『今年の桜は格別に綺麗ですよ。お花見をしませんか?』

 そんな風に誘いに来た八戒に一も二も無く諾の返事を返したのは悟空だった。


















 確かに八戒の言う通り、今年の桜は例年に無く咲き誇り、舞い散る様も
 美しかった。そして、八戒が用意した酒も選び抜かれており、くどくなく喉越しも
 さわやかで、まさに美酒。

 ・・・・・・・・・が、しかし。





「ははははっ!悟浄のばーかっ!!」
「何だとーっこのチビサルがーーっ!!!」

 悟空と悟浄の恒例と化した喧嘩は、今回も例外なく健在で・・・

「・・・・・・・・(怒)」
 静かに花見をしたい三蔵の意気をくじくには十分だった。
 三蔵は酒の入ったグラスを口に運びつつ、眉間には皺が寄っている。
 そろそろキレて(今でも十分キレているが・・・)愛用の拳銃に手が届くのも
 あと少し。

「三蔵、今日は発砲しないで下さいね。雰囲気ぶち壊しですから」
「・・・・・・。・・・・・・・」
 相変わらずにこやかに言い切られて三蔵の機嫌はますます降下する。
「悟空、そんな悟浄なんかと遊んでないでお弁当にしませんか?」
「・・・なんか、て・・・」
「食うーーーっ!!」
 何か言いたそうな悟浄を無視して悟空と八戒は仲良くお弁当を囲む。
 お弁当は悟空の大好物を詰め込んだオードブルに5段重ねのお重が三つ。
 もちろん、悟空のためには手間を惜しまない八戒が悟空のためだけに
 用意した品々である。

「おい、挨拶は・・・」
 早速お弁当に手をかけようと悟空の脇からぼそりと声をかけたのは三蔵。
「あ・・・忘れてた!いただきますっ!」
「はい、どうぞ」
 見かけによらず、自分はともかく悟空には礼儀作法に厳しい三蔵は健在だ。
 八戒も保父としてその方針には反対では無いのでにこやかに見守る。
 
 時には厳しい父のような三蔵。
 まるで慈愛に(悟空限定だが)満ちた母のような八戒。
 兄のように(時には)頼りがいのある悟浄。


 三人に愛に見守られて悟空はすくすくと育つ。

 ・・・・・・・ていると思われる。




「あはははっっ三蔵ーっなんらよーそれーぇっ」
 悟空が三蔵の頭に手を向けて指差し大笑いする。
 何やら呂律が怪しい。
「花びらあたまにちゅいてんにょーーーっははははっひゃっっくっ!!」
「・・・てめー酔ってやがるな」
 三蔵のこめかみに血管が浮かぶ。
「酔っちぇにゃいよぉ〜〜っ」
 酔っ払いの常套文句を言い放った悟空。
 誰が何と言おうと完璧に酔ってやる。
「誰がこいつに飲ませやがった」
 地を這うような声が悟浄に向けられる。
 もちろんこの場に居る人間で心当たりは一人だけだから。
「おいおいっ俺じゃねーって!」
 大慌てで目の前で手を振る悟浄。
「あ、すみません。僕です」
「「あ・・・・?」」
「いや、欲しそうにしてたんで・・・ちょっとならいいかな〜と思ったんですけど
 予想外に気に入っちゃったみたいで・・・ほら」
 にこやかな八戒が悟空を指差す。

「「な・・・・っ!?」」
 悟浄と三蔵の目が驚きに見開かれる。

 そこには一升瓶をラッパ飲みする悟空が居た。

「おいっ・・ちょ、待て!悟空!」
 慌てて止めに入る悟浄。
「あに〜〜っく」
 悟空の目はしっかり据わっている。
「やめろ!悟空」
「あははっ!しゃんぞーが二人いりゅ〜〜っどっちがほんみょにょ〜〜??」
「「・・・・・・・・」」
 ほんのりと頬を染めてきゃらきゃら笑う悟空は凄まじく愛らしい。
 愛らしいがこのままでは確実に・・・・急性アルコール中毒になる!

「おい・・悟浄、俺が悟空の気をひいてる間に・・奪え、いいな?」
「了解」
 滅多に・・・というかおそらく最初で最後であると思われるが三蔵と悟浄の
 息がぴったりあった。
 目と目で頷きあう。

「悟空・・・ほら、お前の好きな桃まんだ」
「うわ〜〜うましょう〜〜っ」
 途端に悟空の手が一升瓶から離れた。
 その隙を逃さず悟浄がその一升瓶を奪った。

「よしっ!やったぜ三蔵!」
「こっちも捕獲だ」
 見れば悟空が桃まんにかじりつきながら・・・・・沈没している。

「おやおや、酔っちゃったんですね〜〜」
 それまでの様子を見ていた八戒がほのぼのと感想をのべる。
「おい・・八戒、いくらんでも悟空に酒はまずいだろうが」
「あはは、嫌ですね〜。悟空にあげたのは三蔵たちが飲んでいるのを50倍に
 薄めたやつですよ♪普通なら酔いもしないでしょv」

「「・・・・・・・・」」
 どこまでも計画的犯行だったらしい。
 まんまとやられたひきつった顔の悟浄と苦虫を殺した表情の三蔵。

「ほろ酔い加減の悟空は色っぽくて可愛いですからね〜〜vv
 酔いつぶれてしまい眠り始めた悟空を見て八戒はご機嫌である。

「・・・・・・・・・・。・・・・・・」
 三蔵はその様を見て思った。

 もしかして。
 こいつは、もしかして。
 花見とは言い訳で最初からこれが目的だったのでは・・・・・・・・?

 
 三蔵の疑わしい視線が八戒に向かう。
 その視線をものともせず、悟空を見つめる八戒。

 改めて、三蔵の内で『要注意』マークが記されるのだった。






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少し早いですが・・・お花見ですv
明日はひなまつりv
・・・そういえば最近お雛様出してないような・・・
ま、いいか。誰も気にしてないし(爆)







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