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木造の質素な悟浄の家。 けれど居心地がよく、悟空はよく遊びに来ていた。 三蔵が少しばかり離れた土地へ説法に行くといい、一人寺に残されるのが嫌な 悟空は早速遊びに来ていた。 八戒と悟浄は突然の悟空の訪問にも嫌な顔せず、笑顔で迎えてくれた。 そして散々遊びたおして、翌朝。 八戒の手製の朝食をめいいっぱい詰め込んだ悟空は、食後のふわふわした気分に 浸りながらぼうぅとしていた。 そんな悟空の目の前にやっと起床した悟浄が肩にタオルを掛けあくびをしながら 現れた。 「おはよっ!悟浄!」 「おー・・・」 まだ目が覚めきらないのか悟浄は胡乱な返事をかえした。 洗面所で”つめてー”と声がする。 ようやくはっきりしてきたらしい。 「おい、悟空。八戒は?」 「ごみ出しだって」 「げ・・・マジ?・・・・・忘れてたぜ・・・・」 悟浄の顔が真っ青になった。 「あはははっ!」 「何がおかしいんだよっ!?」 こっちは死活問題なんだぜ?と悟空に詰め寄る。 「だって悟浄がそう言うだろうからって、八戒が・・・・」 「何だよ?」 「今日だけは許してあげます、て」 「・・・・・・・・・・・・・・・・そりゃー有り難いことで・・・」 その妙に限定的なところが気になりはしたが、命の保証はとりあえずされたらしい。 ほっと一安心の悟浄である。 それとともに心の余裕も生まれてきた悟浄は知らず口笛を吹き鳴らした。 「あ、それ!」 「は?何だ?」 「だからそれだって!」 「だから何だよ!」 「ぴーって鳴るやる」 「ぴー・・てお前な・・・・・口笛くらい知らないのか?」 「口笛?それ口笛っていうのかぁ・・・・」 初めて知ったと悟空はやけに感心している。 それに気をよくした悟浄は口笛を色々なアレンジをくわえて演奏してやる。 「すげーっ悟浄!」 「まぁな」 「なぁなぁ!どうやるんだ?」 悟空は座っていた椅子から立ち上がり、テーブルに乗り上げるように悟浄に尋ねる。 「方法か?まぁ、そうだな・・はじめは簡単に口をすぼめて・・・こうだ」 悟浄は悟空の前でお手本と、ぴーっと口笛を鳴らした。 「ほら、やってみろ」 「うんっ!え・・と、こう・・・かな?」 悟浄のように口をすぼめた悟空は息を噴出した。 しかし、すーっという音ばかりして悟浄のようにしっかりした音にはならない。 「???」 「空気の通り道をもっと少なくしてやるんだよ、ほらもうちょっと口をすぼめてみろよ」 「う、うん」 悟空は悟浄に言われた通りに一生懸命にやってみる。 けれどなかなかうまくいかず、すーっすーっと空気が漏れる音ばかりする。 それでも諦めない様子で練習を続ける悟空を見ていた悟浄はその姿に妙な 気分になってきた。 テーブルに身を乗り出し、唇を突き出し、酸欠のために火照った頬。 その姿はまるで。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キスをねだっているようで・・・・。 悟浄は引き寄せられるように悟空の唇に己の唇を重ねていた。 「・・・・っ?!」 悟空の金色の瞳が驚きに大きく見開く。 そんな中、悟浄は初めて触れた悟空の唇の柔らかさに酔っていた。 しかし・・・・・・・ ドウッ! ガウンッ!! 突如響いた、二つの破壊音は悟浄を吹き飛ばし、壁にめりこませていた。 「・・・・コロス」 「ごきげんよう♪」 玄関には銃を構えて額に怒りマークを浮かべた三蔵と、にこやかに・・・しかし ひんやりとした冷気(殺気?)を湛えた八戒が立っていた。 どちらの辞書にも”容赦”と”寛容”という文字はない。 悟浄は身を固まらせてクリスチャンでも無いのに神に祈った。 「・・・三蔵!八戒ぃ!!」 とととっと軽快に二人に駆け寄った悟空は「おかえりなさい!」と三蔵に輝くばかりの 笑顔を向け、八戒には「ごくろうさまっ!」といたわりの笑顔を浮かべた。 「・・・悟空」 「・・・・・ああ」 二人は同時に悟空を抱きしめた。 ・・・と同時に互いの顔が向かい合い、あたりの気温が瞬時に下がる。 先に状況を思い出したのは八戒だった。 「悟空、消毒しましょうね♪」 「?消毒??何の?」 「馬鹿サル・・・」 5分もしない先ほどの出来事をすっかり忘れ去った悟空に三蔵は怒りを通りこし ただ呆れるしかない。 「消毒しないと、ゴッキー菌に感染しますよ」 「ご・・ゴッキー菌???」 聞いたこともない名称に悟空の頭にはますます?が飛び交う。 「それそれは恐ろしい菌で感染すると・・・・・・触手が生えてきちゃうんです!」 「えぇぇぇっ!!!!」 「・・・・・おい゛」 今まで壁に身を預けて天に祈っていた悟浄は八戒の空き放題の言葉に抗議の ツッコミをいれずにはいられなかった。 「ほら、悟浄の頭にも生えてるでしょう?」 「・・・うん」 悟空が悟浄のほうをびくびくと見て頭の触覚にこくんと頷く。 「あれは悟浄がゴッキー菌に感染している証拠なんです」 「うそ・・・マジ?」 「マジ、です」 八戒の重々しい頷きに悟空はごくりと唾をのみこんだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・そっかぁ・・・・・オレも前々からおかしいとは思ってたんだ・・・・ それで悟浄には・・・・・・」 悟空が悟浄へ気の毒そうな視線を向ける。 「・・・・・・・・・・・おい」 「だから、消毒をしましょうね♪」 「うん!・・・でどうやるんだ?」 「それはね・・・・」 詰め寄る悟空の唇に八戒がちょんっとバードキスを落とした。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 「消毒、です♪」 呆然とする悟空の腕を誰かが強く引っ張った。 「ちょ・・・・・・・・・っんぐっ!!」 悟空の目に入るのは見事な金糸。 紫色の宝石が強く悟空を突き刺していた。 三蔵が悟空にディープキスをかましていたのだ。 「んん〜〜〜〜っっっ!!!」 そんなキスに慣れない悟空は息苦しさに三蔵の背にしがみつく。 それがますます三蔵を煽っているとも知らずに・・・。 やっと解放されたとき、酸欠にぐったりとした体を悟空は三蔵に横抱きにされていた。 そんな二人をにこやかに見守りつつ、絶対零度の殺気が八戒を包んでいた。 悟浄は自分から注意が外れたことを幸いにそろ〜と足を忍ばせ、裏口へ。 「どこへ行く」 「どこへ行くんです?」 全く悟浄に視線を向けられずに発せられた三蔵と八戒の問い。 それは=「逃げ出せると思ってんのか?あぁ?」と同義である。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 悟浄の脳裏に走馬灯のように過去の出来事が過ぎった。 その後、悟浄がどうなったか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
† あとがき †
最近、暗い系が続いていたのでちょっと明るいほのぼの(??)
したものを書いてみました♪
いい思いをしていそうでしていない悟浄。
相変わらず恐怖の笑顔の八戒。
独占欲の塊の三蔵。
天然ボケでカワイイ悟空。
そんな4人のある日のひとコマでした♪