![]()
********************************************
・・・ダダダダダダッッッ ダダダダダダッッッ!!! 遠くから鳴り響いていた音がだんだん部屋に近づいてくる。 そして・・・ バッターーンッ!!! 「焔!大変だっ!!!」 いったい何がそれほど大変なのか、悟空は息をきらして焔に訴えた。 「・・・・で、何が大変なんだ?」 焔は作業中の手を止めず、顔だけ悟空に向けるという器用さを発揮して問いかけた。 「あのなっ!さっき八戒に聞いてきたんだけど・・・」 悟空がそれはそれは深刻な表情で焔に顔を近づける。 そして、そっとあたりをはばかるような声音で・・・ 「3月3日て・・・女の子のおまつりなんだって!」 ・・・・・それがどうした? 言った相手が悟空以外だったならば焔は顔色も変えず、声音も変えずそう言い放った ことだろうが・・相手は目に入れても痛くないどころか心地よい気さえする悟空である。 「大丈夫だ。悟空。確かに世間一般ではそのようにされてはいるようだが、神の俺が 悟空の健康のために祝おうというのだ。問題ない」 全くフォローになっていないことに本人は気づいているのだろうか? 「だから悟空も飾りつけを手伝ってくれないか?」 言いつつ、これでもかっっ!と煌く豪華な雛壇は残すところ最上段に男雛女雛を 設置するだけ。 「そっかぁ・・お祝いしてもいいのかvうん!じゃ手伝う!」 悟空は焔の手から男雛を受け取ると最上段に飾ろうとするが・・・手が届かない。 「うーー・・・」 一生懸命背伸びをするがまだまだ足りない。 そんな悟空を焔は優しく見つめると、近寄り、ひょいっと悟空の体を持ち上げた。 「うわっ!」 「これで届くだろう?」 「あ・・うんっ!じゃ・・・このへんでいい?」 「ああ。これも頼む」 女雛を渡され、それも隣に設置する。 これで完成だ。 スイッチを入れたぼんぼりは青や黄色、赤や緑に・・とさまざまな光をさざめかせ ながら周りはじめる。 その光の中、美しくまるで生きているかのように見事な造詣の人形たちが笑顔を つくり、その一角だけ現実から切り離され、幻想的な雰囲気をまとう。 「美しいな」 「・・うん」 「小物の細工もいい」 「・・・・・うん」 「・・・・・。・・・・雛あられが食べたいのか?」 「うん!て、あ・・・・」 どうやら悟空は花より団子という諺にどこまでも忠実にしたがっているらしい。 苦笑した焔は壇に飾られていた高杯の雛あられを取ってやる。 「・・・食べていい?」 「もちろんだ」 「じゃ・・・いただきまーすっ!!」 悟空は豪快にあられに手を突っ込んで一握り分を口に運ぶ。 一粒一粒なんてやってられない。 「いい食べっぷりだ」 もちろん、とても美しいとはいえない食べ方もそれが悟空のすることであれば 全て可愛らしいと感じてしまう焔にとってそれは微笑ましいばかりだが・・・。 恋は盲目。 まさにそれ。 「うぐ。・・・焔もいる?」 差し出されて手には一粒の雛あられ。 ああ。 その手に誘われて(断じて雛あられにではない)、焔はぱくり・・・と。 悟空の手を口に含んだ。 そのまま固まること・・・・1分。 「ほ・・・焔!?」 さすがの悟空も焦る。 「オレの手まで食べんなよっ!」 いや、手どころか。 そのままでは丸ごと食われてしまうということには生憎、お子様な悟空には 想像も及ばないらしい。 「まったく。焔って見かけによらず食い意地はってるよな〜」 違う。違うんだ。悟空。 にぶにぶ悟空に心の中で涙する焔。 哀れである。 「へへっ、雛まつりっていいよなv美味しいもの食べられて」 「・・・・・・・・そうだな。次は5月5日だぞ」 「5月?4月は?」 「馬鹿だな、悟空。4月は・・」 「4月は?」 「悟空の誕生日があるだろう。だから節句はなしなんだ」 「そっかぁ」 違う。騙されているぞ!悟空!! しかし、ここにそれを否定する人間は居ない。 焔と悟空はほのぼの空間を作り出している。 「悟空、誕生日は楽しみにていろよ?」 「うんっ!」 そして、3月3日は終わりをつげる。 だが、しかし。 この二人は気づいているのだろうか。 ひな祭りも誕生日も・・そして365日。 いつもこんなふうに過ごしていることを。 ・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 取り合えず。 ごちそうさま。 |
*******************************
おもいっきり時期をはずしてしまいましたが
とりあえずUP・・・ということで(汗)