** スレナルVer. **







黒龍暴風雪!!

 ドトウの放った攻撃を受けながらナルトは印を確認する。氷遁忍術を使う人間はあまり多くないだけに、もの珍しさが先にたつ。だが、火遁に比べて必殺力が少ないのがデメリットだろうな・・・
 冷静に分析しながらナルトは雪上に叩きつけられるナルトの影分身と交替する。

 パキン、と器具に罅の入る甲高い音が響いた。
 おいおい、まだオレ何もやってねーんだけど?ただチャクラの強さを少しだけ元に戻しただけ

「馬鹿な・・チャクラが漏れだしているとでもいうのか」
 馬鹿も何も、世界はあんたの物差しで計りきれるほど狭く無いというだけの話。
 こんな小国でふんぞりかえり、宝物なんてものを狙う愚かな奴には・・・世界は広すぎるか?

         ああ、もう十分だ。お前の価値はゼロになった。


 
双龍暴風雪っ!!


螺旋丸っ!!


 弾き飛ばされたドトウが氷壁に叩きつけられる。
 同時に、広がる春の立体映像。

          なるほど。そういう造りになっていたのか。





 ・・・・・・・・・・あ。

 ヤベ!?もしかして今ので鎧粉々にしたか!?
 ・・・・・・・・・くそっ、少しばかり力篭めすぎたか・・・・・・まぁいい、カカシに期待しよう。
 ・・・・・・・・・今度だけは。












「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ?」

 と思ったのに、怪我(実際にはそんなものは存在しなかったが)で運び込まれた病院で、頭を下げまくり手をあわせまくるカカシに、オレは冷たい視線を突き刺した。

「いやあの・・だからね、えーと、コレが鎧・・・・だったもの?」
「・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・」
 そこには風呂敷に包まれた、ただのガラクタとおぼしき破片の数々があった・・・。
 快適に過ごせるように温度設定されているはずの病室の気温が、一気に零下に下がる。
「・・・・・・・お前、オレに何って言ったけ・・・・・・?」

    大丈夫!大丈夫!オレにどーんとまかせて! 

「えーと・・・そのぅ・・・・」
 つー・・・とカカシの頬に汗が伝い、床に落ちたそれが瞬く間に氷の結晶となり転がっていく。
「・・・・・お前に、少しでも・・・爪の先の垢ほどの期待をしたオレが馬鹿だった・・・・・」
「・・・・ごめんなさいっ」
「別に謝らなくてもいい。・・・・お前、当分里外任務に励んでくるか?」
「!?・・・すみませんっごめんなさいっ許して下さいっ!!ナルトの傍を離れなくちゃならないなんて嫌だもんっ!!それにナルトだってドトウの鎧粉々にしちゃってた・・・で・・・」
 一言も二言も多いのがカカシの数多くある欠点の一つである。
 ナルトの機嫌は最低調に達した。
「お前やっぱり里外任務決定」
「ナルト〜〜〜〜っ!!!!」



「・・・・カカシの奴は何を叫んでやがるんだ?ここが病室だってわかってるのか?」
「カカシ先生だし・・・」
 これから向かう病室から聞こえてきたカカシの叫びにサスケとサクラが呆れと諦めの台詞を口にする。生徒にここまでこき落とされる上忍もどうなのだろう・・・・


「ナルト〜〜〜〜っ!!!」


「・・・・・・とりあえず苦情言われる前に止めさせましょう。あんなのと知り合いなんて恥よ、恥!」
「・・・・・・・・。・・・・・・・ああ、そうだな」

 だらしない上司を持つと部下が苦労するという典型的な例の一つがここにあった。







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