変換された物語 (4)







 「・・・・最初はあれぐらいで丁度いい」
 (なぁ、孫悟空)

 そう言うと焔は玉座から立ち上がり、くっくっくっと笑いを溢しながら何処かへと歩いていく。
 その後ろには・・・・『孫悟空へのビデオレター!焔さま撮影隊!!』が続く。
 

 「・・・・何処行くつもりなんだ、焔は・・・・」
 是音が呟く。
 「聞くまでも無いと思いますが・・・」
 「・・・・・・・・・孫悟空のところか・・・」
 「その通りです」
 「・・・・・・」
  是音はがくり、と肩を落とした。






 「腹減った〜〜〜ぁ」
 悟空の何度目かの嘆きの後、町が見えた。
 「飯〜〜っっ!!」
 走り出す悟空を八戒が止めた。
 「静か過ぎますね・・・」
 「どうやら・・・・」


 「ようこそ、僕のユートピアへ」
 気色の悪い声が頭上よりかかった。
 

 「なぁなぁ・・あいつ変じゃねぇ?」
 「知らないふりをするんですよ、悟空」
 「あんまり知り合いにはなりたくねータイプだな」
 「お前もな」
 「何っ!?」


 「ちょっと!僕を無視しないで下さいっ!!」
 ヒステリックな声がかかる。
 「僕の名前は葬儀屋・・・皆そう呼び・・・・てあなたたち聞いているんですかっ!?」


 「あー腹減ったぁ・・・・」
 「綺麗なおねーちゃんの隣で寝られると思ったんだけどなぁ・・・」
 「困りましたねぇ・・・食料がもう無いんですが・・・」
 「・・・・つまらん寄り道だったな」
 ・・・・・聞いていない。
 葬儀屋はキレた。

 「もういいです!とにかくあなたたちの命はあと僅かだと思いなさいっ!!」
 そう言うと空中に消えた。

 「なぁ飯〜〜」
 「うるせぇっ!」
 バシィンンッ!!
 ハリセンが飛ぶ。
 「う〜〜探しに行くっ!!」
 飛び出した悟空の後に悟浄が続いた。
 こういうときに一人になるのはよくない・・・・そうでなくても攫われた経験のある悟空なのだ。

 「何で食いもんがねぇんだよ・・・・どっかに落ちてねぇかな〜〜」
 思わず哀れを催すような声を悟空は出す。
 (落ちてるわけねぇだろうが・・・)
 「あっ、落ちてるっ!!」
 「マジかっ!?」
 三蔵に『拾い食いをするな』と叱られることも忘れて悟空はそれに飛びついた。


 「残念でした・・悟空さん。それにしてもあなたは何て素直なんでしょうねぇ・・・」
 「・・・・・食いもんっ!!」
 悟空の頭にはすでにそれしかなかった。
 「絶対に食ってやるっ!!!!」
 悟空は駆け出した。
 「あ、おい・・悟空!」
 悟浄の言葉も届かない。


 「食いもん〜〜食いもん〜〜〜腹減ったよぉぉぉ・・・・・」
 手を置いた腹からぐるる〜きゅるるるっっ〜〜と絶え間なく音がする。
 ひもじすぎて思わず涙まで浮かんできた。

 そんな悟空の鼻にかすかに漂う肉まんの香り。
 「食い物っ!!」
 わき目もふらずたどり着き、肉まんに『逃がすものかっ!!』と飛びつく悟空。
 だが・・・・。

 「元気なようだな、孫悟空」
 肉まんの上からかかった言葉に悟空が肉まんから生えている(正しくは肉まんを持っている)
 腕をたどり・・・見上げると・・・・・そこには。

 「・・・焔!?」
 「腹が空いているようだな」
 「・・・・うん」
 もう反論する気力も無いほど悟空は腹を空かせていた。
 「食べるか?」
 そう言うと焔は悟空にどっさりと・・・今の悟空にはそう見えた・・・ほやほやと湯気のたった
 蒸篭を差し出した。
 とてつもなくいい匂いが漂う。
 「食っていいのかっ!?」
 「ああ、好きなだけ食べるといい」
 「サンキューっ焔っ!!」
 と悟空が蒸篭の蓋を開けようと手を伸ばしたとき。

 バシィィィンンッッ!!!

 「人様からほいほい食いものを受け取るんじゃねぇっっ!!」
 「ダメですよ、悟空。知らない人から食べ物を貰ったら」
 「うちのペットに無断で餌はやらねぇで欲しいなぁ」

 「うーっ三蔵ひでーっ!!食いものぉぉつっ!!!」
 あとちょっとだったのに・・・と悟空は今度こそ目にいっぱい涙をためた。
 「そうだぞ、金蝉。せっかく俺が悟空のためにわざわざ食べ物を持ってきたというのにな」
 「そうだっそうだっ」
 同意の声をあげる悟空。

 チャキッ!
 三蔵が銃を構えた。

 「うるせぇっ!!」
 ガウンッガウンッ!!
 焔に銃弾が飛ぶ。

 「はははは、効かんな。邪魔が入ったな・・・仕方が無い。悟空・・・またな」
 「うん、またな〜」
 焔が敵だと言うことも忘れて悟空は手を振る。

 「頷いてんじゃねっ!!」
 バシィィンンッ!!
 「二度と顔を見せないで下さいね★」
 「もう来んなよ〜〜」
 
 



 「・・・・ところで焔の後にぞろぞろついてたの何だ?」
 「知るか」
 「ああ、地図によると近くにもう一つ街があるようですよ」
 「早くそこ行こうぜ〜〜」
 「・・・・何か忘れてるような気がするんですが・・・」
 「その程度のことだったんだろーよ」
 「そんなことより腹減ったぁ!」
 「はいはい、もう少しですから我慢してくださいねぇ」
 「ったく、うるせぇぞ!」





 




 ひゅるるるる〜〜〜っ。
 人の居ない町に風が吹く。

「いいんです・・・どーせ・・・僕なんかその他大勢ですから・・・・・しくしくしくしく」

 ご愁傷さま。
 チ〜〜〜ン!






 





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