「・・・・・・確か、昨夜悟空と一緒の部屋だったのは悟浄でしたよね?」
「ああ」
 悟浄はわかりきったことを確認しあう三蔵と八戒に不穏なものを感じた。


「短くて長い・・・いえ、短い付き合いでした、悟浄」
「・・・・・・コロス」
 八戒は手に気孔を集め始め、三蔵はすでに安全装置をはずしている。



「ちょ・・・・ちょっと待てよっ!!!な・・・俺がいったい何やったってんだよ!!」
 どこまでも本気らしい二人の目にお茶らける余裕もなく悟浄は必死で言い募った。
 だいたいこの二人が揃って容赦なく怒るときというのは、決まって悟空のことだ。
 それはわかりすぎるほどわかっている。
 しかし。
 しかしだ。

 今、悟浄にはこれといって身に覚えは無かった。
 悟空をからかったといっても、いつもと変わりのない様子だったし・・・げんに悟空は
 気にすることなく食事に夢中だ。
 夜だって・・・・同じ部屋で悪戯もし放題・・・と思われつつも爆睡し凶悪な寝相を誇る
 悟空には近寄るのも命がけ・・・。
 ・・・・つまり何もしていない。


「俺は無実だっ!何もしてねーっ!!」
 と叫ぶ他ない。
 それに納得したのかどうかはともかくとして、三蔵と八戒はひとまず攻撃の手を
 収めた。

「では・・・あれはどういうことなんでしょうねぇ?」
 八戒の言葉に悟浄は目線を・・・三人の争いなど気にすることなく食いまくっている
 悟空に向けた。
「あれって・・・どれよ?」
「ほら・・・あの首元の・・・」
 背後で再びかちゃりと三蔵が銃を構える音がした。
 その音に冷や汗を流しながら悟浄は悟空の首元を見た。


「・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・あれは・・・・・・・・・・」
 悟空の首元。
 Tシャツからのぞく部分に・・・・・・うっすらと残る赤い痕。

「・・・・・・・・・・・マジ?」
 悟浄は思わず漏らす。
 記憶にある限り・・・昨日まであんな・・・所謂”キスマーク”なんて無かったはず。

「・・・・・俺じゃねぇ・・・・」
 とふつふつと沸いてくる怒り。
 他の二人があまりに過激なため悟浄は目立たないが、それでも悟空のことを思う
 気持ちは変わらない、と言える。

「それでは・・今朝一番に悟空と会ったのは誰ですか?」
 悟浄と八戒の視線がつつつ・・・と三蔵に向けられる。

「・・・・すでにあった」
 つまり、アレを最初に見つけたのが三蔵ということらしい。
 なるほど。
 どうりでいつにも増してマイナスの禍禍しいオーラが放たれていたはずだ。


「では、いったい誰がつけたんでしょうねぇ・・・」
 穏やかな八戒の言葉の裏には殺意が潜む。

「・・・本人に聞くのが一番手っ取り早いかもな」
「・・・そうですねぇ。このままでは埒があきませんし・・・」
「・・・馬鹿サル・・・」




 というわけで、三人は悟空の食事が終わるまで待った。
 ・・・・食事中に聞いてもまともな返事が返るわけがないから。





「「「悟空」」」
「ふえ?」
 食後にゆっくり・・・と思っていた悟空は鬼気迫る三人に囲まれ呆けた声をあげた。


「それはいったい何だ?」
「それは何でしょうか?」
「何なんだよ?」


「??それって何??」
 悟空には全くわからない。

「ちょっと来いっ!」
 このままでは平行線だとキレた三蔵は悟空の首ねっこを掴むとずるずると自分たちが
 泊まっている部屋に連れて行き、鏡の前に立たせた。

「これだ!」
「・・・これ?」
 悟空が鏡の中で三蔵の指差している自分の首元に目をやった。

「え?これ・・・何だって言われても・・・」
 悟空の言葉に三人は目をつりあげる。




























「虫に刺されたんだけど・・・」


「「「・・・・・・・・」」」
 三人の顔が凍りついた。

(何てお約束な!!!!)
 それが今の三人の偽らざる心情。

「・・・どうしたんだ?皆・・・・変」
 悟空がことりと首を傾げた。


「あ・・・ははははは・・・いえ、何でもないんですよ」
「・・・・出発するぞ!」
「・・・綺麗なねーちゃんたちともお別れか〜・・・」
 誤魔化しつつ部屋を後にする三人。
 だから、気づかなかった。

 悟空が・・・・









「・・・・・・焔のやつ・・・見えるところにするなって言ったのに・・・」

 と呟いたことを。














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■ あとがき ■

悟空にふりまわされる三人(笑)
フフ・・ちょっと小悪魔入りました☆









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