
「ねぇ、天ちゃん」 「何ですか、悟空?」 昼食後のおやつの時間の途中、悟空に見上げられた天蓬が蕩けるような(頭の 中はすでに蕩けているが)微笑で返した。 「あのね、あのねっ!!これ、もっていってもいい?」 悟空が指差すのは好物のももまん。 「ここで食べればいいだろう」 立ち食いは許さんぞと同じテーブルについていた金蝉が口を挟んだ。 「ちがうのっ!!オレじゃなくて・・・あげるんだって!!」 「・・・・なにっ!?」 「何ですって!?」 「何だって?!」 金蝉、天蓬、捲簾の3人は悟空の発言に目を見開いて立ち上がった。 「な、なに?!」 悟空が驚いて3人の顔をかわるがわる見やる。 それは驚きもしよう。 人一倍・・・いや人の10倍は食べることに執着・・・いや命を賭けていると言っても 過言でない悟空が、食べ物をやるというのだ、他人に!!! これ以上、何を驚けと?てな3人の心境だった。 「・・・・・那咤ですか?」 悟空が自分の腹を犠牲にしてでもおやつをあげるというのは遊び相手で親友の 那咤以外に考えられない。 「・・・那咤なら地上に降りていていないぞ」 「ちがうっ!!」 「「「・・・・っ!!!」」」 またもや驚愕する3人。 「では、まさかと思うが・・・ババァか?」 ちなみに金蝉語録によるとババァ=観世音菩薩である。 「ちがう」 「では・・・・二郎神ですか?」 「ううん」 悟空は首を振る。 「じゃあ、いったい誰なんだぁ?」 最後に捲簾が3人の思いを代表してそう尋ねた。 「ん・・・・とね」 3人は固唾を飲んで悟空の言葉を待つ。 「ほむらーーっ♪」 あんぐり。 3人は顎が地についた。 最初に顎を拾い上げたのやはり飼い主である金蝉だった。 「な・・・何でお前が焔を知っている?!」 焔が住んでいるはずの館は金蝉の館からはかなり離れたところにある。 しかも、そうそう人が近づけるようにはなっていないはずだ。 「天ちゃんがまいごになって会ったっ!!」 「・・・・・迷子?」 金蝉の視線が天蓬に向けられた。 「いえ、正確には悟空が迷子になったんです」 「・・・・・・まぁ、そうだろうな」 「ほむらはオレといっしょの目なのーっ♪」 嬉しそうな悟空に3人の胸中は・・・・・・・複雑だった。 焔は・・・・・・天界では禁忌の存在である。 それが悟空に近づくことは・・・危険だった。 だが・・・それを悟空に言ってもわかるはずもなく・・・・。 「またあそびにいくね、て約束したのっ!!」 「「「・・・・・・」」」 「悟空・・・そんなに焔と遊びたいんですか?僕ではダメですか?」 「だめじゃないよ!!でも天ちゃんとはきのうあそんだから今日はほむらなの♪」 がびーん!! 悟空の言葉に天蓬は微笑みを保ちながら致命的なダメージを受けた。 「俺じゃダメなわけ?小猿ちゃん?」 「捲兄ちゃん?あしたねー♪」 あしたかー・・・フラレなかっただけ捲簾は天蓬よりダメージは少なかった。 「ねーねー、こんぜんっ!!いってもいい?」 首をかしげてナナメ45度の角度のおねだりポーズに金蝉は不覚にも無意識に こくりと肯いてしまった。 「「金蝉っ!!」」 天蓬と捲簾の叫び声に我にかえったときにはもう後のまつり。 悟空は「いってきまーすっ!!」と天蓬手作りのお菓子を持って飛び出していた。 「はい、おみやげー♪」 「・・・・・・・・」 また来る、と言った言葉どおりやって来た悟空に焔は躊躇しながらも館の中へと 案内してやった。 そんな焔に悟空は持って来たお菓子を握っていた手を開いてみせる。 だが、しかし。 「あ・・・・・・こわれてる・・・・」 思いっきり走ってきたせいで手の中のお菓子は粉々になって原型をとどめて いなかった。 せっかく自分で食べるのも我慢して持って来たのに・・・と悟空の目には涙が 滲む。 それを目にした焔は突然の悟空の変化に慌てた。 「ご、ごめん、なさい・・せっかく・・っ・・もって・・・きた・・・のに・・・っ」 悟空の目からぽろぽろと涙がこぼれる。 子供の相手などしたことがない焔・・・取りあえず泣き止ませようと悟空を膝の上 へと抱き上げた。 「泣くな・・・悟空」 「ふ・・・え・・・っ・・・」 それでも涙の止まらない悟空を焔は馴れない手つきながらも胸に抱いて、大地 を思いおこさせる色の髪を撫でてやる。 「ほむらぁ・・・」 舌たらずの言葉で自分の名を呼び、涙にうるんだ瞳で見上げられて焔の鼓動が 速くなる。 が、いいところで邪魔が入るのは世の常。 「そこまでにしてもらおうか」 「それ以上、僕の悟空に触らないで下さいね」 「小猿ちゃんの独り占めは禁止だぜ?」 金蝉、天蓬、捲簾が揃って部屋の入り口に立っていた。 どうやら心配で居ても立ってもいられなかったらしい。 「・・・・・・どうやら悟空のガードは堅いらしいな」 焔は悟空を下へとおろした。 「ああ・・本人の自覚が薄いもんでな」 「歩く誘蛾灯ですから」 保護者&保父の最強コンビは焔と悟空の二人に近づくと、悟空を焔からさりげ なく引き離した。 「悟空、お菓子はまた僕がいくらでも作ってあげますからね」 「ほんとっ!!天ちゃん大好きっ!!」 悟空は天蓬にぎゅっと抱きついた。 「ほむらっ!!じゃあこんどはちゃんとこわさずにもって来るからね!!」 「そのときには俺も一緒に行ってやろう、悟空」 誰が焔などと二人きりにさせるか、と焔を睨みつける金蝉である。 「金蝉もっ!?やったーっ♪」 そんなそれぞれの牽制も知らず、ただ一人呑気な悟空であった。 天界は今日も平和である。 |
☆あとがき☆ ご拝読ありがとうございました!! 焔様またもやご登場!! いいなぁ・・・焔様ホントにおいしいキャラです♪ そして那咤・・・またもや漢字がない!!(T_T) やはり漢字は難しいですよねぇ・・・英語だったらこんなに苦労しなくて すんだのに・・・・(T_T) あ・・・でもそうしたら最遊記にも ハマってなかったかも・・・どっちもどっちか・・・・ |