ダナ=坊ちゃん
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「・・え、双子?」 「うん、想像通りの回答ありがとう。テッド」 ルックと目の前の人物の顔を交互に見ながら首を傾げるテッドに苦笑する。 「双子では無い。ソレは紛い物だからな」 正体不明の男の言葉にルックは睨みつけるが、口を開くことは無い。 「気にしなくて良い。高齢者の世迷い事だから」 「・・・見た目通りの年じゃ無いってことか、あいつ」 「たぶん。テッドより年上なんじゃない?」 「マジかよ・・・」 「テッドも痴呆症には気をつけて」 「誰が呆けるかっ!!」 「・・・こんな時でもじゃれ合える君たちの神経を疑うよ」 シリアスな展開のままではいさせてもらえない。 「ルック。始まりがどうあれ、今ここに立って、これまでの時を過ごしてきたのは『ルック』なんだよ。少なくともあんな奴より僕はルックのほうが好きだよ」 「・・・・・・・比べる対象がおかしいよ」 何度か口を開閉させたルックが疲れたようにそう言ったのに、ダナは笑いをこぼす。 「相変わらずつれないことだ」 男の言葉に、すっとダナは笑顔を消し牽制の炎を飛ばす。 「・・・ああ、ソウルイーターは君の元に居ないのだったか。残念なことだ。その紋章ほど姫に相応しいものも無い」 「お前に『姫』呼ばわりされる筋合いは無い。気持ち悪い。失せろ」 嘗てのダナの崇拝者が聞いたのならその瞬間に自害しそうな台詞の連発も男には効目が無い。 「現在・過去・未来・・・時が錯綜する。さて、姫はいつの時代の『姫』かな?」 「今は今だ。過去も未来も関係無い」 男は笑う。ルックとそっくりの顔で。 「・・・・・・・・・何か、お前が笑っているみたいで気持ち悪い」 「・・・・切り裂くよ」 嫌そうな顔でルックがテッドを睨む。 そのやり取りにダナがくつくつと笑い出す。 「で、結局あいつ誰なんだ?」 「ん〜、教えて欲しい?」 「・・・・・・・・いや、いい。何か厄介ごとに巻き込まれる気が」 「え?巻き込まれてないつもりでいたの?」 「・・・・・・・・・」 ダナの意外そうな言葉にテッドは思わぬダメージを受けた。 「狂信者の親玉。宗教って怖いよね。信仰だけで国を作り出せてしまうんだから」 「・・・君なら似たことが出来そうだけど」 「嫌だな、ルック。そんな面倒なことをどうしてわざわざしないといけないの?」 出来ないと言わないところが恐ろしい。 「そろそろ別れの話は済んだかい?」 無駄話をしているようでも、ダナはずっと男を警戒し続けていた。 それをテッドもルックも感じていた。 「別れる必要も無ければ、する必要も無い」 平坦で何の感情も伺えない声が、ダナが相当に相手を嫌っていることを知らせる。 「先より来たりし最後の巫女姫。我が手に紋章が集う限り、別れは必然なのだよ」 「勘違いも甚だしい。貴様は自分が何だと思っているんだ?どれほど能力を持とうとそれは貴様自身の力では無い。紋章がもたらしたもの、それだけだ」 「重々承知しているよ。だからこそ姫が必要なのだろう?」 「くどい。年寄りは何度言ってもわからないらしい。私は『姫』などでは無い」 「ならば」 男は笑い、左手をかざす。 「・・・駄目だっ」 ルックが叫ぶと同時に、彼等の周囲が闇に染まった。 足元さえ暗闇に支配され、上下もわからず体が闇に放り出されたかのようだった。 そして対する男は間違いなく宙に浮いていた。 「我がハルモニアに、お連れしよう」 「丁重にお断りする」 そしてダナは左手を掲げた。 金色の光が溢れ、三つ首の竜の姿をとると・・・周囲の闇を食らって行く。 ダナが今、左手に宿している紋章は・・・ 「・・・覇王の紋章とは」 覇王の紋章の力は他の紋章の力の無効化。 どこまで無効化出来るかは宿主の力によるだろうが、ダナならば向かうところ敵なしだろう。 闇は晴れ、元の岩肌を晒す竜洞に戻っている。 そして、男の姿も無かった。 |
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無茶苦茶な設定になってきたなと思いながら
すでに最初から無茶苦茶だから一緒か、と自分を慰める