第十二幕
冬休みも終了し、いよいよ最後の学期開始である。 しかし冬休みの最中よりあけてからのほうが寒さが厳しいというのは意味ない 気が・・・・いやいや、ともかく3学期。 3学期最初ということで悟空たち教師はいつもよりずっと早くに学校に出て来て 色々としなければならないことがあった。 「・・・たく何で俺が蛍光灯がきれてるかどうかなんて点検しないと駄目なわけ? ここ私立だろうが」 人を雇えよ・・・とぶつぶつ歩きながら文句を言う捲簾に天蓬はにっこりと笑うと。 「はいはい、文句を言わずさっさと終らせてしまいましょうね。思わず学校中の蛍光灯 を壊してしまいそうになるじゃありませんか。はははは」 「ははは、てお前・・・・ひそかにかなり頭にきてる?」 「ひそかに、だなんて・・・・僕はかなり堂々と頭にきてますよ」 「・・・・頑張らせていただきマス」 これ以上天蓬の機嫌が悪くなると自分の命が危ういと悟った捲簾は真面目に 校内の見回りをすることにしたのだった。 「こーんぜーんっ!!体育館は全部異常なかったよ♪」 職員室で総括をしている金蝉に戻ってきた悟空が報告する。 ついでに天竺高校には第一から第四まで体育館がある。 「本当に異常なかったんだろうな?」 「うん♪天井に穴が一つか二つ開いてたけど」 「バカが!!それが異常て言うんだろうがっ!!」 「えー、だって別に穴が開いてたってオレ、気にしねーもん」 「お前は気にしなくても皆は気にするんだよ!!」 「変なのー」 「変なのはお前の頭だ!!」 新年早々苦労の絶えない金蝉だった。 「もういい。これから校門開けて生徒たちをいれるから一緒に来い」 「わーいっ!!」 「遊びに行くんじゃねーぞ!!」 きっと何をするか全くわかっていないに違いない。 だが野放しにするともっと厄介ごとを起こさないとも限らない。 金蝉はひっきりなしに襲う頭痛に耐えながら歩き出したのだった。 校門に二人がやって来るとすでに登校していた生徒がいた。 生物部員の清一色とスピネル君である。 「えらく早いな」 「いいじゃんっ!!おはよーっ!!」 悟空が二人に手を振る。 いち早く気づいた清一色は正体不明の笑顔を浮かべながら悟空に近寄った。 「あけましておめでとうございます、悟空先生。新学期早々悟空先生の顔を見られる とは縁起がいい。何かいいことがありそうですね」 「あけましておめでとう!!・・・・でさでさ」 悟空は清一色の言葉など左から右。 それよりも二人の後ろの物体のほうが気になっていた。 「それって・・・・・・・・・・・・牛だよな?」 「ハイ。牛デース」 綱を持つスピネル君が答えた。 「うちに農畜産科なんか無いぞ。妙なものを持ってくるんじゃない」 「いえいえ、これも一応部活動に必要なんです」 「・・・・・・焼肉でもするのか?」 「ははははっ、悟空先生も冗談がお上手ですねぇ」 ・・・・・きっと悟空は本気だった。 「実は・・・・・冬休みの間生物室にいる生物たちは世話もあるんでほとんど自宅に 持ち帰っていたんですが・・・中にどうしても持ち帰れないものがありまして・・・・一度 もエサをやっていなかったんですよ」 「・・・・・・・それにしても牛はないだろう」 「いえいえ、たぶん牛一頭程度ならものの2,3分で食べてしまいますよ」 「ソウデス。ポチは食欲旺盛デ―ス」 「「・・・ポチ??」」 「その生物の名前です。覚えやすくていいでしょう?」 「・・・・・ものの2,3分で牛を食う生物がか?」 「はい。きっと飢餓状態にあるので今、生物室に入ったが最後僕たちまで食べられ かねませんからねぇ・・・牛一頭くらい安いものです」 「・・・・そんな危険なものを校内で飼うなっ!!」 青筋を浮かべた金蝉がさっさと動物園かどこかに引き取ってもらえ、と主張した。 「ええ、そうしたいのは山々なんですが・・・・どうもこの学校というかあの生物室が 気に入ったらしく・・・預けても脱走して戻ってくるんですよ。ふふふふっ」 笑い事じゃないだろう。 「そうなると何だか捨てがたくなりまして・・・・」 「・・・・・もういい、そのかわりちゃんと鎖でつないでおけよ」 「はい、ではこれで。悟空先生も一度見にいらして下さい」 「うんっ!!」 そして牛をひいて生物部員二人は校内へ消えていった。 「・・・たく朝からろくな奴がいねーな」 「そうかぁ?」 「・・・・・・・・・・・・・・」 金蝉があきれて目を吊り上げたとき、再び頭痛の種がやって来た。 「あけましておめでとうございます、悟空先生」 「おめっとうさんっ!」 「おめでとうっ!八戒、悟浄!!」 「・・・・お前ら元旦にも家に来ただろうが・・・・・」 「それはそれ、これはこれです。プライベートと仕事は分けないといけませんから」 「八戒、お年玉ありがとうなっ!!」 ・・・・生徒に貰ってどうする。 「いえいえ、僕も悟空先生と初詣に行けて嬉しかったです。はい、これ差し入れです。今日は朝からお忙しいと聞きましたからお腹が空いているのではと思いまして」 にこにこ笑いながら八戒は紙袋を差し出す。 