<西へ>
 そう三仏神に告げられ旅に出ることになった4人。
 その出発前夜、八戒の(本当は悟浄の)家ではある騒動が巻き起こっていた。






 4人の声が聞こえるのは普段は八戒の寝室として使われている場所。
 その寝台の上には衣服が散乱している。

「三蔵、それはあまりに酷すぎですよ。僕のほうがいいですよね、悟空」
「う・・・え・・・・」
「いいんだよ、悟空は大きいのでな」
「そうは言っても大きすぎだってーの。それより俺のぶんのほうがいいよな?」
「え・・・うぅ・・・・ん・・」
 悟空は三人に囲まれて困惑顔である。
「いいからお前は黙ってそこに居ろ」
「だって・・・っ重いって・・・さんぞ!」
「やはり僕のほうが・・・」
「いやっ!・・・・・だって八戒の・・・・ピンク色なんだもん・・・・」
 悟空がちょっぴし頬を染めて恥ずかしそうに言い募る。
「ほらみろ!俺のが一番いいよな?」
 悟浄が露骨に自分のものを示してみせる。
「悟浄のは・・・・・・・・・・形が変」
 悟空の容赦ない素直な言葉にががーんと打ちひしがれた悟浄。







「そうですかぁ・・・色が駄目ですか。ピンク色が可愛くていいと思ったんですけどねぇ・・・」
「別に可愛くなくったっていいんだって!!」
 悟空の言葉に、「でもやっぱり可愛い悟空が見たいんですけどねぇ」と八戒も引かない。
「俺のなら見た目は問題ないだろうが」
「だから三蔵のは重たいんだって!!それじゃあ動きにくいじゃんっ!」



 さて、先ほどから何を白熱しているのか?
 それは悟空の「装備」についてである。
 いくら4人の中で最強の戦闘能力を誇るとはいえ、悟空は見た目には一番小さく華奢だ。
 ほんの少しの攻撃を受けただけでも大事になりそうだと心配した八戒からこの事態は始まった。
 最初は笑っていた悟空も、他2人がまじめな顔をして八戒がどこから調達してきたのか装備品の
数々を検分するにいたってそうも言っていられなくなった。
 だいたい三蔵など自分では普段そんなことを気にもしていないくせにこと悟空に関しては妥協を
許さないあたりさすが育ての親である(笑)。
 悟浄は悟空が困る様子がおかしくて参戦したものの、形がおかしいと言われては引くわけには
いかないだろう・・・・・・己のセンスを認めさせるためにも。



「もーいいじゃんっ!オレ、みんなと同じそのまんまでいいって!」
「駄目だ」
 悟空の言葉を保護者が即答で却下する。
「そうですよ、悟空。これから戦いは熾烈を極めます。少しでも体にかかる負担は少なくしたほうが
いいんですよ」
 悟空専属保父さんは言い聞かせるようにゆっくりと悟空へ語る。
「とにかくその山のような装備のどれかは必ずつけろ」
 保護者からの最終宣告が下った。
「う゛・・・・」
 悟空は嫌そうな顔をしながら、諦めの吐息をついてベッドの上の装備品の山を探りはじめた。


「んー、これは大きすぎるし・・・・これはちょっと重たいよな・・・・これは・・・・てこれ防具?」
 悟空が八戒へひょいっと差し出したのはヘアバンドのようなものに悟浄のような触手が2本ぴょん
と出ていてその先に星がついている。
 ・・・いったいどこを守るというのだろう・・・・
「ああ、それは悟空がつけたら似合うだろうなぁと思って・・・・それと・・」
 八戒がごそごそと山を探る。
「ああ!ありました♪この服がおそろいですvv」
「・・・・・・・・・」
 にっこり笑って八戒が差し出したのはレオタードにひらひらレースのスカートがついた一品。
 しかもショッキングピンク!
「ね、可愛いでしょ?」
「八戒さん・・・可愛いとかそういう問題じゃ・・・」
 何か言おうとした悟浄を八戒が一睨みで黙らせる。
「一度着てみませんか♪」
「え〜〜〜っマジっ!?」
「マジ、ですvv」
 ずずずっとその服を持ったまま八戒が悟空にせまる。
 八戒の脳裏にはすでにそれらを装着済みで、八戒に微笑みかける悟空が居た。
 ・・・・・犯罪的な愛らしさである・・・・・・・・・・・いや、犯罪かも。


