喜 ―yorokobi―
あなたがこの世にいることが嬉しい
だから
この言葉を伝えよう
「悟浄」 「んぁ?」 ジープに揺られながら悟浄の隣りに居た悟空が唐突に声をかけてきた。 「悟浄の好きなものってなんだ?」 「俺の好きなもの?そんなの決まってるだろ、もちろん可愛くてナイスバディのお姉ちゃんたちさ・・・それであっちの具合もよければ・・・・」 ガウンッ!! 「余計なこと教えてんじゃねぇよ」 「ったく三蔵さまはおかたいんだからね〜」 「悟浄、いい加減にして下さいね」 にこにこにこ〜。 「・・・・・・」 八戒の笑顔の圧力に悟浄の顔がひきつる。 「ま・・・その・・・なんだ・・・いったい突然どうしたんだ、悟空?」 どうも分が悪いのを察した悟浄は原因である悟空に話題を移した。 「だって・・・・今日てさ・・・」 「何だ?」 「・・・・・悟浄の誕生日だろ?」 「あ・・・・・そういや、・・・・今日は9日か・・・・」 悟空の発言に煙草をくわえたまま悟浄の目が丸くなる。 「おや、そうでしたね。それにしても悟空、よく覚えていましたね。本人さえ忘れて いたのに」 「うん、悟浄の誕生日だからな!!」 にっこり☆ 悟浄120パーセントのダメージ!! 思わず悟空に抱きつきそうになった悟浄の腕から間一髪で悟空を救う八戒。 もちろん悟浄はその体勢でジープのシートにキスしそうになった。 「もちろん、八戒のも覚えてるよ!!9月21日だよね!!」 「嬉しいですよ、悟空」 八戒は腕の中の悟空に本当に嬉しそうに微笑んだ。 「三蔵は悟浄と同じ11月で29日だよな!!」 「・・・・・・ああ」 「ガラにもなく照れてんぜ、三蔵サマ・・・・」 ガウンッ!ガウンッ!!! 「だぁっ!本当のこと言われたからってキレるなよっ!!」 「うるさいっ!!このエロ河童がっ!!」 言い争う二人は放っておいて悟空は八戒に相談する。 「悟浄は女好き、て言うけど・・・それってプレゼントできるのか?」 全く理解していないながらも問題発言をしてくれる悟空に八戒は苦笑した。 「普通はプレゼントできませんよ」 一歩間違えば犯罪である。 「やっぱり出来ないよな〜・・う〜ん、じゃあどうしよう?」 「何でもいいんですよ、悟空。こういうのは贈る人への気持ちが何より大切なこと ですからね。悟空が好きなものをあげればいいんですよ」 「そうなのか?俺が好きなものってやっぱ食い物だけど・・・」 「それじゃあ、こうしましょう・・・ごにょごにょ・・・」 八戒が悟空の耳元で何かを囁いた。 「うんっ!!するっ!!」 「それじゃあ街に着いたら頑張りましょうね」 「うんっ!!」 「・・・というわけで僕と悟空は今日は同じ部屋ですので」 にっこりと問答無用な八戒。 「・・・何が『・・・というわけ』なんだ?」 さっさと二人で部屋に閉じこもってしまった後で呆然と呟く悟浄。 「・・・俺が知るか」 仲良さげに部屋へと閉じこもってしまった二人を不機嫌そうに見る。 「・・・ちっ」 そんな自分を誤魔化すように舌打ちすると三蔵は新聞を開いて読み出した。 「あ〜あ、俺の誕生日だってのに・・何時の間にかそっちのけで八戒といちゃいちゃ してんだからなぁ〜」 そして、横目でちらりと三蔵をのぞく。 「あぁ、こりゃそのうち横から掻っ攫われるかもなぁー・・・・」 「そんな大声でなければ独り言も言えんのか、このクソ河童」 「なんだとっ!!」 「何のかの言って、自分が一番ダメージ受けてればザマねぇな。俺は悟空が誰と 何しようがちっとも気にしねーんだよ」 大嘘、極まれり。である。 「・・・・は、ま・・・三蔵にあたっても仕方ねーか・・・」 そして二人はお互いに干渉しないように距離をとって落ち着いた。 「・・・ったく、夕食になっても下りてこねーなんて、いったい何してんだか・・・」 夕食の時間になり階下に下りてきた三蔵と悟浄だったがいつもなら真っ先に居る はずの悟空の姿はなかった。 