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#T 出会い
| 白い雪が天から地に落ち 地を真っ白に染めた痺れる寒さの日 二人は出会った |
「うー寒ぃ〜〜っ!!」 真っ白な雪を頭からかぶった少年は手をすりあわせて息をはいた。 それもそのはず、こんな雪が家や木にこんもりと積もる日に少年の格好は 薄い皮布1枚に腰に紐を巻いただけの簡素な姿。 手は二の腕から足は膝から剥き出しで見ているだけで寒くなる。 ただ、大地色をした髪の毛が腰までのびていてそれが防寒になっているといえば 言えないこともなかったけれど・・・・。 「急に落ちてくるんだもんな!」 どうやら溶け出して木の上から落ちた雪が丁度通りがかった少年の頭を直撃 したらしい。 少年は頭の雪をふって落とすと、素足で雪の積もる道を歩き出した。 「あー、腹減ったーぁ!食いもの落ちてないかなぁ・・・・」 ちょっと前まではどこにでも食べものがあったけれど季節は冬・・・自然に食べ物 などどこを探しても見つからない。 少年はここ2,3日というもの水以外何も口にしていなかった。 普段は自分の生まれた山で木の実や狩りをして日々をしのいでいる少年はあま りの空腹に耐え切れず緑の残る麓まで食べ物を探しておりてきたのだった。 「はぁ・・・これ以上食えなかったらオレ・・・耐えられない・・・・・」 お腹はひっきりなしにきゅるる〜と空腹を訴え、その音がうるさくて寝ていても 起きてしまうのだ。 その時・・・・。 「・・・・・・・・・っ!!!」 少年はうな垂れていた頭を勢いよくあげると、鼻をくんくんさせた。 「・・・・食い物の匂いだっ!!」 かすかだが鼻腔をくすぐるいい匂い。 少年は匂いの元に向かって駆け出した。 たどり着いたのは山の中腹にあたる場所で、木造の家がぽつんと一軒だけ 建っていた。 「すっげーいい匂い!!」 少年の頭にはこの家の持ち主が誰か、とか勝ってに人の家に入っては駄目だ なんてことは一欠けらも残っていなかった。 ただただこの空腹を満たしたい・・・その思いでいっぱいだった。 扉を破壊しそうな勢いで開け放つと土間をとびこえ、部屋の中央でぐつぐつと 煮えている鍋をのぞきこんだ。 「・・・・美味そう・・・」 少年は今にも涎を垂らさんばかり。 傍に置いてあった柄杓を掴むと遠慮なく食べ始めた。 「うっめーっvvv」 麓の村で診療を終えて帰ってきた青年は、自分の家の畳にころがる物体に しばし言葉もなく立ち尽くした。 「・・・・・・・・・」 (・・・・・いったいコレは何なんだ?) 日頃の癖でその物体を念入りに観察する。 年のころは・・・・13,4?・・・・そのくらいだろう。 着ているものは質素というか・・・価値判断の基準外のような気がする。 いや、そもそもこれは服とは呼ばないのでは・・・。 その少年・・・・は青年が観察する中呑気にはくぅくぅと気持ちよさそうに寝息をたて ている。 見れば出かける前に仕掛けていた鍋の中身は空っぽになっている。 これも一応”空き巣”と呼ぶものなのだろか。 「・・・・・・・・・・・」 (さて、どうしたものか・・・) この付近では見かけない子供である。 青年は腕を組んでどうすべきか思案した。 「・・・・・・ん・・・」 どうしようかと考えていた青年は少年が漏らした声に、とりあえず起こそうと手を のばした。 「・・・・おい」 「・・・・・・・・」 「・・・おいっ」 「ん〜・・・お腹いっぱい〜〜・・・むにゃむにゃ・・・・・」 鍋の中身は優に5,6人分はあった。 確かにそれだけ食べれば腹もいっぱいになるだろう。 「おい・・・・・・っ」 肩をゆすり、少年の目覚めを促していた青年は少年のゆっくりと開かれた瞼の 奥の瞳に息をのんだ。 その色は・・・・・・・・・・・・黄金。 人の持ちうる色ではなかった。 「・・・・・・・妖怪、か?」 それは古来より吉凶の色として人々に忌避されてきた色。 「ん・・・・・ふぁぁ・・・・あふ」 呆然とする青年の目の前で少年は身をおこし、大きくあくびした。 「ん・・・?」 寝起きの涙まじりの黄金の瞳が焦点を結び不思議そうに青年を見つめる。 「・・・・・・・・あんた誰?」 「・・・・・・・それは俺のセリフだろう」 「え?」 少年は青年の言葉に目を丸くするとあたりを見回した。 「え・・と・・・・・・ここどこだっけ??」 「・・・・・・俺の家だ」 「あんたの家?・・・・・ああっ!!」 少年は何かを思い出したのように手をうった。 「すっげーいい匂いがしたから・・・・・あっ!!ごめん!!全部食っちゃった!!」 「いや・・・・」 それよりも無断で侵入したことのほうが問題なのでは・・・と思ったが少年の全く 悪びれない様子にどうでもよくなった。 「腹が減っていたのか?」 「うんっ!!だって食いモン何もないから・・・この3日間何も食べてなかったんだ」 「3日間・・・」 「本当に、ごめんな。オレ、残しておかないとって思ったんだけど・・・あんまり美味し かったから・・・・・」 「構わない・・・それよりももう大丈夫なのか?まだ食べ足りないなら何か作るが?」 「マジ!?食うっ食うっ♪」 少年の顔に浮かんだ笑顔は青年に軽い眩暈を感じさせた。 春の日差し・・・・いや、夏の太陽。 そんな笑顔だった。 激しいけれど焦がれずにはいられない”モノ” 「お前・・・名前は何という?」 「ん?オレ?オレは・・・悟空!!」 それは空(見えないもの)を悟る者。 「悟空、か。良い名前だな」 「へへっ。・・・・あんたは?」 「俺は・・・・・焔だ」 「ほむら・・・・ほむら・・・・うんっ覚えた!!」 そして波乱の幕は開いた。 |
★あとがき★ ふふふ、ついに書いてしまいました焔空長編(ニヤリ☆) タイトルはご存知、楊貴妃と玄宗皇帝のラブロマンス(笑) を書いた『長恨歌』より。 設定舞台は最遊記と同じ桃源郷。 しかし、焔も悟空も天界には連れて行かれてません。 地上で出会った二人がこれからどうなっていくのか? エピソードは色々と考えていて 途中シリアスも入ってくると思うんですが最後は 絶対にハッピーエンドにする予定!! そんな御華門の趣味に突っ走った小説になる予定ですが 少しでも読んで下さった皆様に楽しんでいただければ嬉しいです。 |