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観世音菩薩の館。 金蝉の執務室のある別館の長い廊下を悟空がスキップしながら歩いていた。 100キロ以上の重さのある悟空のこと、そんなことをすれば当然床にはひびが・・・。 まぁ、そんなことは一切気にしない・・・・いやいや気づかない悟空である。 「こんぜーんっ!!」 うきうきと思いっきりバァァンッ!と扉を開いた悟空はいつものようにに罵声が響かず 不思議に思った。 「・・・?こんぜん?」 部屋を見回すが主の姿はない。 「どこに行ったんだろう?」 せっかく見せにきたのに・・・・と悟空は腕の中の物体をぎゅっと抱きしめた。 「いかがなされました?」 途方に暮れていた悟空に宮に仕える女官が声をかけた。 「金蝉どこにいったか知らない?」 「金蝉童子さまならば御前試合に赴かれましたが・・・・」 「ごぜんじあい???何それ?」 「天帝の御前で剣による模範試合があるのです」 「どこに行けば金蝉に会えるの!?」 「お戻りになるのを待たれたほうがよろしいと思いますが・・・」 困ったような女官の言葉にしびれをきらした悟空は”天帝てナタクのところだよね!” と行って飛び出してしまった。 「御子っ!!」 女官の呼び止める声は悟空には届かなかった。 「こんぜん、どこにいるんだろう〜??」 腕に天蓬からのプレゼントを持ち、歩きまわる悟空を普通ならば誰かが咎めただろう。 しかし、今は御前試合の最中。 宮にいる者は全てそちらに行ってしまっている。 「こんぜ〜んっ!!」 高くよく通る声が宮に響く。 右左と首を動かして歩いていた悟空はどすんっと何かにぶつかった。 「ぅわっ!!」 そのまま尻餅をつこうとした悟空は腕をつかまれて抱きとめられた。 「・・・・・あれ?」 おそってくるだろう衝撃に目を瞑っていた悟空は、そっと目を開けた。 そして。 その悟空の目の前には見知った顔が。 「前を見て歩かなければ危ないぞ」 「あ、焔っ♪」 にぱっと笑顔を浮かべた悟空は抱きつこうとして腕に抱いていた物体を思いだした。 「何だ、それは?」 「これ?天ちゃんにもらったのっ♪」 そして悟空は両手で焔にそれを抱えてみせた。 巨大なうさぎのぬいぐるみを。 「かわいい?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ」 そんなぬいぐるみよりもお前のほうが何倍もかわいい・・・・というのは隠さない焔の 心の内である。 「こんぜんにも見せようと思ってさがしてたんだ!」 「金蝉ならば、まだしばらくは帰ってこないだろう。俺のところへ来るか?」 「う〜ん・・・でも・・・・」 迷う悟空を焔はぬいぐるみごと抱き上げた。 「ほむら!?」 「退屈していたのだろう?」 「う、うん・・・・・・・・・・じゃ、焔のとこに行く!」 いいように丸めこまれた悟空。 しかし、ここでやはり邪魔が入ったのだった。 「おうっ、小猿ちゃんじゃないか?」 手をあげて二人のほうへ歩いてきたのは捲簾大将。 「ケン兄ちゃん♪」 「捲簾大将か・・・」 「なに、幼児誘拐してやがる?」 「誰がだ?」 焔の冷たい視線が捲簾に浴びせられる。 「ようじゆうかい?何それ?食い物?」 「そればっかだな、お前・・・」 知らない言葉=食い物、と悟空の頭の中にはインプットされているらしい。 「それが例の天蓬が言ってたぬいぐるみか?」 「うんっ!!天ちゃんにもらったのっ♪」 嬉しそうにぎゅっと抱きしめて白いふさふさの毛に頬をすりすりとさせる悟空。 (ああ・・・ぬいぐるみになりたい・・・・) なんてことを大の大人二人が考えているなんてしるよしもない。 