「・・・・・・」 「おい、何とか言えよ」 「何とか」 「・・・・・・喧嘩売ってんのかっ!」 「お前が言えというから言ってやったんだろう、感謝しろ」 もう我慢ならねーっ!と一触即発な雰囲気になったところへ、そもそもの元凶が 現れた。 「おや、二人とも早いですね」 「悟空は?」 「ええ、居ますよ」 悟浄の問いににこやかに答える八戒。 「ちょっと、悟浄・・・目を瞑っていていただけますか?」 「・・・・はぁ?」 八戒の脈絡のないお願いに悟浄の目が丸くなる。 「ちょっとの間でかまいませんから」 「・・・・・ああ、いーぜ」 どうやら、聞いても理由は答えてくれそうにない八戒にここは大人しくお願いされる ことにした。 やがて、空気の動く感触と『んしょ、んしょ』という変な掛け声が耳に届いた。 「これでいい、八戒?」 「ええ、いいですよ」 悟空と八戒のやりとりも見えないので何のことやらわからない。 「それでは・・・悟浄、目を開けてもいいですよ」 「あぁん・・・・」 八戒の言葉に悟浄はゆっくりと目を開けた。 そこには。 形はいびつながら、白い生クリームに苺がのった”ケーキ” ご丁寧に蝋燭まで立てられている。 「おい・・・」 「これ、悟空が作ったんですよ」 「へへっ」 驚く悟浄に八戒が説明すると、悟空が照れたように笑った。 「だって八戒がオレの好きなものあげれば喜ぶっていうから、さ」 おそらく直前まで頑張っていたのだろう、頬には飛び散った生クリームが残っている。 ちょっと・・・いや、かなり悟浄は感激した。 「悟浄、誕生日おめでとうっ!!」 悟空が満面の笑みで祝いの言葉を言うとそれに八戒が続く。 「おめでとうございます」 「・・・おめでとさん」 そして、相変わらず不機嫌な面相ながらもぼそり、と一言。 「・・・・・・サンキュー・・・」 かなり照れたが、悟浄は何だか胸のあたりがほわっと暖かくなった気がした。 「んじゃ、いただ・・・・」 ありがたく最初の一口をいただこうとした悟浄の視界の先には・・・・・・・ 「・・・て、何で三蔵が先に食ってんだよっ!!」 「てめーがとろとろしてるからだ」 「何をっ!これは悟空が俺のために・・・・て悟空っ!!お前俺がまだ手つけてねーうち に食うなっ!!」 「だって腹減ったんだもんっ!!」 「そうですねぇ、これを作る間何も食べてませんでしたから」 仕方ありませんね、と八戒。 「形は、あれですけど・・・なかなか美味しくできてますよ、悟空」 「良かったっ!!」 て、どーしてお前が感想言うんだよ!! それは俺の役だろーがっ!! 「悟浄、早く食べないとなくなりますよ」 どーして俺のために作られたものが俺が食べないうちに無くなるんだっ!! 「いらないんだろ」 「・・・・っ」 三蔵の言葉にキレた。 「食う、食ってやるっ!!!!!」 悟浄は悟空の腕を掴むと、頬についている生クリームをぱくり、と舐めた。 「「「・・・っっ!!!!?」」」 「へん、ザマーミロ」 驚愕する3人に、中指突き立てる悟浄。 が、強がりもそこまでだった。 「「悟浄・・・」」 ゆら〜りと、三蔵&八戒から妖気がたちのぼる。 「覚悟はいいな」 「覚悟はいいですね」 三蔵の手にはスタンバイOKな銃。 八戒の手の中には光が集まる。 「い゛・・・!?」 この瞬間、悟浄はあの世をちらり、と見た。 「今日は俺の誕生日だろうがっ!!!」 夜更け、そんな声が宿の裏で聞こえたのだった。 |
★あとがき★ いや、やっぱり悟浄は御華門にとってギャグキャラですね(苦笑) これでも一応、かなり頑張って悟浄にいい思いさせてやろうと したんですが・・・・ダメですか?(笑) とりあえず御華門からも 『ハッピーバースデー、悟浄♪』 これからもあなたには苦労させると思うけど 頑張って下さい(笑) では、ご拝読ありがとうございましたm(__)m |