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| それを見た金蝉は自分は相当に疲れているらしい、と感じた。 (そういえば、最近はろくに休養らしい休養もなく書類にむかっていた・・・。 きっとそのせいだろう、こんな幻を見るとは・・・・。) 「こーんぜーんっ♪」 扉を開けて笑顔を浮かべて駆け寄ってくる養い子の背中に・・・・・・・・・・・・ 羽根が見えるなど・・・・・!! 自分は絶対に疲れているのだ!!!!そうに違いないっ!! そう自分に言い聞かせると金蝉は目頭に手をあて、目を閉じた。 だが、しかし!! 「こんぜんっ!」 飛びついてきた悟空の背中の翼は消えることなく・・・あろうことかふよふよと 揺れてさえいる。 「・・・・・・・・・・・」 「・・・・・こんぜん?」 「この・・・・・・・・・・・・・・バカ猿がぁぁぁっっっ!!!!」 「!!???!!!???」 突然、強烈な拳骨を落とされて悟空には何が何だかわからない。 しかし、金蝉だって混乱していたのだ。 思わず、叫ばずにはいられないほど。 「くそっ、引っ張っても取れやがらねぇ・・っ!!」 「い、痛いよっ!金蝉っ!!」 抱きとめた悟空の背中にある白い羽根を金蝉は引っ張ってみたが、どうやら それは付けたものではなく、やはり”生えて”いるらしい。 「うるせぇっ!!変なもん背中につけやがって!!」 「痛いってばっ!!」 うるうると涙がまじった瞳で見上げられて金蝉は羽根から手をのけた。 「いったい何なんだ、これはっ!?」 今日、朝見たときはこんなものは悟空の背中から生えてはいなかった。 それは間違いない。断言できる。 「うーん・・・と”はね”、だって♪」 「喜んでんじゃねーっ!!」 全く事態をわかっていない悟空に金蝉のいらだちは募る。 「何、おこってんだよぉ・・・」 「お前がわけわかんねぇものつけて帰ってくるからだっ!!」 「えー、だって天ちゃんは『よく似合いますね』て言ってくれたよ?」 (くそ天蓬!!余計なことをっ・・・!!) 「ケン兄ちゃんは『すげぇな』て抱きしめてくれたし・・・」 (・・・・・・・・・・・コロス!!) 二人の様子が目に浮かぶようだ。 「悟空」 胸中のいらいらをおさえて、金蝉は悟空の名を呼んだ。 「なに?」 「いったい、何でそんなものが生えてる?」 「えっと・・・」 悟空は口に手をあてて考える(・・・ような格好をしていた)。 「きょう、外であそんでたら鳥がとんでて気持ちよさそうだな〜て思ったんだ。 で、オレも鳥とおんなじのがほしいな・・・て。そしたらはえてたvv」 「・・・・・・・・」 そんなことで簡単に羽根が生えていいのか? いや、良くない! いくら、悟空が人間でも神でも妖怪でもない・・・生き物であるとしても。 「でもね・・・・・・・・・飛べないんだ」 悟空は金蝉に背をむけ、羽根をぱたぱた動かしてみるがそれ以上何かが おこるわけではなかった。 「どうしてなんだろう・・・・・・・」 しゅん・・・とうな垂れてしまった悟空に金蝉は怒りが急速におさまるのを感じた。 「・・・飛べなくて当たり前だ、バカ」 「う・・・っ」 金蝉を見上げる悟空の目に涙がたまる。 「お前は鳥じゃねぇ、”悟空”だ。飛べなくて当たり前だろうが」 「だって・・・」 「だってもくそもねぇ!それとも何か?お前は空を飛んでとっととこんな場所から おさらばしたいとでも思ってるわけか?」 「・・・・っ!!」 「まぁ、それもいいだろうな。こんなくさりきった天界なんか居る必要もねぇ」 「・・・いやだっ!!