「うっわ〜サンキュっ!八戒♪」 さっそく悟空は袋をあけると、もわ〜んと蒸気が溢れ出した。 「あっ!肉まんだっ!!」 「出来たてですから美味しいですよ」 八戒の言葉に悟空はさっそく包みをひろげて口の中へ。 「うっめ〜っ!!!やっぱ八戒の料理美味いなっ♪」 「悟空先生にそう言っていただけて僕もつくりがいがあります」 料理は趣味ではなく、戦略手段だと心の中で思っているなんてことは秘密だ。 「バカっ!!仕事中に食うんじゃないっ!!」 ぽかり、と一撃。 危うく口から落ちそうになった肉まんを地面すれすれでキャッチした。 「もうっ落すとこだったじゃんっ!!」 「自業自得だっ!!」 ぎゃーぎゃーと言い合いをはじめた金蝉と悟空に巻き込まれてはならじ、と八戒と 悟浄は会釈してその場を後にしたのだった。 その後、何とか生徒たちのほとんどを迎えた金蝉と悟空。 残りわずかとなって疲れ果てた金蝉はいささか(いや、大いに)不安ながら悟空を 残して職員室に戻って行った。 「鐘が鳴ったら戻ってもいい、て言ってたよな。・・・・・でも三蔵遅いなぁ〜まだ来て ないよな・・・?」 校門脇の巨大な円柱に登り、悟空はあたりを見回す。 「遅刻だぞ〜さんぞ〜」 「誰がだ」 「・・・・っ三蔵!!」 下からかけられた声に悟空は円柱から跳ぶと・・すちゃっとオリンピック選手も真っ青な着地を見事に決めた。 「だって遅いんだもんっ!!」 「時間までにくればいいんだよ」 「ぶーっ!だってそうしたら三蔵と少ししか話せないじゃん!」 ストレートな悟空のセリフに三蔵は言葉を失った。 寒さのためだけでなくわずかに頬に朱がのぼっている。 やはり三蔵といってもまだまだ高校生だっ!! 「お正月にも会えなかったしさ」 他の皆には会えたのに・・・・と悟空。 「悪いな、うちの寺の鐘つきをさせられていたもんでな」 「・・・・・・・・・・・・・・・・鐘つき?・・・・・・・・・三蔵が・・・・・・・?」 「・・・・・・・・悪いか」 「え・・・わ、悪くはない・・・・けど・・・・・・」 悟空はしかめっ面をして鐘をしぶしぶついている三蔵の姿を脳裏に浮かべた。 「・・・・・ぶっ・・・・・ははははははっ!!!」 悟空は腹をかかえて転げまわる。 「さ、・・・三蔵が・・・・っか・・・・鐘つき・・・・・・・っ・・・・・」 涙まで流して笑いまくる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コロス」 キレた三蔵は容赦なく悟空にハリセンを炸裂させたのだった。 「おや、新学期早々さっそく保健室を利用ですか、悟空先生?」 三蔵のハリセンでぼろぼろになった悟空はニィ先生の居る保健室にお世話になっ ていた。 「だって三蔵が殴るンだもんっ!」 「てめーがくだらねぇことで笑いやがるからだ」 一応、怪我をさせた責任ということで三蔵も悟空に付き添っている。 「まぁまぁ、ほら仲がいいほど喧嘩するといいますからねぇ」 「うんっ!オレ、三蔵好きーっ!!」 「・・・・・・このバカっ!!」 「いやぁ、惚気られましたねぇ・・・はははは」 「・・・・ノロケ?」 ニィ先生の言葉にわけのわからない悟空。 「いいからさっさと手当てしやがれっ!!」 と言いつつ、再び三蔵はハリセンの一撃をかました。 ・・・・・保健室に来た目的をすっかり失念している。 実はそれほど動揺していた三蔵だった。 「ん〜青春だなぁ・・・・」 ・・・・・・ちょっと違うだろ。 そんなこんなで3学期は始まったのだった。 |
† あとがき † さぁ、疾風怒濤も十二幕!!・・・え?大事なイベントを 抜かしているじゃないかって? いえいえ、クリスマス編は期間限定のお部屋にUPさせていただきました。 ・・・・きっと読んでいただける方は僅かでしょう・・・・(おいっ) まぁ、別に抜かしても大丈夫です!! さてさて、疾風怒濤も終盤戦です。 ・・・・はじめたのは秋ごろですが気がつけば追いついているでしょ? 一応、1年間という制約の中で争奪戦は繰り広げられております。 だってそうしないと三蔵とか卒業しちゃうじゃないですか(笑)。 そして投票。 三蔵サマが前回に引き続きトップを独走中です!! 何と2位の焔様に100票差以上をつけております!! やはりメインキャラ!最後は持っていくか!? そして続くのは金蝉、八戒、天蓬、紫鴛・・・ そ〜し〜て〜っ!! 前々回に登場した影響かはたまたアニメ効果か ナタクが7位に浮上!! 清一色を抜いておりますっ!!(最近出番無かったから・・・) さぁ、投票はますます見逃せない展開です!! そして!! 本日1/18日に限り!! 連続投票が出来なかった投票を一人に何票でも 投票できる無制限にしますっ!! さぁ、貴女のお気に入りをトップにするには 今しかないっ!!! (・・・・独角児とかトップになったらどうしよう・・・・) では、次回第十三幕にて!! ありがとうございましたm(__)m |