毎年。 この日に思い出すのは、師である光明の姿。 終始穏やかな笑みを浮かべ、静かに語る。その姿。 『江流、私はあなたに会えて本当に嬉しいのですよ』 だからその日を誕生日にしたのだと、そう言った師の顔。 俺はいったい・・・何と答えたのだろうか? 「さーんぞぅっ!」 バシィィィッッ!!!! 「っっ!!て〜〜〜っ!!」 唐突に目の前に現れた悟空の姿に反射的にハリセンを繰り出した。 見事、悟空の脳天に直撃する。 「何すんだよっ!!」 む〜と目に涙をまじらせて怒る姿は17になるというのにまるでガキ。 「馬鹿サル」 ぽつりと口から零れた言葉に悟空はますます怒る。 「まぁまぁ、悟空。三蔵は驚いたのを隠したかったんですよ。大人げなくてまるで ガキのようですが勘弁してあげて下さい」 どうやらそれまでのやりとりを見ていたらしい八戒が自分にくってかかろうとする 悟空の肩に手を置き、いさめている。 ・・・・・その内容にはかなりむかつくが。 「うんっ!わかった!オレ、『大人』だもんな!」 それを信じているのは言っている悟空本人ばかりなのは間違いない。 証拠に八戒は「そうですねぇ」とあいつ限定の笑顔を浮かべて頭を撫でている。 それのどこが『大人』に向ける行為だ? 「それより、悟空。三蔵に言わないといけないことがあったんでしょう?」 「あっ!そうだっ!!」 すっかり頭の中から抜け切っていたらしい悟空は八戒の言葉に手を打ち、 自分を見上げた。 「あのな、三蔵!」 「・・・・・何だ」 嬉しげに金色の瞳が輝き、俺を見上げる。 いつもいつも、何故それほど楽しそうに出来るのか・・・俺には不思議で仕方ない。 その悟空は俺の腕を馬鹿力で引っ張り、身をかがめるようにねだる。 「な・・・っ!」 もう一度ハリセンを・・・と準備した手は・・・振り下ろされることはなかった。 悟空が耳元で囁く。 俺にだけ聞こえるように。 『誕生日おめでとうっ!』 離れた悟空はにこりと最上級の笑顔を浮かべて自分を見上げた。 「オレね、三蔵と会えてすっげぇ嬉しい!」 『江流、私はあなたに会えて本当に嬉しいのですよ』 師の言葉が重なる。 「この日が無かったら三蔵と会えなかったんだもんな!だから今日は特別! 特別すっげぇ嬉しい日!!」 「・・・・・・・・・・。・・・・・・・」 溜息がでる。 全く・・・・。 こいつには・・・・・・負ける。 だから、少しばかりに意趣返しに。 悟空を引き寄せ、腕の中へ閉じ込めた。 その耳元で囁いてやる。 『・・・・・俺もな』 途端に悟空の顔が紅潮した。 前方の八戒から殺気が放たれるが、そんなものは無言で打ち払う。 俺はにやりと笑った。 非日常の中の日常。 こうして一日は過ぎていく。 『・・ありがとうございます。・・・・・・・俺も、です』 |
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×××あとがき×××
誕生日小説はだいたい騒がしい感じでいつも書いていたんですが
今回は珍しくしっとり(・・?)と。
それにしても・・・悟浄はどこにいったんでしょうねぇ?(笑)