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トントントトンンッッ!! ザザザーー。 ぐつぐつ・・・ぐつぐつ・・・・ 今日も、朝から小気味いい音が台所に鳴り響く。 台所に立つ人物は包丁を自由自在に操り、どんどんとテーブルの品数を増やして いく。 その数はゆうに10人前は越していた。 しかし、それでも食べてくれる相手はそれらの悉くを綺麗に片付けてしまうのだ。 まさに料理人冥利につきるといえよう。 「これでいいですね。さて、と・・・起こしに行きましょうか」 八戒はエプロンで手を拭くと、とても楽しげに笑ったのだった。 「悟空、おはようございます。朝ですよ」 「ん・・・・ぅ・・・・・」 まだ寝たりないのか悟空は八戒に背をむけ丸まってしまう。 「悟空、起きないと朝ご飯が食べられませんよ」 がばっ!! 「ご飯っ?!」 悟空が飛び起きた。 「大丈夫ですよ、まだありますから」 きょろきょろと周囲を伺っている悟空にそう告げる。 「おはようございます、悟空」 「おはよう、八戒!!・・・・・え・・・と・・・・どうして八戒が居るんだ?」 「くすくす・・・忘れちゃったんですか。悟空は昨日から泊まりに来ているんですよ」 「あ・・・そっか・・・・へへ、忘れてた」 きゅるるるぅ〜〜〜 「・・・・・腹減った、八戒」 照れ隠しに頭をかいていた悟空は鳴り出した自分のお腹にせつなそうに八戒に 訴えた。 「ええ、悟空に食べてもらおうとたくさん用意しておきましたからね」 「わーいっ!!八戒だい好きっ!!」 悟空が八戒に抱きついた。 「ええ、僕も悟空がだい好きですよ」 たとえあなたが本当は誰を思っていようともね。 八戒はぎゅっと悟空を抱きしめ、下へおろすと・・・ 「さぁ、ご飯を食べましょう。冷めてしまいますからね」 「うんっ!!」 「んぐっ・・・ごくっ・・・むしゃむしゃ・・・かぷっ・・・・ごくんっ!!」 今自分の目の前に並んでいる食べ物以外目に入らないっ!!と言わんばかりの 食べっぷりを八戒はにこにこと微笑ましく見つめる。 「杏仁豆腐もありますよ」 「ありがと、八戒っ!!」 ぱくっ。 ぺろり。 悟空の手に渡り、胃まで到達するまでほんの一瞬である。 「どんどん食べてくださいね」 「うんっ!!」 そして悟空はますますそのスピードに拍車をかけるのだった。 さて、ようやく悟空の腹が八分目をむかえたころ・・・悟空はきょろきょろと部屋を 見回しはじめた。 「どうしました?」 「・・・・悟浄は?」 「ああ。悟浄なら・・・・」 裏の池に重石つきで沈んでもらってます・・・・とは言わず。 「ちょっと用事があって出ているんですよ」 「そっかー、せっかく遊ぼうと思ったのに・・・」 「大丈夫ですよ、僕が居ますから」 「そだね、八戒が居るからいっか♪」 哀れ、悟浄。 「では、何をして遊びましょうか?」 「え〜とね・・・隠れんぼ!!」 わくわくと悟空が目を輝かせる。 「わかりました、ではまず僕が鬼をしますから悟空が隠れてくださいね」 「わかったーっ!!」 「では、数えますよ」 いーち・・・・にーい・・・・さーん・・・ 「もーいいかーい?」 「まぁーだだよー」 八戒の問いかけに悟空の声が遠くから響く。 ・・・・外に出たんですかね? 「もーいいかーい?」 「もういいよーっ!」 「さて、とでは悟空を探しに行きますか」 まずは念のために家の中の箪笥の中やベッドの下と見てまわるがやはり居る様子 はない。 八戒はもう一度、家の中を確認すると扉をあけて外に出た。 ここは森の中。 隠れるものには不自由しない。 しかし。 「はい、悟空。見つけましたよ」 「え、どうしてわかったの?!」 木の上に居た悟空が驚いた顔で八戒に尋ねる。 「それはね・・・・」 あなたは寂しがり屋だからこの家から遠く離れることはないと知っているから。 この木があなたのお気に入りだから。 この木から見る眺めを貴方が好きだから。 理由なら色々あるけれど。 「僕は悟空が居るところならどこでもわかるんですよ」 「どうして!?」 それはね。 僕が悟空を愛しているから。 「秘密です」 「えぇーっ!!」 まだ幼いあなた。 だから、この想いは胸に秘めよう。 いつか受け止められるときが来るまで。 それほどあなたが愛しいから。 「いつか、わかりますよ」 にっこり笑って今は誤魔化す。 「んじゃ、今度はオレが鬼ね!!」 そして顔を隠して数えはじめる。 無邪気なあなた。 誰よりも純粋で美しい魂を持ったあなた。 いつまでもそのままで居て欲しいと思いながら、早く大人になって欲しいとも願う。 矛盾したこの気持ち。 「愛してますよ、悟空」 誰よりもあなただけを。 |
☆ あとがき ☆ ご拝読ありがとうございましたm(__)m ちょ・・ちょっと煮え切らない終り方になってしまいましたでしょうか?(汗) いや、八戒さんに「愛してる」と言わせてみたくて♪ それにしても御華門の悟浄の扱い・・て酷いですね(笑) 裏庭の池に沈んだ悟浄は実は最後に水草をかぶって水の中から 出て来てくださる予定だったのですが・・・・あえなく没(笑) 水ごけも生やしたりなんかして、と思ったんですが(笑) ああ・・・果たして悟浄の命は?!(おいおい・・) (↑つづきませんからね・・汗) 追記 タイトルの「迩」という字は実は、本当はにんべんなんですが 漢字が無かったので似たこれで代用いたしましたm(__)m |