* 撫子 *
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夕方に立ち寄った小さな町。 夕食までには少し時間があって、ぶらぶらしていた街の通りで悟空はふと足を止めた。 悟空にしては珍しく、そこは屋台ではなく、花屋。 「この花なに?」 店の一番前に置かれていた花を悟空は指差した。 「おや。あんた、知らないのかい。この花はカーネーションて言うのさ。いつもお世話になってる人に 感謝をこめて贈る花なのさ」 恰幅のいい中年のおばさんが、笑いながら教えてくれた。 「感謝を・・・・・」 悟空は赤いその花をじっと見つめる。そして・・・・ 「・・・1本ちょうだいっ!」 「毎度!」 悟空は受け取ったカーネーションに嬉しそうに笑顔を浮かべた。 トントン。 「はい?」 「・・・八戒、俺」 「おや、悟空。どうしました?明日は朝が早いですから早く寝たほうがいいですよ」 「うん・・・・ちょっといい?」 何かあるらしい悟空の様子に、八戒は僅かに首をかしげたものの、どうぞと優しく笑って悟空を 部屋へと招き入れた。 「あの、さ・・・・」 「はい?」 「・・・っこれ!」 「は?」 目の前に差し出されたものに、すぐには反応できず八戒は動きを止めた。 だが、悟空も差し出したまま固まっている。 妙な緊張感が室内に漂った。 「えーと・・・・これは?」 「カーネーション」 見ればわかる。 「そうではなくて、どうしたんですか」 「・・・今日、花屋に行った」 それは珍しい・・・八戒は口には出さず、続きを促した。 「・・で、おばちゃんにこの花はいつもお世話になってる人にあげる花だって教えてもらったんだ。 だから・・・・俺、いつも八戒には迷惑かけてるから・・・」 「僕に、くれるんですか?」 うん、と悟空は頷く。 八戒は差し出されたカーネーションを受け取ると、いつもの笑顔とは違う、本当に嬉しそうに 顔をほころばせた。 「・・・ありがとうございます、悟空。とても嬉しいです」 「・・・!良かった!」 「でも、悟空。僕は全然迷惑だなんて思ってませんよ。僕のほうこそ、悟空にはいつも元気を もらって感謝しているんですから」 「八戒が?俺に???」 思ってもみなかった、と目を丸くする悟空に、八戒は優しく微笑んだ。 「ええ。ありがとうございます、悟空」 「っ!俺のほうこそ・・・ありがとう!」 笑いあう二人。 ほのぼのした空気に、そこだけ時間がゆっくり流れているようだった。 翌朝。 ジープの運転席の脇に、風に当たらないようにひっそりと一輪のカーネーションが置かれていた。 |
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何で今さらカーネーションなのか。
・・何となく(爆)
悟空がカーネーション贈る相手はやはり八戒でしょう!