・・・ Bad Contract ・・・

禍痕 3









 『 名シーカー、ジェームズ・ポッターの復活! 』



 ジェームズがクディッチの選手としていよいよ復活する試合の当日、各広報はこぞってそう伝えた。
 カビが生えそうなホグワーツ時代の試合などから振り返っているところもあって・・・若かりし無謀な自分を再び目にすることになって、ジェームズはかなり憂鬱だった。あの頃は若かった・・・なんて言えればいいが、生憎と魔法界の新聞は『生きて』いる。今よりも幾分か若い自分が・・・スニッチをキャッチして、ピースサインに片目ウィンク・・・(本当に自分はかつてこんなことをしていたのか・・・?)・・・をしている映像がまじまじと紙上を踊っている、まさに。稲妻でも落として炭にしてやろうとも思ったらしいが、出来なかった。
 何故ならば。



「パパ、パパ!カッコイイねぇ〜!!


 きらっきらっ、きらっきら★
 新聞を見るハリーの目が尊敬と感動に満ち溢れていた。もちろんジェームズにに対して。
 未だ嘗て、これほどにハリーが自分を褒めちぎってくれたことがあるだろうか!(無い)



「ハリ〜っ!!!!」



 可愛らしいハリーを抱きしめようとしたジェームズの腕が空をきった。
 横を見ると、リリーに抱かれたハリーがご機嫌で笑っている。

「ジェームズ。そろそろ時間でしょ」
「り、リリー・・・(汗)」
 選手として一足早く会場入りしなくてはならないジェームズを、リリーは笑顔で追い出した。

「さ、ハリー。私たちも用意しましょうね」
「よういしゅるーっ!」
「お洋服はどれにしょうかしら〜」
 クローゼットを開くと、そこは無限空間になっていて・・・にも関わらずぎゅうぎゅうにハリーの服が詰まっていた。シリウスとジェームズが競いあってプレゼントしまくった結果である。
「これはどう?ハリー」
 リリーがその中から、ギンガムチェックのボレロとズボンがセットになったものをチョイスする。
 クディッチの試合を見に行くのだから、多少は動きやすいものが良いだろう。だがあまりにカジュアルすぎてもジェームズが勝利したときに困る。ジェームズは絶対にハリーを手元に呼ぶだろうから。
「それにしゅる!」
 決めたハリーに、リリーはひょいひょいっと手を振るとあっという間にお着替え完了。
「カッコイイわね、ハリー」
「ハリーかっこいい?かっこいい!」
 ジェームズやシリウスの影に隠れて目立たないが、リリーだってかなりの親馬鹿なのだった。





 ピンポーン!





「あら、ジェームズかしら。何か忘れものでもしたのかしらねぇ・・・」
「パパ、わしゅれもの?」
 ハリーにこの部屋で待つように言い聞かせて、リリーは階下に下り玄関の扉を開けた。











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