匂い立つ高雅なる華
四
ナルトは隊を三つに分けた。 中忍一人に下忍二人。 「待機してる連中を片付けてきてくれ」 中忍二人に指示を出す。 「殺害するか否かはそれぞれに判断に任せる。遂行後は速やかに戻ってくること。その間にこちらも見張りを片付けておく」 ナルトの言葉に頷くと二隊はすぐに姿を消した。 ナルトたちも滝周辺を見張っている忍たちを確認して行動に移る。 『サガン、右を』 合図にサガンは姿を消す。 『オチバ、左を』 今回の下忍で紅一点のオチバも頷き姿を消した。 それを見送り、ナルトは自身の分担分である3人の霧忍に特攻をかける。 一人目は恐らく、何が起こったかもわからないままに首の急所をつかれて地に伏した。その音に反応した二人のうち一人を螺旋丸で弾き飛ばす。 「 残った一人にクナイをつきつけ、低い声で命令すれば・・・霧忍の動きが止まる。 神速の動きで忍の後ろをとったナルトは続ける。 「下手な真似をするな。術を使えばそれに反応してチャクラの糸がお前の体を木っ端微塵にする」 「・・・・・・っ」 ナルトが操る不可視のチャクラが忍の体を拘束し、僅かな動きも許さない。 行動を開始して僅か5秒の出来事だった。 無事に"片付け”を終えて戻ってきた忍たちがナルトの傍らに座りこんでいる霧忍に目を見開いた。 「動きは封じてある。この滝に関して聞き出す捕虜が必要だったからな」 ナルトの言葉に空気を和らげた忍たちに対して、霧忍はぎくりと躯を固くした。 自分で何かがあると宣言しているも同然だ。 大層な封印符を使用している割に、護衛の忍の質は低い。 余程封印に自信があるのか、それとも・・・・・・・封印された『モノ』が強力すぎて護衛する必要さえ無い、手に余るものなのか・・・・後者の予感をひしひしと感じる。 「・・・その忍を問い詰めるよりも先にさっさと水を汲んで撤収したほうが早いのでは?」 尋問の必要性があるとは思えないと中忍の一人が口を出す。 ナルトは静かに目を瞬かせ、その中忍を静かに見据えた。深い青の瞳には一点の濁りも無く、小波の一つも無い。引き込まれそうに深い、底の見えない青さが見た者の動きを止める。 「お前がどんな指示を受けたかは知らない。だが、隊長はオレだ。必要であると判断したことをやらずに仲間を失うことなどしたくは無い。 後半は拘束された霧忍に向けられたものだった。 「・・・結界?」 そんなものがあるとは全く気づかなかったのか、ナルトと霧忍を除く連中がぽかんとした顔をしているのに、ナルトは無造作に片手でクナイを滝へと放り投げた。 バチッ!と音をさせて、クナイは弾かれ地面に転がり落ちる。 「命を奪うほどきつい威力のある結界では無いが、意識は失うだろう。解くのはそう難しくは無い。もう少し強い力で押してやれば反発して・・・」 「やめろっ!」 沈黙を続けていた霧忍が叫んだ。 「そんなことをしてみろっ!お前たちもただじゃ・・・っ」 「何が起きる?」 ナルトはゆるりと微笑を浮かべると、続きを促すように男の顎をクナイで辿った。 背後に控えている忍たちをさえ、背筋に痺れを走らせるような艶めかしさ。 こくりと唾を呑んだ男は、戦慄くように唇を震わせた。 「話せ」 命令とは思えぬほどに静かな声。だが、そこには否やを言わせぬ力が含まれていた。 「・・・た、滝には・・・」 「滝には?」 「 |