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静寂に満ちた白い室内にナルトは足を踏み入れた。 清潔に整えられた部屋の中央、白いベッドに寝かされているのは先日半死半生で戻ってきたカカシだった。静かに目を閉じ、胸は穏やかに上下している。 そのベッドは青い陣の中に置かれ、それはサクラが使う人の治癒力を増幅させるためのものであることをナルトは知っていた。 「お前はそうしているとマトモなんだがな」 里で五指には入る色男と、言ってやっても良いだろう。 陣の文字に触れぬように寝台に近づくと、カカシを見下ろした。顔には憔悴の影があるがサクラの治療の賜物か、外傷はほとんど存在しない。 「天才と言われる割に、いつもベッドの住人だ」 己の限界を知り、そのぎりぎりまで力を使い尽くす。 「しかし、きちんと『生きて』戻ってきた」 それだけは褒めてやろう。 ナルトの口元に微笑が浮かんだ。 「しばらくはゆっくり休め。目覚めればまた扱き使ってやる」 踵を返したナルトは・・・僅かに動いた気配に振り返った。 「ナル、ト・・・」 僅かに目を開けたカカシがナルトの袖を掴んでいた。 「ただ今、戻りました」 「 ふ、とカカシが表情を和らげた。 「ナルトから、貰った、お守りが、きいたみたい」 「ただの鈴だ」 「でも、ナルトが、くれた」 冗談でなく死に掛けた体は、動きも鈍い。カカシはたどたどしい動きで懐を探すと、ちりん…と音をさせて鈴を取り出した。 「今度は、ナルトが・・・」 鈴が差し出される。 ナルトがこれから里を出て行くことを、身に纏っている装束から察したのだろう。 「オレには『守り』など不要だ」 「そうだろう、けど・・・俺が傍に、居られないから、ね」 俺の代わりに、どうかこの鈴をお供にしてください。 あくまで手を引っ込めようとしないカカシに、ナルトは溜息をついて鈴を受け取った。 「気を、つけて」 「誰に言っている」 不敵に笑ったナルトに、カカシも微笑を浮かべた。そのまま再び目を閉じる。 気を失ったと言ったほうが良いかもしれないが。 「・・・本当に馬鹿な奴だ」 受け取った鈴をナルトは懐に入れた。 部屋を出ると、一同がナルトを待っていた。 シカマル、ネジ、シノ、チョウジ、キバ。 5人にナルトを加えた2組のスリーマンセル。 「まずは、大蛇丸を追う」 自来也に追わせているが、大蛇丸に付き従っている者たちのことを考えれば一筋縄にはいかないだろう。 「「「「「御意」」」」」 短い応えと共に、彼らは姿を消した。 |
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うーん、イタチが出る余地が無い(そんなに出したいか)