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あいつと出会うまで俺には”迷い”など無かった。 己の気に入らないものは排除し、全ての存在を否定した。 苦もなく楽もなく・・・・・ ただ、過ぎゆく時。 その自分が何故にこのような思いを抱くようになったのか。 その元凶―――――自分の執務机によだれを垂らしながら馬鹿面をさらして寝ている 小猿に頭が痛くなってくる。 「何で俺がこんなもののためにあーだこーだ悩まなくちゃいけねーんだ」 まったく理不尽極まりない。 だいたい俺はなんでこんな面倒なものを拾ってきてしまったのか? 幾度も頭をよぎる疑問。 うるさいから? それならば殴って静かにさせればいい。 本当に。 自分で自分がわからなくなってくる。 いい加減、思考停止しようかとも思うがそれは何だか負けたようで腹がたつ。 「・・・・ん・・・さん・・ぞ・・・・」 寝言で自分の名前を呼ぶ悟空は至極幸せそうな顔をしている。 「・・・・・馬鹿猿が・・・」 何故、自分は悟空を連れてきてしまったのか・・・・・・・・・・・・・・ その答えが出ていることは・・・・・当にわかっていた。 認めたくない・・・・己の心。 しかし、三蔵がただ一つ信じるものである己の心が・・・・・訴えるのだ。 こいつが・・・・・・・・・・『必要』なのだ、と。 悟空は夢の中に居た。 世界の輝いたあの瞬間の夢の中に。 「仕方ねーから・・・連れてってやるよ」 いったい何が何だかわからないまま差し出された手。 どうして・・・・どうして自分はその手をとったのだろう。 本当に自分はこの人を呼んでいたんだろうか? わからない・・・・・・・・わからない。 でも・・・・・・触れた手は憧れた太陽のように暖かくて・・・・・・・・・・ 涙が出そうになった。 自分の唯一の友人が死んだときに泣いて・・・泣いて・・・・・・泣いて・・・・・・ 枯れてしまったと思っていた涙が。 「悟空」 初めて・・・・・牢に閉じ込められてから・・・・はじめて他人に呼ばれた自分の名。 「・・・・・・」 この胸いっぱいにあふれて・・・・熱くなる思いは何だろう・・・・。 嬉しい? ・・・・・嬉しい・・・・・・嬉しいっ! でも、それだけじゃなくて。 ・・・・・・・・懐かしい・・・・感じ・・・・・・。 どうしてだろう? 初めて会った人なのに。 「三蔵・・・」 大切に・・・・・怯えて・・・・・彼の名を呼んだ。 バシィィッッ!! 「・・・・って〜〜〜ぇっっ!!!」 頭部への凄まじい衝撃に悟空が飛び起きた。 「よだれ垂らして寝てんじゃねーよ」 「んだよっ!!痛てーじゃんかっ三蔵っ!!」 せっかくのいい夢を邪魔された悟空が三蔵に掴みかかる。 「夢ん中で遊んでんじゃねー」 「いいっだ!!三蔵のタレ目っ!!」 「・・・いい度胸じゃねーかっ!!」 バシッ!!バシバシッ!!!! 三蔵のハリセンが悟空に炸裂する。 「いってーっ!!三蔵の凶暴っ!!」 「お前のほうが凶暴だっ!!」 「せっかく・・・・・見てたのにっ!」 「あん?何だって?」 「・・・・・三蔵の夢っ!!!」 ぷく〜と頬をふくらませた悟空がぷいっと三蔵から顔をそむけた。 「おい、悟空」 「・・・・・・・」 「こっちを向け」 三蔵の、静かな声にぴくり、と身を揺らすと悟空はおそるおそるといった風に三蔵に 顔を向けた・ 「言っただろうーが、夢ん中で遊んでじゃねーて。俺の夢?ふざけんな」 ・・・・・・たとえ夢の中の自分にさえ、悟空の感心を奪わせるもんか。 「だって・・・・」 「三蔵は、この俺。今ある俺一人だ」 「・・・・・・・」 「わかったか、この馬鹿猿が」 「オレ・・・・猿じゃねーもんっ!・・・・へへっ」 叱られたくせに、笑い出した悟空に三蔵が胡乱げな眼差しを向けた。 「三蔵・・・・・ヤキモチ?」 「・・・・・・馬鹿が、いったいどこでそんな言葉を覚えてきやがった」 「ん?悟浄!」 あの馬鹿め・・・・・コロス、と三蔵は決意をあらたにする。 「三蔵」 「何だ」 「オレね・・・・三蔵のこと大好き!!」 「・・・・・・当たり前のこと言ってんじゃねーよ」 |
手探りで自分の思いをさぐり 手探りで自分の思いを確かめる そして 手に入れた 己の 真実 |
† あとがき †
久しぶりの三蔵×悟空です(笑)
うちのHP、何だかやけに三蔵出現率が低いです・・・気が付けば(笑)
焔とか金蝉とかのほうが余程出張ってる・・・・。
今回のタイトル『冥行摘埴』は暗中模索と同じ意味です♪
三蔵と悟空、お互いにお互いの気持ちを再確認しよう!
て感じで書いてみたんですが、いかがでしたでしょうか??
楽しんでいただけたら幸いです(^^)
では
ご拝読ありがとうございましたm(__)m