷くなっ!!」」 では、どうしろというんだ。 ぽかんと口を開いてしまった悟空に悟浄と倦簾は哀れみの視線を送った。 「とにかくだ、ついて来てくれるんだな。悟空」 「おい、いつ決まったそんなことが」 「ふ、今決まったところだ」 「こいつは何も言ってねーだろうが!・・・これだから年寄りは。人の話を聞きもしねぇ」 「笑止。お前にそのセリフはそっくりそのまま返そう」 再び険悪な雰囲気が漂いはじめる。 「はいはい、喧嘩はそのへんにして下さいね?」 「そうですよ。いくら仲がいいからって何事もほどほどにしてもらわないと・・・」 「そうだ、てめぇらいい加減にしろよ。悟空、焔はああ言っているがどうする?」 漸く食べ終わったらしい悟空は首を傾げる。 その仕草はあまりに可愛らしく、場にほのぼの雰囲気が漂った。 「よくわかんないけど・・・焔は、大変なんだよね?」 おおっ!ちゃんとわかっていた! 一同は悟空に対してかなり失礼な感動をした。 「だったら焔と一緒に行く」 「悟空・・・・」 焔が一歩前に出て、悟空を抱きしめた。 「・・・俺がきっとお前を幸せにしてみせる」 『そうじゃねーだろっ!』 一斉にツッコミが入り、焔は地に埋まった。 |
短文で繋ぎ。 次回は敗者復活決定(笑) ・・誰が生き返るんだろう・・・ |
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