「ああ、そうだ。金蝉そろそろ戻ってくるぜ」 「ホントっ!?」 「ああ、ナタクが圧勝してあっけなく終ったからな」 捲簾の言葉に悟空は”ナタク!”と目を輝かせる。 「やっぱナタクて強いんだっ!!」 「まーねー・・・」 周りがつまんねーだけなんだけどなぁ・・・と捲簾は心の中で呟く。 「それじゃ、金蝉にはやく見せないとっ!!」 「何をそんなに急いでいる?今でなくともいいだろう?」 「だって・・・っ!」 「おい、ここをどこだと思ってやがる。バカどもが」 そこへ聞きなれた悪態がかかった。 「こんぜんっ!!」 相も変らぬ不機嫌な顔で眉間に皺を寄せながら一同を睨みつけるように歩いてくる。 「ったく、貴様ら勝手に抜け出しやがって・・・」 「いいじゃーん、つまんねぇし」 「あんなもの見る価値もない」 「ちっ・・・・おい、悟空。いつまでそこに居るつもりだ」 金蝉の不機嫌な眼差しがいまだに焔の腕の中にいた悟空にむけられる。 「あのね、あのね。こんぜんっ!!」 だが、悟空は金蝉の姿を見つけて嬉しいのか気にもしない。 焔の腕からおろしてもらうと、ウサギのぬいぐるみを抱えて金蝉に駆け寄った。 「これ、天ちゃんに貰ったのッ!!」 「あぁ?」 「名前は・・・・・」 「こんちゃんっ!!」 「「「・・・・・・・・」」」 悟空の元気な声で宣言されたぬいぐるみの名前にしばし場に沈黙がおりた。 「・・・・・・・ぶっ」 捲簾がたまりかねて噴出した。 そのまま背を向けると近くにあった木にもたれかかって肩をふるわせる。 焔も悟空の手にある白いぬいぐるみと金蝉の顔を交互にみやると、くいっと眉を あげ、口をゆがませた。 「・・・・こんぜん?」 不機嫌な顔のまま硬直状態にあった金蝉を悟空が首をかしげて見上げる。 ・・・・・・・・元凶のうさぎのぬいぐるみとともに。 その姿は愛くるしいの一言に尽きた。 しかし・・・・・・。 「・・・・ふざけた名前をつけてんじゃねーっ!!」 「えーっ!!すっげーいい名前なのいぃーっ!!」 「どこがだっ!!このくそ猿!!」 「猿じゃないもんっ!!」 「いいじゃん”こんちゃん”っ♪今度から俺もそう呼ばせてもらうぜ、な。”こんちゃん”」 笑いの余韻を残しながら捲簾が二人の言い争いにわってはいる。 「うるさい、呼ぶな」 「仕方ねーだろ、それがこのぬいぐるみの名前なんだからよ、な。”こんちゃん”」 「うんっ♪」 悟空はご機嫌である。 逆に金蝉は、不機嫌をとおりこし・・・・・・・・・・・・・・。 「てめーら・・・・・・・・・・・・・・・・・死ねっ!!」 キレた。 +++++おまけ+++++ ふふふふ・・・・と本の山に囲まれた部屋に笑いが響く。 「まさか悟空がぬいぐるみにあんな名前をつけるとは思いませんでしたね・・・」 そして再び笑う。 「明日にでも遊びに行ってみましょうか・・・」 怒る金蝉と、何より愛しい人に会うために・・・・・・・・。 『ずっと傍においてあげて下さいね』 『傍に?・・・・うんっ!・・・・じゃあずっとオレの傍にいるんだったら金蝉と同じだから 名前は・・・・・・・・・”こんちゃん”っ!!』 『・・・・・・・・・・・・・いい名前ですね♪』 『これからよろしくな!こんちゃんっ♪』 |
† あとがき † TOPイラスト、悟空とうさぎ・・・・のお話ですね♪ 「こんちゃん」は「金蝉」の”こん”からいただきました♪ ああ、でも今回は焔さまあまり活躍されず・・・ホントは御前試合に 出場させようと思ったんですが、やはりナタクは絶対に 出てるよな・・・と思うと戦わせるのが嫌だったのでやめました(笑) 焔空は長編でやるから・・・・いいとしましょうか・・・・(おいっ) では、ご拝読ありがとうございました! |