「う゛・・・・さ、さんぞーっ!!」
 普段は八戒の言うことなら大概大人しくきく悟空だが、さすがにこれは嫌だったか半泣きで三蔵に
助けを求める。
「おい、八戒いい加減にしろ」
「・・・・仕方がありませんねぇ」
 八戒は少々・・・・いや、かなり残念そうにしながらそれを山へと戻した。
「いいと思ったんですけど」
「何がだよ」
 悟浄の問いに八戒は笑って答える。
「だって・・・あれを着た悟空に襲い掛かるなんてそんな方々は変態ですから♪」
「・・・・・・・」
 ・・・・着せようとするアンタのほうが変態だ・・・・なんてことは口が裂けても言えない悟浄である。


「もーじゃいいよっ!これで!」
 さんざんあーでもないこーでもないと迷った結果悟空が選んだのはショルダーガードとマント。
「これ以上は絶対につけないからな!!」
 毛を逆立てた猫のように・・・怯えながらも睨みつける悟空に八戒は動じることなく「反抗期です
かね〜」なんてことを思っている。
「ま、いーんでない?」
 自分が選んだものは結局却下されてしまったが他の二人が選んだものも却下されたので
とりあえず安心してそう言った悟浄。
「・・・・・マントで足をからませるなよ」
「しないよっ!!」
 だが、それ以上三蔵は何も言わないところを見ると納得したらしい。
 残るは八戒である。

 目をやればベッドの上に切なそうな視線を向ける八戒。


(・・・・一回くらい着ても良かった・・・・かなぁ?)
 そんな八戒に悟空はちょっと弱気になる。
 だが、まだまだ甘い。

(まぁ・・・何着か選んであのショルダーガードが使えなくなったときにでも着てもらいましょう♪)
 とぬかりなく思っているなんて人生経験の浅い悟空にわかるよしも無かった。


「まぁ、悟空がそれでいいなら僕は何も言いません」
 今までさんざん色々言ったことなど忘れ去ったような八戒のセリフである。
「・・・・・うん」
 ああ、良かった・・・と肩の荷をどっとおろした悟空だった。


「さて、明日は早いですしそろそろ休みましょう。三蔵と悟空はこっちの部屋を使ってもらって構い
ませんから。それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ〜っ!!」
 部屋を出て行く八戒に手をふる悟空。


 そんな悟空に同じように笑顔で手をふりながら・・・・・・
(・・・・ああ、でもやっぱりあの服は着せてみたかったですねぇ・・・・)
 諦めの悪い八戒であった。












 そして旅は始まる。

















† あとがき †

最遊記で妄想していた時(どういう時だ・・・)
ふと・・・『・・・そう言えば最遊記のキャラで武装してるのって悟空だけだよな』
と思った御華門は
『三蔵は法衣だし・・・悟浄なんて下着同然だし・・・八戒も普通の服・・・
・・・・・何故に悟空だけ????』
と突き詰めていくと
『・・・あの武装解いた悟空てとっても小さく見えるもんな華奢だし・・・』
『こう腕の中にすっぽり収まりそうだし・・・・』

ハっΣ( ̄ロ ̄)!

『そうだよっ!!だからだよっ!!!』
『きっと旅立つ前に三人に着せられたに違いないっ!!』
という結果になり
あっという間に小説になってしまったのでした(笑)

え?はじめのあたりヤバイかと思いました?(ニヤリ)
ワザとです!(爆)

笑っていただけると幸いです♪
・・・でもどうしてこういう話には八戒さんがメインになるんだろう・・・










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