(4)










(えーと・・つま・・・って・・・酒のツマ・・・・とかのこじゃないってば・・・・・?)
 ナルトは全くわかっていなかった。


「すぐに返事を貰おうとは思ってはいない」
「は・・はぁ」
「だが、考えてはくれないだろうか。私と共に生きることを」
 未だ事態を飲み込めていないナルトの手をがしっと握り、隼人は迫る。
「ナルトとなら幸せな家庭を築いていけると思うのだ」
「し、幸せな家庭っ!?」
 ぴきーんと固まったナルト。
 ここに至り、漸く思考が追いついてきた。

「そそそそ・・・そんなの無理だってば!」
「何故?」
 ナルトは男だから。
 ・・・と言ってしまうわけにはいかない。

「だ・・だって・・・まだ、会ったばっかりだし・・・その、俺・・・じゃなくて私、隼人、さまのこと
 何も知らないんだってば!」
「それならば心配はいらない。私のことをこれから知っていってもらうから。これからは
 下働きなどせず、ずっと私の傍に居ればいい。花を活け、お茶をたて、書を読み。
 退屈だと思っていた毎日もナルトとなら楽しいだろう」

(ご・・強引なところは滅茶苦茶サスケにそっくりだってば!)

 ナルトはひきつりそうな顔を何とか精神力で押し留めて、何と答えるべきかを一生懸命に
 頭の中で組み立てていく。
 こう見えても、ナルトは上忍。しかもかなりの凄腕。
 ・・・ただ、難を言えばこういう恋愛事情じみたものは経験数が少なく苦手ではあるが。

「あ、あの・・・俺・・じゃなくて、私はこのまま、出来れば働かせてもらいたいってば。花とか
 活けるより動いてるほうがいいし、お茶をたてるより、軒先でわきあいあいしてたいってば」
「ナルト・・・そなたは欲が無いな。ますます私の好みだ」

(だぁぁっっ!そうじゃ無いんだってば!!!)

「だが、私は婦女子を困らせることは本意では無い。残念だが、そなたの良いようにこのまま
 働いてもらおう。それで良いか?」
「あ・・うん、はい・・・十分だってば・・」
「ただ、もしその働きの間で少しでも時間が空けば私の相手をしてもらえないだろうか?
 話をするだけでもいいのだ」
「あ・・・・・はい」
 それくらいなら・・・・・・いいってば?
 話をするだけなら、こちらの正体がばれたりはしないだろう。
 ナルトは握られていた手をおずおずと外しつつこくりと頷いた。

「良かった」
 その隼人の笑顔。

(・・・・うわー・・・サスケも笑ったらこんな風になるんだってば・・?何だか信じられない
 生き物を見てる気分だってば・・・)

「えっと・・俺、じゃなくて私は、もう・・・戻っていいってば?」
「ああ、我が家のためにしっかりと働いておくれ」
「はい!頑張るってば!」
 ガッツポーズまでしてみせるナルトに隼人は微笑みながら口を開いた。



「・・・・・・では、渡してもらえるかな?その胸の手紙を」


「・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・え」
 
 ナルトの動きが固まり、瞬時にして引き締まった。







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■ あとがき ■

長くしてるとUPが遅れるので短くコンスタントにUP
次もそう遅くないうちにUPできるでしょう。
・・・しかし、この話は本当にサスナルなのだろうか・・・





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