オレ、絶対にここにいるっ!!」 溢れ出しそうになる涙を必死におしとどめて悟空は叫んだ。 「オレ、ぜったいに金蝉のそばにいるっ!!どっかになんて行かないっ!!」 悟空は金蝉の裾にすがりつく。 身長差から金蝉の膝のあたりから必死に見上げて悟空は言葉をつづけた。 「オレ、そばにいる・・・・・・・・ぜったい・・・・・・・・・金蝉の・・・・ひっく・・・・」 溢れ出した涙が金蝉の服を濡らした。 「悟空。・・・わかったから、もう・・・泣くな」 「こ、んぜ・・・・っ」 養い子の、大地色の髪に軽く手を置いた。 「悪い・・・・・・少々驚いたんだ」 純白の羽根は全ての穢れや縛めをふりはらい、自由にはばたく。 その翼で悟空がどこかへ行ってしまうような気がしたのだ。 「こんぜ・・・ん」 「その羽根・・・・よく似合っている」 悟空の頬をつたう涙のしずくを指先でぬぐいとると静かに金蝉は呟いた。 「でも・・・金蝉は・・きらい、なんだろう?」 「・・・・・さぁな」 「んじゃ、オレ、いらない。はね、いらない」 「・・・・・おい」 「だって・・・・おれ、金蝉のそばにいられればそれでいいから」 だから、いらない。 そういって枷のついた手をまわして金蝉にぎゅっと抱きつく悟空は、ただの 幼く庇護すべき「子供」だった。 そんな悟空をいつもなら拳骨ひとつで突き放す金蝉は、背中の翼ごと包み こむように抱き上げた。 「・・・・好きにしろ」 「・・・うんっ!!」 静かであるがしっかりと告げられた金蝉の言葉に悟空の顔に笑顔が戻った。 「・・・・・・こんぜん、消えない」 悟空が背中の翼をぱたぱたさせて、金蝉のベッドに乗り上げてくる。 「・・・・知るか」 何故、生えてきたのかさえわからないものなのに、消えない理由がわかろう はずもない。 「・・・・消えなくても金蝉のそばにいて・・・・・いい?」 「・・・・バカさるが」 金蝉はベッドの上に悟空を持ち上げ目をあわせた。 「好きにしろ、と言っただろうが」 「・・・・うんっ♪」 悟空は嬉しげに金蝉に抱きつく。 「おい・・・お前の布団はあっちだ」 「・・・・金蝉といっしょがいい・・・・・・・・・・・・・だめ?」 上目遣いで聞いてくる悟空は凶悪的なまでに可愛い。 「・・・・・・今日だけだからな」 そして結局はおれてしまう金蝉なのだった。 やがて、隣りですよすよと眠りの世界に入っていってしまった悟空の寝顔を 見つめながら金蝉は苦笑した。 「こんな、羽根ごときに振り回されるとは・・・・・な」 いつか悟空はきっと、こんな羽根など必要なく・・・・金蝉のもとから飛び立って いくだろう。 枷やしがらみ・・・全てのものから解き放たれて・・・・・・・。 けれど、せめてそれまでは。 自分のものであって欲しいという・・・・・・・・・・・・独占欲。 「悟空・・・・」 そっと手で悟空の顔に触れる。 「・・・・にゃ・・・こん、ぜ・・・・・・・・はら、へった・・・・」 「・・・バカ猿」 夢の中まで食事を求める悟空に、金蝉は翳りのない笑みを浮かべたのだった。 翌朝、目覚めた悟空の背中から羽根は消えていた。 |
† あとがき † あれ・・・?今回ギャグ調のお話にしようと思ったのに 気が付けばちょっとしんみり・・・?? 悟空がしゅんとなったあたりから雲行きがあやしくなったようです(^^ゞ 悟空の背中の羽根は天使の羽根イメージvv 似合うと思うんですよねぇ〜(末期・笑) この話にあわせてこのページの背景作っちゃいましたからね♪ では、ご拝読ありがとうございました(^^)/ |